国連外交

平成25年9月30日
  • 岸田外務大臣は,9月23日(月曜日)から27日(金曜日)まで,第68回国連総会出席のためニューヨークを訪問した。
  • 岸田大臣は,核軍縮に関する国連総会ハイレベル会合,シリア・フレンズ閣僚会合,日カリコム外相会合等20の多国間会合及び地域機関との会合に出席し,これらの中で,サイドイベント「ポスト2015年:保健と開発」及び安保理改革に関するG4外相会合の議長,軍縮・不拡散イニシアティブ(NPDI)第7回外相会合の共同議長を務めた。
  • また,岸田大臣は,9ヵ国(英国,フランス,ドイツ,韓国,豪州,ニュージーランド,ミャンマー,イラン,エジプト)と外相会談を実施した。
  • これらの機会を通じ,今回の滞在中,約40ヵ国の外務大臣と会い,相互の信頼関係を強化した。

 
1. 主要行事等の結果概要

(1)二国間会談等
 岸田大臣は,英国,フランス,ドイツ,韓国,豪州,ニュージーランド,ミャンマー,イラン,エジプトと外相会談を実施した他,カリコム諸国,GCC及びCELACとの外相会合・戦略対話に出席した。二国間会談においては,それぞれとの二国間関係等に関する意見交換に加え,安保理決議に関する協議が進められる中,シリア情勢につき各国外相と議論するとともに,地域情勢やグローバルな課題についても,日本の立場を説明し,国際条裡での協力についても議論した。
 
(2)軍縮・不拡散
 岸田大臣は,NPDI第7回外相会合に出席し,核兵器の人道的影響や2015年NPT運用検討会で目指すべき成果について議論を行った。核軍縮ハイレベル会合では,来年4月のNPDI広島外相会合において,2015年NPT運用検討会議に向け有益な提案を行っていく考えを示した他,ATTハイレベル会合では,ATTの早期発効の重要性を訴え,主要な武器取引国に対し締結を呼びかけた。第8回CTBT発効促進会議では,(1)核実験が行われた場合の国際社会全体による協調的かつ強固な反対,(2)国際監視システム(IMS)の一層の整備強化,及び(3)発効要件国の批准に向けた政治的アクションの強化,を提案した。
 
(3)中東外交
 岸田大臣は,シリア・フレンズ閣僚会合に出席し,化学兵器廃棄への協力や人道支援,反体制派との対話を含め,シリア情勢の改善・正常化に向けた国際社会の取組に積極的に参加・貢献していく旨表明した。パレスチナ支援調整委員会(AHLC)閣僚会合では,「平和と繁栄の回廊」構想や東アジア諸国間での協力(CEAPAD)といった日本の対パレスチナ支援に係る取組を,またG8ドーヴィル・パートナーシップ閣僚会合では「アラブの春」の影響を受けたアラブ諸国への安定化支援をそれぞれ説明した。この他,アラブ連盟との間で「日アラブ協力メカニズム」に関する協力覚書(MOC)への署名を行った他,湾岸協力理事会(GCC)との間で日GCC戦略対話を実施し,日GCC協力及び中東地域情勢等につき幅広く意見交換を行った。
 
(4)女性・人権
 岸田大臣は,平等な未来パートナーシップ会合,紛争下の性的暴力防止イニシアティブに関するサイドイベント及び女性と平和構築ハイレベル閣僚級会合へ出席し,女性の役割増大や女性の権利保護,平和構築における女性の経済的なエンパワーメント等,女性をめぐる課題への取組を強化する安倍イニシアティブをアピールし,各国から評価された。障害と開発に関するハイレベル会合では,日本の障害者権利条約の早期締結に向けた姿勢を示し,2020年オリンピック・パラリンピック東京開催に向け,障害者に優しい社会の実現に向けて取り組んでいく旨表明した。
 
(5)安保理改革に関するG4外相会合
 岸田大臣は,安保理改革に関するG4外相会合に出席し,安保理改革の現状について外相レベルで認識を共有し, 国連創設70周年である2015年に向けて具体的な進展が得られるよう,G4の一体性を維持しつつ,これまで以上にそれぞれ最大限努力していくことを確認した。岸田大臣より,日本として柔軟かつ開かれた姿勢で各国と対話を行い,実現可能な解決策を引き続き探求していくこと,特に日本としてアフリカ・カリコムとの協力を重視していることを説明した。
 
(6)人間の安全保障(含む国際保健)
 岸田大臣は,日本主催サイドイベント「ポスト2015年:保健と開発」で議長を務め,人間の安全保障の実現に資するユニバーサル・ヘルス・カバレッジに関する議論を深めた。また,国連開発グループ主催ポスト2015年開発目標に関するサイドイベントや持続可能な開発に関するハイレベル政治フォーラムに出席し,人間の安全保障を指導理念とした新しい国際開発目標の策定に向けて国際社会と協力していく旨述べた。
 
(7)テロ対策  
 岸田大臣は,グローバル・テロ対策フォーラム(GCTF)第4回調整委員会閣僚級会合に出席し,1月のアルジェリア邦人に対するテロ事件を踏まえた日本の国際テロ対策協力及びTICAD Vで表明したサヘル地域への支援の取組を発信し,GCTFの活動への支持を表明した。
 
2. 日程

9月23日(月曜日)
午前 ニューヨーク着
午後 平等な未来パートナーシップ会合
   日豪外相会談
   ポスト2015年開発目標サイドイベント
   障害と開発に関するハイレベル会合
   日イラン外相会談
 
9月24日(火曜日)
午前 日英外相会談
   日エジプト外相会談
   軍縮・不拡散イニシアティブ(NPDI)第7回外相会合
午後 紛争下の性的暴力防止イニシアティブに関するサイドイベント
   持続可能な開発に関するハイレベル政治フォーラム
   日仏首脳会談
   日仏外相会談
   日系企業関係者との夕食会
 
9月25日(水曜日)
午前 日ミャンマー外相会談
   サイドイベント「ポスト2015年:保健と開発」
   ハドソン研究所授賞式・昼食会
 
 
午後  パレスチナ支援調整委員会(AHLC)閣僚会合
   武器貿易条約(ATT)ハイレベル会合
   日ニュージーランド外相会談
   G8ドーヴィル・パートナーシップ(DP)閣僚会合
   安倍総理夫妻主催レセプション
 
9月26日(木曜日)
午前 核軍縮に関する国連総会ハイレベル会合(総理演説を傍聴)
   安保理改革に関するG4外相会合
   女性と平和構築ハイレベル閣僚級会合
   核軍縮に関する国連総会ハイレベル会合
 
午後 日韓外相会談
   日・ラテンアメリカ・カリブ諸国共同体(CELAC)外相会合
   日GCC戦略対話
   シリア・フレンズ閣僚会合
   米国有識者との夕食会
 
9月27日(金曜日)
午前  内外記者会見
   グローバル・テロ対策フォーラム(GCTF)第4回調整委員会閣僚級会合
   日カリコム外相会合
   第8回包括的核実験禁止条約(CTBT)発効促進会議
   
午後 日独外相会談
   日アラブ協力メカニズム設立に関するMOC署名式
   ニューヨーク発

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