外交政策

平成25年9月30日
1.概要

 9月28日(土曜日)午前0時30分(現地時間)より,オランダ・ハーグの化学兵器禁止機関(OPCW)本部にて,執行理事会(EC)特別会合(第33回会合)が開催され,14日に米露が合意したシリアの化学兵器除去のための枠組みを実施するため,以下の内容を含むシリアの化学兵器の廃棄に関する決定がコンセンサスで採択されたところ,決定のポイントは以下のとおり。
 
(1)査察,廃棄のスケジュール
  • 2013年10月1日まで:シリアにおける査察を開始。
  • 本決定採択の7日後まで:9月19日に提出された情報を補足する追加情報の提出。
  • 本決定採択の30日後まで:全施設の査察実施,条約に基づく申告の提出。
  • 2013年11月1日まで:化学兵器の生産及び混合・注入器材を廃棄。
  • 2014年前半:全化学兵器関連資器材の除去完了。詳細な条件は2013年11月15日までに執行理事会が決定
(2)必要な査察を確保するためのメカニズム
 
  • 国内のサイトへの即時・無制限の査察の権利付与を含め,シリアは本決定の実施について完全に協力。シリアの化学兵器計画に関連すると締約国が確認するいかなる施設に対しても,事務局長が正当と認めない場合等を除き,可及的速やかに査察を実施。
  • 不遵守の際の安保理への注意喚起のメカニズム:事務局長が,シリアによる(1)査察官の受け入れ拒否による任務阻害,(2)協力の欠如,(3)その他本決定実施に関する問題を報告する場合は24時間以内に執行理事会を開催,国連安保理の注意喚起を検討。
  • 査察ニーズ増加への対応等
   (1)事務局に対し,資格のある査察官及びその他技術専門家,雇用期間が最近満了した査察官及び技術専門家等の短期任期での再雇用を承認。
   (2)シリアに関する事務局の活動のための資金の調達の仕組みを至急検討。また、締約国に対し,本決定実施のために必要な活動のための任意拠出金の提供を要請。

2.評価

 (1)シリアにおける化学兵器の査察及び廃棄の具体的なスケジュール,必要な査察を確保するためのメカニズムを規定したものであり,今後の査察及び廃棄に向けた重要な一歩。

 (2)本執行理事会決定の採択の後国連安保理で採択された本執行理事会決定の実施を補強する強力な決議と相まって,シリアの化学兵器廃棄のプロセスが進むことが望まれる。

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