外交政策
エネルギーと気候に関する主要経済国フォーラム(MEF)第16回会合(概要)
平成25年7月18日
1.日程・場所
7月18日,ポーランド・クラクフ
2.参加国
(1) 18か国(日本,米国,英国,フランス,ドイツ,イタリア,カナダ,ロシア,中国,インド,韓国,豪州,メキシコ,南アフリカ,ブラジル,インドネシア,EU(リトアニア(議長国)及び欧州委員会(EC)),国連,ニュージーランド,ノルウェー,ポーランド(COP19議長国),ペルー(COP20議長国),サウジアラビア,シンガポール及びADP共同議長が参加した。
(我が国からは,香川外務省地球規模課題審議官ほかが出席。)
(2) 議長はキャロライン・アトキンソン米大統領府国家安全保障次席補佐官。
3.議論の概要
(1)MEFアクション・アジェンダ
米国から,これまでの2回の作業部会での議論を踏まえて「MEF建築物エネルギー効率性向上イニシアティブ」を次回9月のMEFで立ち上げたいとして,MEF各国の協力及び支持が強く要請された。我が国を始め,本イニシアティブの内容及び立ち上げを基本的に支持する国々がある一方,実質的な排出削減に結びつく付加価値のあるイニシアティブにするために具体的な目標を盛り込むべきとの意見や,各国の政策の優先度を踏まえ,ベスト・プラクティスの共有等を中心とする柔軟なイニシアティブにすべきとの意見が出された。今回の議論を受けて,米国が提示する新たな提案を基に,イニシアティブの立ち上げに向けて議論を継続することとなった。
我が国からは,本イニシアティブの内容と立ち上げを支持,途上国は状況が異なるため柔軟な政策を採れる余地が必要であろうが,本イニシアティブの下,MEF各国が行動を開始し,各国間で協力を進めることが重要である旨発言した。
(2) 2015年合意
2015年合意に関して,法的拘束力のあり方,緩和コミットメント提出のタイミング及びプロセス,緩和コミットメントの内容について議論が行われた。
法的拘束力や緩和コミットメントの内容については,各国がそれぞれの事情に応じて自主的に策定したコミットメントがベースである点につき概ね意見の一致が見られたが,その形式,内容,法的拘束力に関しては,トップダウンとボトムアップの組み合わせが望ましく,様々な形式があり得るため単一ではないとの意見がある一方で,コミットメントの中身は差異が認められるべきであるが,法的拘束力は全ての国にとって同質であるべきとの意見が述べられた。
特に,気候変動枠組条約に定められた「共通だが差異ある責任(CBDR)」の原則をもとに,先進国との差異化を主張する途上国と,条約の原則は現状を踏まえて柔軟に解釈されるべきとする先進国の間で意見の相違が見られた。
緩和コミットメント提出のタイミング及びプロセスについては,実際にコミットメントを提出するためには,事前に国際的に共通のルールやフォーマットを定める必要があるとの意見が述べられた。各国のコミットメントを確定する時期に関しては,2015年合意までに完了させるべきとの意見と,国際的なルール策定を考えると各国のコミットメントを2015年合意で確定させることは困難であるとの意見が述べられた。
我が国からは,緩和と透明性は重要な要素であり,全ての国が参加する枠組みとするために,各国が自主的に策定したコミットメントをベースに,事前及び事後のコンサルテーションを通じて,削減ポテンシャルを把握し更なる削減努力の向上に繋げるサイクルが望ましいこと等を主張した。
(3) 次回のMEFは9月の国連総会の機会に米国・ニューヨークで開催される予定。