平和維持・平和構築

令和4年度研修員 後藤美涼さんの声

令和8年6月30日

プロフィール

 小学校の半分を台湾で過ごす。同志社大学グローバル・コミュニケーション学部卒業。大学在学中には、北京とシアトルでの留学を経験する。大学卒業後は、外資系コンサルティングファームにて、企業の調達オペレーションのデジタル化や中央省庁・地方自治体のシステムプロジェクトのマネジメントに携わる。現在、University of the Peopleにて経営学修士(MBA)を取得中。本事業では、UNOPSネパール事務所に派遣され、Programme Management Officerとして勤務。

平和構築・開発におけるグローバル人材育成事業に応募した理由を教えてください。

 幼少期に東南アジアを訪れた際、私と同年齢の子供達が、靴磨きや物乞いをしていることに衝撃を受け、国際協力に興味を持つようになりました。大学卒業後、民間企業に就職しましたが、幼少期に見た情景が忘れられませんでした。本分野でのキャリアを模索するうちに、平和構築・開発分野にてプロジェクトマネジメントや調達に関する自身の経験や知見が活かせることを知り、本事業に応募しました。

国内研修に参加した感想は?

 平和構築・開発分野の知識や経験が不足していた私にとって、5週間の研修は密度が濃く、海外派遣先で即戦力となる内容が多く含まれており、本分野でのキャリア構築の初期段階で受講することができて本当に良かったです。
 研修は分析、プランニング、調整、マネジメント、セキュリティなど多岐にわたる内容で構成されており、座学と実践を通じて本分野における重要な事項を習得できました。特に、平和構築・開発分野にてご活躍されている講師陣が集まり、惜しみなく経験や知見を共有してくれたことは大変貴重な機会でした。また、キャリアに関する親身なアドバイスをいただけたことは、デスクトップリサーチでは得られない価値ある経験でした。
 国内研修を一緒に過ごした研修員22名とは、研修が終わった今でも継続して繋がっており、研修員を越えた友情を築くことができました。この繋がりは私にとって一生の財産であり、大切に育んでいきたいと思っています。

業務内容について教えてください。

 UNOPSのネパール事務所にProgramme Management Officer(PMO)として派遣され、以下の3分野を主に担当していました。

1 プログラムマネジメント

 PMOとして、5つのプロジェクトのマネジメントを行いました。ドナーとの契約内容に基づき、レポートやタスクの進捗状況を定期的に確認し、スケジュール通りに進行しているか、イシュー、リスク、予算、各種計画書がUNOPSのプロジェクトマネジメント方針やコンプライアンスに準拠しているかを確認し、国事務所や地域事務所の関係者と連携して支援しました。また、四半期に一度行われるQuarterly Assuranceの会議では、資料準備、会議の進行、議事録作成、アクションポイントのフォローアップなども担当しました。
 派遣当初は、在籍年数の長いプロジェクトマネージャーや同僚に対して、どのような価値を提供できるか悩んだ時期もありました。しかし、プロジェクトマネジメント・ファイナンス・調達などのガイドラインを熟読し、プロジェクトメンバーとのこまめなコミュニケーションを通じて信頼関係を築くことで、最終的にはスムーズに管理できるようになっていました。

2 パートナーシップ

 母子保健、医療廃棄物、橋梁補修の3つの案件立案に携わりました。これらの案件では、ゼロからスタートし、他の国連機関やネパール政府との打ち合わせを通じて課題や道筋を明確化しました。専門知識が必要な分野については、コンサルタントのアドバイスを借りながら、3つのプロポーザルの作成をリードしました。
 全てのプロポーザルにて、インド、パキスタン、バングラデシュ事務所と連携しましたが、期限が短い中で、各国での予算分配やプロジェクト実施内容の調整にとても苦労しました。製薬会社へのプロポーザルでは、過去採用された20以上のプロジェクトのテーマや予算を全て分析し、傾向を示すことで、各国が納得するプロポーザルの作成にこぎつけることができました。

3 調達

 調達分野でのキャリアを積むため、初回面談でカントリーマネージャーにお願いしたところ、業務仕様書には含まれていませんでしたが、調達業務にも携わる機会を得ることができました。2023年ネパール地震の被害状況を調査するため、エンジニアやソーシャルワーカーのスタッフサービスおよび研修施設の入札書類の作成に携わることができました。さらに、サプライヤーの事前資格評価のメンバーとして9社のサプライヤーの建築実績や社員の経歴等を評価しました。
 調達業務以外にも、本部と連携し、国内サプライヤーの能力構築支援を目的としたトレーニングのプランニングに携わることができました。

海外派遣での感想は?一番印象に残っていることは?

 一番印象に残っていることは、2023年9月に3週間にわたって、プロポーザル作成のために、ネパール国内に出張に行ったことです。カルナリ州やマデシ州を訪れ、複数のDistrict HospitalProvincial Hospital、Provincial governmentの医療廃棄物および母子保健担当者、医師・看護師と会い、課題をヒアリングし、現場を視察しました。また、病院を訪れていた妊婦や産後間もない女性の方々にも直接話を聞き、ユーザー側の声をプロポーザルに反映できるようにしました。
 出張中には、首都では想定していなかった様々な課題が明らかになり、現場に赴くことの重要性を痛感しました。例えば、インタビューした産後の女性の方が14歳であり、症状がなければ病院ではなく家で出産する予定であったと聞いたことは衝撃的でした。また、医療を無料で受けられるはずの疎外されたコミュニティ出身の妊婦の方が金銭的に苦しい思いをしていることも明らかになりました。さらに、医療廃棄物管理においては、禁止されているはずの敷地内でのごみ焼却が行われている事実に直面しました。
 私の在籍中には案件立案にこぎつけることはできませんでしたが、今後これらの課題が解決されることを願っています。

出張中には、地元の方のお家にホームステイをさせていただくこともありました。
出張出発前の飛行機にて医療保険専門家とパートナーシップ担当者との一枚。
2015年ネパール地震の被害を受け、UNOPSのプロジェクトで補修工事を行ったお家の視察もいきました。
UNRCバトミントン大会では、未経験ながら女子ダブルで準優勝しました。

今後のキャリア・プランを教えてください。

 調達専門機関である日本国際協力システム(JICS)にて、主に日本政府が行うODAの枠組み内で、物品やサービスの調達に従事する予定です。調達の専門性を更に高め、今後も平和構築・開発分野にて貢献していきたいと思います。

事業への参加を考えている方にメッセージをお願いします。

 国際協力業界では、同期の概念があまりなく、他愛のないことやキャリアについて相談できる人を見つけることが難しく孤独になりがちですが、この事業に参加したことで、海外派遣中に励まし合ったり、相談できる同期や講師陣とのネットワークを築くことができました。また、先輩方にもキャリアについて気軽に相談することができる点も魅力であると思います。
 民間企業からのキャリアチェンジは、一見ハードルが高いように感じるかもしれませんが、民間企業で培ったスキルや能力は、国連でも活かすことができます。興味がある方は、本事業にチャレンジしてみてください!

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