平和維持・平和構築

令和8年7月9日

プロフィール

 大学卒業後、複数の民間企業にて調達業務に従事。その後国境なき医師団(MSF)の日本事務局での勤務を経て、サプライ・マネージャーとしてパプアニューギニア、ウガンダに派遣される。フランスの大学院修了後、再びMSFにてバングラデシュへ派遣。その後、平和構築人材育成事業研修員としてWFPパキスタン事務所に派遣され、サプライチェーン・オフィサーとして勤務。本事業終了後、国連ボランティアとして契約を延長し、引き続き同事務所にて勤務中。

平和構築・開発におけるグローバル人材育成事業に応募した理由を教えてください。

 国際機関の現場で1年間勤務経験が積めるという点に惹かれ、本事業に応募しました。
 前職の国境なき医師団(MSF)での勤務年数が重なるにつれ、他の組織も経験してみたいという気持ちが強くなっていました。NGOの活動は、現場にとても近く、受益者との距離も近いという側面があるものの、活動の規模は比較的小さくなります。より大きな規模で活動を行う組織で、また、別の視点から人道支援に携わってみたいという気持ちから、国際機関での勤務を強く意識するようになりました。とりわけ自分の専門分野であるサプライチェーンに強みを持つWFPに魅力を感じていました。ただ、国際機関への勤務のエントリーポイントとして知られる、JPO制度は大学院終了時点で年齢制限がクリアできず、応募ができずにいました。他の制度を調べていくなかで本事業を知り、‘JPOから(国際機関)正規職員’という道だけではない多様なキャリアパスがあることがわかり、それなら挑戦してみようと応募に至りました。

国内研修に参加した感想は?

 非常に濃度の高い、充実した5週間でした。研修では、分析、計画、調整、管理といった、プロジェクトを運営していく上で重要な、異なるフェーズを週単位で分けて学んでいきました。グループワークがメインで、短時間で課題を仕上げなくてはいけないプレッシャーがあり、議論の方向性をまとめるのに苦労する場面もありました。各グループの発表を聞いて、気づきや反省する点が多々ありました。
 この研修では普段お会いする機会がないような上の立場の方々が講師として参加され、ご自身の経験を共有してくださるとともにキャリアのアドバイスもたくさんいただけました。同時に、同年代の先輩方の話を聞く機会も多く設けられ、ワークライフバランスや、UNVならではの苦労やメリットについて正直なところを伺うことができ、その後1年間の海外派遣への心の準備ができました。
 また、多様なバックグラウンドを持つ研修員と自然とネットワークを築くことができるのがこの研修の大きなメリットだと思います。年齢や専門は違えど、志をともにする研修員と充実した時間を過ごせて純粋に楽しかったですし、学ぶところも多くありました。派遣期間中、不安に思うことがあっても他の研修員も同じようなことで悩んでいたりして、心強く感じる場面が何度もありました。現在も連絡を取り合って、国際機関に関連する情報交換をしたり、お互いの近況報告をしたりして励ましあっています。

業務内容について教えてください。

 パキスタン事務所は2021年8月以降アフガニスタンへの食糧支援を行っており、その後2022年に起きたパキスタン国内の洪水被害に対する支援にも取り組み始めたことで、複数の大規模なオペレーションを同時に行っているのが特徴です。
 私自身はサプライチェーン部門内のInformation Management(情報管理)の業務とロジスティクス作業班の調整業務を主に行なっています。前者はレポーティングやミーティングの議事録作成で、定期的に発行しているパキスタン事務所の月次報告書や2022年に起こった大規模な洪水被害への支援に付随する状況報告書、ドナー報告書などにサプライチェーンに関する活動内容や数字をまとめています。洪水後の緊急支援時には、道路のアクセス情報をまとめて地図を作成したりしました。また、マネジメントチームが行うミーティングに必要なプレゼンテーション資料の作成も担当しています。WFPパキスタンのサプライチェーン部門は大所帯で細かくユニットが分かれているので、各担当者全員からタイムリーに情報をもらうのが難しい点ですが、全ユニットの情報に触れられるので、全体の流れを理解しやすいという利点もあるかと思います。後者のロジスティクス作業班は、洪水対応時にロジスティクス部門の先導機関であるWFPが立ち上げた作業班で、パキスタン国内に活動拠点を持つ国際機関やNGOが集まり、情報交換をしたり、オペレーションの障壁になるような問題について解決策を出し合ったりしています。私はこの作業班の取りまとめを行っており、議事録の作成や問い合わせのフォーカルポイントになっています。洪水の緊急支援がひと段落したため、直近ではこの作業班のギャップとニーズを探るためにアンケートを行い、今後の方向性を決める業務を行っています。

洪水の被害が大きかったシンド州サッカーへ出張時の様子。WFPの倉庫にて現地スタッフの話を伺っています。

海外派遣での感想は?一番印象に残っていることは?

 洪水被害への緊急支援が印象に残っています。国連と聞くと官僚的で仕事のスピードが遅い部分が強調されがちで、私自身も今回の海外派遣の前まではそのようなイメージを持っていました。ところが、洪水対応における職員の方々の迅速な仕事ぶりに触れ、WFPが緊急支援に強いと言われる所以を目の当たりにしました。通常のスタッフではカバーしきれない部分を本部などから派遣された職員の方々がサポートしてくださったのですが、大量の仕事をスピーディーにこなしていく姿を見て、非常に感銘を受けました。ゆくゆくは私もそのようなサポートができるような能力を身につけたいと思います。

洪水後のシンド州での食料配給拠点の様子。一袋44kgもある小麦粉を運んでいます。
パキスタンの典型的なトラック。荷物の運搬もこの独特の装飾が施されているトラックで行っています。

今後のキャリア・プランを教えてください。

 本事業での勤務期間終了後、契約が延長され、引き続きWFPパキスタン事務所にて勤務しています。少しずつ全体の流れが理解できるようになってきており、仕事の面白みを感じています。これからも、サプライチェーンに関連する分野で経験を積んで専門性を磨きながら、人道支援の一翼を担っていきたいです。

ロジスティクス研修での集合写真

事業への参加を考えている方にメッセージをお願いします。

 国内研修では自分のキャリアについて見つめ直し、同じ業界を目指す同期の研修員やキャリアのアドバイスをくれる講師の方々とネットワークを築くことができます。また、本事業の海外研修は国連が実際どのように動いているのかを見ることができる貴重な機会です。
 人道支援や国際協力に興味のある方はぜひ積極的に応募することをおすすめします。

モヘンジョダロ遺跡での一枚
典型的なパキスタンの朝食

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