宇宙
国際移動通信衛星機構(IMSO)
平成24年8月1日
1.国際移動通信衛星機構(IMSO)の概要・目的
- (1)IMSOは、移動衛星通信システムを利用することにより、海上における安全に係る通信を始めとする海事通信の改善を目的として設立された国際機関です。
- (2)IMSOが監督するインマルサットシステムは、海上の安全確保のための通信、航空機上での公衆通信サービスなどに活用されています。
2.インマルサット・IMSOの歴史と機構改革
- (1)国際海事衛星機構(旧・インマルサット)は、移動衛星通信システムを利用することで海上における安全に係る通信を始めとする海事通信の改善を目的として、1979年に「国際海事衛星機構(インマルサット)に関する条約」によって設立されました。(日本は設立当初より加盟。)
- (2)その後の累次の条約改正により、インマルサットシステムが航空通信及び陸上移動通信についても宇宙部分(注)を提供するようになったことを踏まえ、1994年12月に開かれた総会において、機構の名称を「国際海事衛星機構(International Maritime Satellite Organization)」から「国際移動通信衛星機構(International Mobile Satellite Organization)」に変更することを内容とする条約改正(1994年改正)が採択されました。
(注)宇宙部分:通信衛星及びその管制等に必要な関連地上設備
- (3)さらに、独自の衛星を持つ民間の衛星通信事業者の参入による競争の増大等の情勢の変化に対応し、インマルサットシステムの効率的な運営を可能とするため、機構改革について検討が開始されました。その結果、1998年4月に開催された第12回締約国総会において、機構改革に関する条約改正(1998年改正)が採択されました。
- (4)1998年改正では、インマルサットの宇宙部分を民間会社(具体的には、Inmarsat Ltd.等)に移管するとともに、機構は当該民間会社による全世界的海上遭難安全制度(GMDSS: Global Maritime Distress and Safety System)の提供の確保等を任務とするよう目的、構成等を改正しています。
- (5)これを受けて1999年4月から、インマルサットの事業部門は、イギリスの会社法に基づく「会社」に移管され、機構は、「会社」が引き続き海上に おける遭難及び安全に係る世界的な衛星通信業務を提供すること等の基本原則に従うことを確保することを目的として引き続き事務を行うこととなりました。これに伴い、2001年、衛星システムを運用するインマルサット社と、これを監督する国際機関(IMSO : International Mobile Satellite Organization)に分離され、IMSO条約はこの国際機関について定めた条約として発効しました。
- (6)現在の機構の構成は以下のとおり。
- (ア)総会:全ての締約国で構成。通常2年に1回開催する。
- (イ)事務局:法的に機構を代表する事務局長を長とし、会社を監督する。
- (7)また、以下を内容とするIMSO条約改正が2008年10月に採択されました。
- 1)現在インマルサット社のみが提供しているGMDSSサービスに新規事業者が参入した場合に当該事業者を監督対象とすること
- 2)IMSOは、LRITコーディネーター業務を引き受けることができること
3.日本の対応
- (1)日本では、1998年改正について、これらの改正を受諾してその早期発効に寄与することは移動衛星通信業務の継続的な提供を確保する見地から有意義であると考えられるため、1998年改正及び1994年改正の条約改正案を平成14年度通常国会に提出し、2002年6月に承認されました。1998年改正については、2001年7月31日に発効しました。
- (2)今後も機構を通じて、会社による公的業務の継続的な実施に向け、国内関係機関とともに対応していきます。