国連外交

第68回国連総会サイドイベント「ポスト2015年:保健と開発」
安倍総理ステートメント

(9月25日(水曜日)於:ジャパン・ソサエティ)

平成25年9月25日

御列席の皆様,
 
 MDGsの達成期限が近づく今,2015年より先にどのような世界を目指すべきかが問われています。この重要な時期に,ポスト2015年の課題を共に議論するため皆様にお集まりいただきました。日本国政府を代表して御礼申し上げます。
 
 MDGsは国際社会の共通目標であり,素晴らしい成果をもたらしました。同時に,開発の恩恵を受ける人がいる一方で,多くの弱者が取り残されるなど問題は残されています。
 
 「誰一人として取り残さない」。潘基文国連事務総長が立ち上げられたハイレベル・パネルが提言するこの言葉は,一人ひとりの異なる事情に着目し,個人の保護と能力強化を図る「人間の安全保障」の考えそのものです。この人間の安全保障の考えこそ,ポスト2015年開発目標を貫く指導理念にふさわしいと私は確信しております。
 
 その人間の安全保障の理念を具現化する上で不可欠の分野が保健です。保健に関するMDGs達成に遅れがあり,例えば,HIV/AIDS,マラリア,結核対策に取り組む「世界基金」への継続的支援が重要です。日本としても,来るべき第四次増資会合において,相応しい貢献をするつもりです。
 
 一人ひとりが抱える様々な保健ニーズに対応するために,すべての人が基礎的保健医療サービスにアクセスできること,すなわちユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の実現を目指します。UHCは,保健サービスへのアクセス格差をなくし,女性を始めとする脆弱層を含む国民全体の健康向上を実現します。
 
 本年5月,日本は国際保健外交戦略を策定し,国際保健を外交戦略の柱の一つと位置づけました。日本は各国と協調し,各国のUHC達成を支援する考えです。具体的な方策として,技術協力に加え,保健を優先分野化して円借款の供与条件を緩和するなどの政策をとっています。
 
 UHCの達成は,人々の健康改善だけでなく,経済成長にも大きく寄与します。日本が国民皆保険を導入したのは1961年,戦後復興期を終えこれから大きく発展しようとしていた時期でした。UHCの達成が一つの要因となり,日本は,健康で教育レベルの高い中間層に支えられて高度経済成長を続け,世界第2位の経済大国となりました。今日の日本の繁栄は,保健医療に支えられた経済成長の賜です。国民の健康なくして国の発展なし。日本は開発におけるUHCの成果を体現してきた国なのです。
 
 UHCの成果を知る日本だからこそ,ポスト2015年開発目標においてUHCを推進する責務があります。健康に対する人々の願いは世界共通です。私は本日の議論を通じ,各国・機関,学界,市民社会,企業等あらゆるアクターと協力しつつ,ポスト2015年におけるUHCの主流化を進めて参りたいと思います。
 
 御清聴ありがとうございました。

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