日本の安全保障と国際社会の平和と安定
国際情勢に関する情報の収集・分析
不透明性を増す国際情勢

我が国は戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に直面しています。我が国周辺では、核・ミサイル戦力を含む軍備増強が急速に進展し、力による一方的な現状変更の圧力が高まっています。また、偽情報の拡散等を通じた情報戦等が恒常的に生起し、有事と平時の境目はますます曖昧になってきています。このように国際情勢が不確実性を増す中、我が国の国益を守り、国民の安全を確保するためには、情報の的確な収集及び分析が必要不可欠となっています。
国際情勢に関する情報の収集・分析
(1)国際情報統括官組織の活動
国際情報統括官組織は、「日本の外交・安全保障に資する分析(インテリジェンス)の提供」を目的として、国際情勢に関する情報の収集・分析等を専門的に行う組織です。外交政策の立案を担当する政策部局から独立し、国際情勢の展開や外交日程等を踏まえ、エビデンスに基づく客観的なインテリジェンスの生産を行っています。国際情報統括官組織は、こうしたインテリジェンスを適時に外務大臣及び外務省内の政策部局、更には官邸、国家安全保障局などに直接提供することで、外交・安全保障政策の立案・決定に貢献しています。
また、情報の分析に際しては、外務省の強みである在外公館を通じて得た情報、AI等の新興技術も活用して収集した公開情報、関係省庁や外国の政府等から得た情報等を元に、各地域や分野に関する分析官の専門性を活かしたオール・ソース・アナリシス(あらゆる情報手段を活用した総合的な分析)を行っています。
(2)国際情報統括官組織の沿革と概要
外務省では、これまで、国際情勢の動向を踏まえ、情報の収集・分析体制を強化してきました。
冷戦後の1993年には、客観的な情勢判断のための情報の収集・分析が必要との認識の下、情報を専門に扱う組織として国際情報局を設置しました。その後、2001年の米国同時多発テロやその後のイラク情勢等、刻々と変化する国際情勢に一層迅速かつ柔軟に対応する必要が生じ、2004年に国際情報統括官組織が設置されました。
我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさと複雑さを増す中、2023年には国際情報統括官の下、組織内の総合調整を担当する管理グループと国際情勢分析を担う分析グループに組織を再編しました。
国際情勢に関する情報の収集・分析能力の重要性はますます高まっていくことが見込まれ、引き続き、様々な形で、情報分野における機能の一層の強化を図っていきます。