平和維持・平和構築
研修員の声
令和5年度研修員 大竹真理子さんの声
プロフィール
学部時代は法学(国際関係法)を専攻。卒業後は民間企業にて国際事業企画管理に携わった後、エセックス大学(英国)にて、国際人権法の修士号を取得。その後、NGOにてアフリカ事業のプログラム・コーディネーターと、タジキスタンでの駐在員を経て、本事業に参加。2024年3月、国連難民高等弁務官事務所(以下、UNHCR)ウガンダ・アジュマニ事務所に准保護官(Associate Protection Officer)として派遣され、難民の保護と解決策に関する業務に従事。本事業での派遣期間満了後、派遣契約を延長し、同事務所で活動を継続。
平和構築・開発におけるグローバル人材育成事業に応募した理由を教えてください。
大学院で難民や国内避難民に関する法的枠組みについて学び、日本のNGOで難民支援に携わった経験もあったことから、UNHCRでの勤務を希望していました。国連で正規ポストに採用されるために必要な関連業務の経験を積むことに難しさを感じていた中、本事業の海外派遣はエントリーポイントとして国連で勤務経験を積むことができる貴重な機会であると考え、応募しました。
国内研修に参加した感想は?
研修の内容は濃く、深刻な人道状況に関するシミュレーション等では、緊張感を伴いました。活発な意見交換を行う一方、研修員同士で互いに助け合う雰囲気があったため、失敗を恐れずに研修に取り組むことができ、実際に国際機関で働く上で、貴重な訓練となりました。研修中に得た学びや、自己についての振り返りは、海外派遣における同僚とのコミュニケーションや、困難な課題に取り組む際に活かされています。
様々なバックグラウンドを持つ研修員や講師の方々の知見や振る舞い等から学ぶことも多く、研修後も定期的に連絡を取り合っています。今後もかけがえのない繋がりを大切にしたいです。
業務内容について教えてください。
赴任先であるウガンダ北部アジュマニ県には19の難民居住地があり、主に南スーダンからの難民約23万人を受け入れています。私は、コミュニティの能力強化を始めとした難民保護に関する様々な業務に携わりました。以下は主な業務です。
- コミュニティの能力強化、エンパワメント
難民主導団体(refugee-led organizations、RLO)への能力強化トレーニングの計画と実施に携わりました。難民主導団体のオーナーシップやトレーニングへの参加を促進するよう、主宰者であるパートナー団体に活動の進め方について助言し、トレーニングにファシリテーターとして参加するなどの支援を行いました。
難民主導団体(refuge-led organizations)への能力強化トレーニングの様子
- 調査、アセスメントの計画と実施
保護ニーズに関するアセスメントや参加型アセスメント(Participatory Assessment)等、様々な調査及びアセスメントの計画と実施に携わりました。参加型アセスメントでは、難民や地域住民の参加するグループディスカッション等を通じて、彼らが日常生活で直面している問題等を特定することを目的とし、同僚やパートナー団体等の意見をとりまとめ、アセスメントの計画と実施や最終報告書作成を主導しました。アセスメントツールの不具合等の問題に直面し、進め方に悩むこともありましたが、様々な関係者とのコミュニケーションの取り方等を学びました。アセスメントの結果は関係者間で議論され、コミュニティの意見を反映したプログラム策定に寄与しました。 - 保護分野に関する週報の作成
首都カンパラにある現地事務所に提出する週報作成の担当として、4つのUNHCR現地事務所の週報を毎週とりまとめ、主要なデータや活動などを整理し、上司に提出しました。事務所所長や現地事務所がどのような情報を必要としているかを意識し、必要に応じて他の職員への聞き取りを行いながら、わかりやすいレポート作成を心がけました。
難民居住地の住居
JICA主催のスポーツ×開発イベントで参加者たちと
海外派遣での感想は?一番印象に残っていることは?
生活環境や業務も挑戦的な環境でしたが、自分にできることを探して取り組みました。これまでレポート等から現地の状況を学ぶこともありましたが、実務ではより複雑な背景や事情が見えてくることがあり、現地のコンテクストを理解することの重要性を感じました。
赴任したばかりの頃、現地の状況に関して理解を深めるため、頻繁に難民居住地を訪れていましたが、その中での難民の人たちとのコミュニケーションが印象に残っています。保護リスクのある子どもが暮らすシェルターを訪れた際は、小学生くらいの子どもたちが親のいない環境で、文房具や遊具が十分にない中、生活しており、子ども同士のけんかも問題になっているという話を聞き、非常に厳しい状況であると感じました。また、難民団体の実施するプロジェクトの開会式に出席した際は、難民団体のメンバーとの対話を通じ、彼らの将来への希望や、もっと活動したいという思いを感じました。人々の多様なニーズや能力を見聞きする中で、援助機関の職員としてどうあるべきか、政府職員やコミュニティの人々に対してどのような言葉を使うべきか等考えさせられました。
今後のキャリア・プランを教えてください。
本事業での勤務期間終了後、契約が延長され、引き続きウガンダのUNHCRにて勤務しています。
少しずつ業務に慣れてきて、地域に根ざした難民保護活動(Community-Based Protection)業務にこれまで以上に携わり、オペレーション全体を俯瞰しながら、チームで取り組んでいきたいと思っています。今後も難民保護の分野で経験を積んで専門性を磨きながら、難民の保護と解決策の促進に貢献できればと考えています。
事業への参加を考えている方にメッセージをお願いします。
多様な選択肢の中で、どのようにして平和構築・開発分野でキャリアを築いていくか悩むこともあるかもしれません。振り返ると、自身のキャリアを模索する中で、様々な方からアドバイスをいただき、「自分の好きなことを大切に」、「上手くいかなかった時は、成功までの階段を上っている途中だと考えたら良い」等の言葉をもらったことが印象に残っています。本事業は、キャリア構築のサポートを受けながら、様々な人脈、学び、経験を得ることができ、今後のキャリアを進めていく助けとなることと思います。
事務所の同僚と。よく声をかけあってスポーツや自然散策をしていました。
赴任地であるウガンダ北部の風景
