平和維持・平和構築
研修員の声
令和3年度研修員 平島萌子さんの声
プロフィール
聖路加国際大学卒業後、都内医療機関で看護師として勤務。2017年にオックスフォードブルックス大学(英国)で公衆衛生修士号を取得。帰国後、都内保健所に保健師として勤務し、主に感染症業務を担当した。2022年に本事業に参加し、UNFPA(国連人口基金)トルコにAdolescent and Youth Specialistとし勤務。主に難民女性・少女のセクシュアルリプロダクティブヘルスとジェンダーに基づく暴力に関連した業務に従事した。任期終了後、国際協力機構(JICA)で母子保健業務を担当している。
1年間の活動内容・評価・課題
Adolescent and Youth Specialistとして、UNFPAのYouth Center(若者センター)におけるセクシャルリプロダクティブ・ヘルス(性と生殖に関する健康)に関連した業務を主に担当しました。
Youth Centerでは、モニタリング訪問、技術的助言・提案、月経衛生管理セッションの作成、若年妊婦支援プログラムの導入を担当しました。その他、企画案やレポート作成等を行いました。任期終了直前の2023年2月にトルコで大地震が発生し、任期終了まで地震対応の後方支援に従事しました。
具体的な活動内容は以下のとおりです。
1 10代少女向けの月経衛生管理セッション導入
看護師・保健師としてのバックグラウンドと専門性を活かして、月経衛生管理のセッションを立案・企画し、パイロットセッションを実施しました。月経衛生管理のための製品(ナプキン、タンポン、月経カップなど)に実際に触れる機会とすること、疑問や不安を話し合える場所とすることに重きをおいてセッションを行った結果、参加した少女たちから、”実践的な内容だった、友人にセッションを勧めたい”等のポジティブな評価を得ることができました。また、セッションの実践を通して、Youth Centerの医療職と本セッションにおける強調すべきメインメッセージを共有することができました。今後本セッションは、サービス提供者に対するトレーニング実施の後、トルコ国内のYouth Center・Women and Girls Safe Spaces (WGSS)(女性と少女の専用スペース)でも展開される予定です。
イズミールユースセンターモニタリングビジット(Implementing partnerとセンター運営スタッフとともに)
ディヤルバクルユースセンターで看護師からセクシャルリプロダクティブヘルスサービスについて説明を受けているところ
2 移動式・プレハブでのWGSS開設に向けたミニマムスタンダード(最低限調達すべき人材、機材、施設設備等の基準)の作成
地震発生後、多くのスタッフが現地入りする中、私は後方支援に従事しました。移動式WGSS開始に向けた最低水準の作成を担当することなり、女性と少女の安全を守るために必要な環境整備、サービス提供にあたっての必要な人材・物品等を過去の緊急支援資料をもとに速やかに作成することができました。WGSS事業には直接関わっていなかったものの、業務の空き時間に自己研鑽として蓄積していた知識を役立てることができ、速やかな対応ができた点は、成長を実感した経験でした。
ディグニティキットと看護師が業務で使用する臓器モデル
3 若年妊婦支援プログラムの導入
若年妊婦支援プログラムの導入については、Youth Center看護師にヒアリングを行い、若年妊婦支援のニーズ、困難事例の共有、及び既存資料のマッピングを行いました。準備段階からサービス提供者であるYouth Center看護師を巻き込むことで、プログラム導入に向けたコミットメントを促し、現場からはセッション導入への期待の声が寄せられました。一方で、セッション内容の選定等、チーム内での検討が停滞し、調整を終える前に地震対応のため、本プログラムの導入が保留となりました。地震発生によるプログラム導入の延期は不可抗力でしたが、チーム内での意見調整・合意形成については、より速やかに進めることができたのではないかと反省しています。議論を進行させつつまとめ上げるスキルを高め、スムーズな合意形成ができるようになることは、今後の課題です。
アンカラWomen and Youth Centreを訪問
アンカラユースセンター入り口
日本政府の支援で設立・運営されていたことがあり、日本の国旗やパネルが飾られていた。(注:2022年度は他ドナー)
今後のキャリア・プランを教えてください。
UNV派遣終了後は、国際協力機構(JICA)で母子保健分野の業務に従事します。高い専門性を持って平和構築・国際協力に貢献できるように、スキルアップを目指します。国際機関で経験を積みたいという思いがあるため、JPOや空席公募に向けた準備も継続したいです。
事業内容に対する評価
プライマリー・コースでの国内研修とUNV派遣を通して、今後のキャリア構築の土台となる経験を積むことができました。特に、業務にあたる上で困難に直面した時やキャリア選択に思い悩んだ際には、プライマリー・コースの講師の方々、同じ目線で一緒に考えてくれる同期に大変励まされました。
これまで、日本国内の保健医療分野でキャリアを構築してきた私にとって、国連で勤務することへの憧れと熱意はありながら、どのように経験を得たら良いのか、国連でキャリアを繋ぐためにはどうしたら良いのか、どういうスキルを身につけて人材としての価値を高めていくか等、はじめの一歩を正しい方向に踏み出すことの難しさを感じていました。プライマリー・コースに参加したことで、自分が進みたいと感じている方向に歩みを進めることができていると感じます。
プライマリー・コースは、国際機関へのエントリーポイントとして、最適なコースだと思いますし、このような機会を与えてくださった外務省平和構築人材育成事業に感謝しております。
