国連外交
障害と開発に関するハイレベル会合 岸田外務大臣ステートメント
平成25年9月23日
議長,
冒頭,一言述べさせていただきます。
9月21日にケニアで発生したテロ事件により,多くの人命が失われたことに対し,日本国政府及び日本国民を代表し,心からお見舞い申し上げます。
このような極めて卑劣で許し難いテロ行為に深い憤りを覚え,強く非難します。我が国は,国際社会と連携しつつ,テロとの闘いに積極的に取り組みます。
議長,
それでは,今般の障害と開発に関するハイレベル会合開催に当たり,先ずは,日本国政府を代表して,議長をはじめとする全ての関係者に心からの謝意と敬意を表します。
議長,
持続可能な開発のためには,人間の安全保障の理念に立脚し,人間一人一人の豊かな可能性を実現することが必要です。開発を進める上で,障害者が置き去りにされることがあってはなりません。障害の有無によって分け隔てられることなく,相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に向け,諸施策を推進していくことが重要です。
現在,ポスト2015年開発目標の議論が進められていますが,人間の安全保障の理念に基づき,障害者をはじめとする社会的弱者の視点を踏まえた議論を進めることが非常に重要です。我が国が特に重視するユニバーサル・ヘルス・カバレッジや防災の主流化等についても,この視点を重視しつつ推進してまいります。
また,国際協力の実施においても,途上国における障害者の社会への包容とエンパワーメントを促進するという視点が不可欠であり,日本は,政府開発援助(ODA)等により継続して幅広い貢献を行ってきています。
議長,
障害者権利条約は,障害者の人権と基本的自由,固有の尊厳を確認する画期的な条約です。日本は,この条約の締結に向けて,2007年の署名以降,障害者制度の改革に集中的に取り組んできました。その結果,国内法の整備が行われ,条約の趣旨が国内施策において一層反映されております。日本は,本条約のできるだけ早期の締結に向けた努力を続けつつ,障害者の権利を保護・促進し,彼らの尊厳の尊重に取り組んでまいります。
議長,
最後に,先日の国際オリンピック委員会(IOC)総会で,2020年東京オリンピック・パラリンピックの開催が決定されました。この決定は大変名誉なことであると同時に,日本国内外における,スポーツを通じた障害者を取り巻く状況に対する意識を向上させ,障害者に優しい社会の実現に向けて取り組んでいく好機であると考えており,政府を挙げて取り組んでいく考えです。
ご清聴ありがとうございました。