外交政策

(9月25日 於ニューヨーク)

(トゥオミオヤ・フィンランド外相がATT原共同提案国を代表して発言)

平成25年9月25日
 議長,ご列席の皆さま
 
 武器貿易条約(ATT)の原共同提案国7か国,すなわち,豪州,アルゼンチン,コスタリカ,フィンランド,日本,ケニア及び英国を代表してステートメントを行うことは私の大きな喜びであります。
 
 我々は,非常に重要な時に,今次国連総会でのATTハイレベル会合に参集しました。ATTは,すべての参加国が,模範的な交渉技術,柔軟性及びいかなる国際約束もそれ無しでは可能とはならない必要な政治的意思を示した,長く,複雑な外交上のプロセスを経てやっと生まれました。 我々は,交渉の最終的な局面において成功に向けて道を切り拓いたアルゼンチンのモリタン大使,及びその後,力強く成功へと導いた豪のウールコット大使に特に感謝の意を表明いたします。
 
 交渉プロセスに参加した全ての国々に加えて,我々は,無責任な武器移転がもたらす世界的な影響に対して一層の理解を深めてくれた国際的及び地域的な機関,国連事務局に対しても謝意を表明します。さらに,ATTプロセス全体において,様々な課題を解決することにおいて我々を支援し,後押しするという活発な役割を果たした市民団体の代表者の方達に対しても大きな恩義を感じているところです。
 
 ATTは,戦車から小型武器,弾薬,部品及び附属品に至る広範囲にわたる通常兵器の国際的な移転を規制する初の国際約束です。 ATTは,過去に国連が成功をおさめた規範作りの証しとなる画期的な条約です。我々は皆,武器への規制されないアクセスが世界的な人道上の苦しみを引き起こしていることを知っています。 ATTは,国際人権法及び国際人道法を尊重し,武器移転における責任及び透明性を示すことを各国に要請することにより,数百万の男女,児童の生命に望ましい影響を及ぼすでしょう。・
 
 ATTは,他の国際的な取極めと同様に,完璧ではありません。しかし,同条約は,通常兵器の移転を規制するための可能な限り高い国際的な水準を設定するという強固な条約の作成を意図した交渉の主要な目的に適うものです。他方,条約の採択だけでは,十分ではなく,条約を可能な限り早期に発効させなければなりません。107か国が署名し,6か国が批准したことは,喜ばしいことです。我々は,他国にとり良い模範を示したそれらの国に謝意を表明します。
 
 条約の発効のためには,50か国の批准が必要です。条約を採択した国連総会においては155か国が,条約案を支持しました。多くの国において条約の批准に向けた国内プロセスが既に進展しています。
 
普遍性という重要な要件を満たすためには,全ての大陸において各国が条約を締結しなければなりません。大国と小国,あるいは,主要な武器生産国と途上国のいずれも条約を批准する必要があります。
 
 途上国については,特別な言及が必要です。ATTは,締約国内で実施されるものです。仮に締約国が国内実施を完全に履行できない場合,条約の効果は薄れてしまい,条約の付加価値は減少します。途上国の中には,ATTの義務を履行するための国内許可・行政制度を創設・管理するために技術的な援助を必要としている国があるでしょう。援助を提供可能な全ての国は,援助を必要としている国の要請に応え,国際協力を強化し,働きかけを緊密に調整しなければなりません。
 
 我々は,7か年の困難且つ複雑な交渉を経て,緊密な協力の下,ATTを採択することができました。我々は,同様の協力的な精神の下に,ATTを早期に発効させなければなりません。

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