外交政策
税に関するG20サンクトペテルブルク首脳宣言附属書(骨子)
平成25年9月6日
G20は、2009年4月のロンドン・サミットで銀行機密の時代の終わりを宣言して以来、より効果的、効率的、公平な国際課税制度を確立するための取組みの先頭に立ってきた。
G20が支持した、要請に基づく情報交換の国際的基準を世界中で効果的に実行していくことを確保する上で、税の透明性及び情報交換に関するグローバルフォーラムは決定的な役割を果たしてきた。グローバルフォーラムはこれまでに113のピアレビュー報告書を完成させ、600以上の勧告を発出しており、うち300以上の勧告が現在までに実行された。グローバルフォーラムに参加している国・地域の数は120カ国・地域まで増加。
G20は自動的情報交換という新たなグローバルな基準を支持。2013年7月に、G20財務大臣・中銀総裁会議は税目的のための多国間及び二国間の自動的情報交換のためのグローバルなモデルに関するOECDの提案を支持し、OECDはG20とともに、自動的情報交換のための新たな基準を設定する作業を開始。OECDは10月のG20財務大臣・中銀総裁会合で進捗状況を報告するとともに、2014年2月の同会合で新たな基準を提示する。
自動的情報交換に関する次の課題は、この基準に全ての国・地域をコミットさせ、実施させることである。自動的情報交換に関して、2014年2月までにG20と協働しOECDが国際基準を提示し、2014年央までに技術的様式を完成させることを支持。2015年末までにG20が自動的情報交換を開始することを期待。多国間条約は、新しい基準の迅速な実行を確保し、途上国が新しいより透明な環境から利益を得ることを可能にするために重要。全ての国・地域が税務行政執行共助条約に遅滞なく署名することを期待。
国際的に協調した取組みにより、現行のルールでは概ね合法な国際的なタックス・プランニングから生じる税源浸食に対処しなければならない。G20首脳は税源浸食と利益移転(BEPS)への対処の必要性を、2012年6月のロスカボス・サミットにおける税に関するアジェンダの最優先項目として特定。G20の指示を受け、OECDは2013年2月にBEPSに関連する問題の概要についてのレポートを提出し、現在、BEPSに対処するための野心的で包括的な行動計画を提示した。行動計画で特定された15の項目計画に係る提案及び勧告を策定するため、OECD非加盟G20諸国がOECD加盟国と対等な立場で参加するOECD・G20 BEPSプロジェクトを設立。G20首脳はOECDによる迅速かつ効果的な対応を評価。
行動計画は、国際課税ルールに関する下記の根本的な側面について考察する野心的なアジェンダを掲げている。
- 各国の主権を尊重しつつ、各国税制の間の隙間に対処するための国際課税ルールを設計。
- 経済活動が行われ、価値が創出される場所で利益が課税されるよう、租税条約、恒久的施設、移転価格に関する既存の国際課税ルールを検討。
- 利益と課税の配分に関する税務当局への報告のための共通テンプレート等を通じ、一層の透明性を確立。
- 今後18ヶ月から24ヶ月で全ての行動を実施。
途上国は、G20の税のアジェンダから利益を享受しなければならない。透明性及び情報交換に関するグローバルフォーラム、税と開発に関するOECDタスクフォース、世銀グループやその他の国際機関は、途上国が透明性と情報交換の基準を実施するための技術支援と能力構築の必要性を特定することを支援できる重要なパートナーである。
国際課税上の課題は二重非課税への対処にとどまらない。その他の税に関する諸問題についての議論の継続を奨励。