外交政策

21世紀の原子力エネルギーに関する国際閣僚会議(概要)

平成25年7月4日

 6月27~29日,サンクトペテルブルグにおいて,「21世紀の原子力エネルギーに関する国際閣僚会議」(注)が開催され,我が国から菅原経済産業副大臣,近藤原子力委員会委員長及び小澤ウィーン代大使他が出席したところ,概要以下のとおり。本件会議には87カ国及び7つの国際機関から500名以上が参加した。
(注)国際原子力機関(IAEA)は,持続可能な発展への原子力エネルギーの貢献,原子力エネルギーの今後の課題等についてハイレベルで議論を行うため,経済協力開発機構(OECD/NEA)の協力の下,本件閣僚会議を4年ごとに開催してきており,今次会合は第3回にあたる。
 
1 全体会合

(1)キリエンコ議長,ロゴジン・ロシア副首相,天野IAEA事務局長,エチャバリOECD/NEA事務局長から開会挨拶を行うとともに,各国からプレゼンテーションが行われた。

(2)我が国からは,菅原経済産業副大臣がステートメントを行った。菅原副大臣からは,東京電力福島第一原発の現状と事故への対応の進展,我が国のエネルギー・原子力政策,原子力安全や原子力発電の基盤整備といった分野における我が国の国際貢献について説明するとともに,IAEA及び加盟国と手を携え,原子力の平和利用において更に前進していく考えを表明した。
 各国からは,気候変動問題,エネルギー安全保障,経済的な競争性等を考慮しつつ,増大する電力需要に対応していく上で,原子力エネルギーは有力な選択肢であるとの考えが多数表明された。また,福島第一原発事故を踏まえ原子力安全の確保が極めて重要であるとの考えが表明され,各国の原子力安全分野での取組みやIAEA原子力安全に関するIAEA行動計画へのコミットメント等が表明された。
 
2 パネルセッション

 以下4つのテーマ別のパネルセッションが行われた。

(1) エネルギー及び環境
 パネリストから,気候変動問題に対応しつつ電力需要の増大に対応していく上で原子力は有力な選択肢であること,アフリカにおける原子力利用の重要性,ポーランドにおける原子力政策等についてプレゼンテーションが行われ,開発途上国において原子力エネルギーを選択可能とするための枠組みのあり方等について参加者との意見交換が行われた。
 
(2) 国際協力を通じた原子力の安全性及び信頼性(我が国からは関村直人東京大学教授がパネリストとして参加)
パネリストから,ロシアや日本,米国,中国といった各国や国際機関における原子力安全及び核セキュリティ向上の取組等についてプレゼンテーションが行われ,国際的な安全対策の情報共有の仕組みや,米国やロシアにおける原子力安全対策等について,参加者との意見交換が行われた。
 
(3) インフラ,技術及び制度に係る発展
 パネリストから,韓国における原子力分野での人材育成に関する取組み,UAEにおける原子力発電の導入,トルコにおける原子力発電導入計画の概要,フィンランドにおける使用済燃料及び放射性廃棄物の処理等についてプレゼンテーションが行われ,原子力導入に際してのファイナンス,人材育成の重要性等について参加者との意見交換が行われた。
 
(4) 持続可能で革新的な技術の展開の推進力
パネリストから,ロシアにおける高速炉の研究開発,フランスにおける使用済燃料及び放射性廃棄物の処理に関する研究開発,米国における小型炉等の研究開発,インドにおけるトリウム炉の研究開発等についてプレゼンテーションが行われ,新型炉に対する規制のあり方等について意見交換が行われた。
 
3 議長ステートメントの採択

 29日,本会議の議論の総括として,議長ステートメントが発表された。議長ステートメントの主な内容は以下のとおり。
  • 原子力エネルギーは,エネルギー安全保障を向上し,燃料価格の急激な変動を和らげ,気候変動の影響を緩和するため,引き続き重要な選択肢であることを認識。
  • 原子力発電所を稼働中の参加国の圧倒的多数は,安全性の包括的再評価を実施したことに留意する。
  • 福島第一原発事故の教訓を考慮しつつ,原子力安全,緊急事態への備え及び放射線防護について継続的な向上・強化をしていくことについて,全ての国は,共通の関心を有しており,コミットしていることを確認。参加者は原子力安全に関するIAEA行動計画へのコミットメントを再確認。
  • 参加者は,適切かつ適当な法的及び規制枠組みを整備する責任を有しており,原子力安全,核セキュリティ及び保障措置に関する義務を全うするための措置を実施してことを確認。また,世界的な原子力賠償の枠組みの設立に向け働きかけていくことの必要性を認識。
  • 適切な原子力エネルギーインフラの整備は,原子力エネルギー計画の導入にとって不可欠であること,国際協力は非常に重要であり,推奨されるべきであることを強調。
  • 使用済燃料の安全な管理及び放射性廃棄物の廃棄は原子力エネルギーの持続的発展にとって非常に重要であることを確認。使用済燃料及び高レベル放射性廃棄物の最終処分について進展が見られたことを歓迎,更なる取組を推奨した。
  • 世界的な原子力安全の継続的強化及び平和目的の原子力エネルギーの導入及び使用のための国際協力の促進におけるIAEAの中心的役割を重視。
  • 原子力エネルギーは,実証された,クリーン,安全かつ経済的な技術であり21世紀におけるエネルギー安全保障及び持続可能な開発の目標を達成するために,一層重要な役割を果たすであろうと結論づけた。

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