外交政策
ミレニアム開発目標(MDGs)特別イベントにおける安倍総理ステートメント
(平成25年9月25日(水曜日) 於:国連信託統治理事会議場)
平成25年9月25日
議長、
御列席の皆様、
本日の特別イベントを主催されたアッシュ新国連総会議長に、日本国政府を代表して感謝申し上げます。
現行MDGsの達成に向けて国際社会が協力してきた結果、これまで多くの進展がありました。しかし、達成されていない目標はまだ多くあります。2015年の期限に向け、我々は目標達成のための努力を加速していかなければなりません。
また、MDGsの成功と教訓を踏まえ、ポスト2015年開発目標では、国内格差の拡大への対応と、持続可能な開発に配慮しつつ、極度の貧困撲滅を実現し、万人が持続的繁栄を享受できる基盤を作るべきです。
そのような基盤を作るためには、ポスト2015年開発目標において、人間の安全保障を指導理念とすることが不可欠です。開発の果実は、あくまで人間一人ひとりにもたらされなければなりません。個人の保護及び能力強化を通じた社会づくり、国づくりなくして、持続可能な開発はありえません。この点については本年6月のTICAD Vでも、アフリカの首脳と認識を共有しました。
人間の安全保障の理念の下、取り組むべき課題は数多くあります。女性、貧困、教育、保健衛生など、我が国は引き続き力を入れて取り組んでいく決意です。私が重視する分野の一つ、女性が輝く社会の実現については、明日、一般討論演説の中で御説明する予定です。
次に、ポスト2015年開発目標との関係で私が力を入れている二つのアジェンダを御紹介します。
一つは、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ、UHCです。個別疾病中心から、人間個人を中心に捉える発想に立って、UHCを推進し、より高い健康、医療のニーズにこたえることを目指すべきです。
そしてUHCを実現する鍵が、女性など脆弱な人々への対策です。私は、UHCの重要性を訴えるため、国際的医学雑誌のランセットに投稿し、また本日、保健と開発に関するサイドイベントを開催します。
もう一つは、防災の主流化です。災害は開発の成果を一瞬で破壊してしまいます。災害に負けない強靱な社会を作るためにも防災は重要です。東日本大震災等の大災害を経験してきた我が国は、その経験や教訓を、また防災技術、システムを世界と共有したいと考えています。2015年3月には仙台で第3回国連防災世界会議を開催しますので、皆様の協力をお願いします。
最後に、開発目標の達成に向けた取組においては、民間資金の活用や、新興国経済の活力の活用も含めて、国際社会の様々なステークホルダーが協力する新たなパートナーシップを目指す必要があります。
我が国も、日本としてふさわしい役割を果たすべく、官民挙げて知恵を絞り、その技術、人材、そして経験を生かし、貢献してまいります。
御静聴ありがとうございました。