外交政策

平成25年5月27日
 4月28日から5月10日まで,ジュネーブ(スイス)で第2回化学物質・廃棄物関連3条約(バーゼル条約,ロッテルダム条約,ストックホルム条約)拡大合同締約国会議が開催されたところ,概要は以下のとおりです。
 
1. 全体概要
 今次会合では,第11回バーゼル条約締約国会議,第6回ロッテルダム条約締約国会議及び第6回ストックホルム条約締約国会議とあわせて,第2回3条約拡大合同締約国会議が開催され,(1)3条約のシナジー(注:有害な化学物質及び廃棄物を規制し,これらが環境及び人の健康に与える影響を防ぐという3条約共通の目的にかんがみ,3条約間で条約事務局の統合など運営面の効率化,地域センターの連携など条約実施の協調等を進める取組)及び予算,(2)技術援助及び資金支援,(3)遵守の3分野で各条約に共通する議論を行いました。
 また,5月9日から10日には,約80か国の閣僚級が出席するハイレベルセグメントが開催され,「適正な化学物質・廃棄物管理に関するジュネーブ宣言」が発出されました。
今次会合には,170か国の政府関係者,関係国際機関,産業界及び市民団体関係者等,計約1,700人が参加しました。
 
2. 主な会議の成果
(1) 第2回3条約拡大締約国会議
3条約の協力・連携のレビュー,今後の協力・連携のあり方,3条約共同事務局の事業計画及び予算について議論が行われました。3条約の連携を一層促進するために各締約国,事務局,UNEP及びFAOがとるべき具体的な行動の勧告リストが作成されるとともに,2017年までにシナジーの進捗状況に関する外部評価を実施することになりました。また,3条約に共通する,国及び地域レベルでの実施の促進等に向けた活動を更に進めることになりました。
化学物質及び廃棄物管理のための資金調達に関しては,(ア)主流化,(イ)民間部門の活用,(ウ)外部資金の調達を含む統合的アプローチを歓迎するとともに,3条約締約国に対し,更なる行動をとることを要請しました。
 
(2) 第11回バーゼル条約締約国会議
 第10回締約国会議で合意され,我が国が主体となって進めてきた廃棄物の環境上適正な管理に関するフレームワークが採択されるとともに,我が国から引き続きフォローアップ活動の支援を行っていく旨表明しました。また,水銀廃棄物の環境上適正な管理に関する技術ガイドラインの改定作業を行うとともに,電気電子機器廃棄物(E-waste)に関するガイドラインの策定や更なる法的解釈の明確化に向けて,引き続き議論していくことになりました。
 
(3) 第6回ロッテルダム条約締約国会議
新たに4種類の有害化学物質(アジンフォスメチル,商業用ペンタブロモジフェニルエーテル,商業用オクタブロモジフェニルエーテル,ペルフルオロオクタンスルホン酸・ペルフルオロオクタンスルホン酸塩・ペルフルオロオクタンスルホンアミド及びペルフルオロオクタンスルホニル)の附属書IIIへの掲載が決定された一方,クリソタイルアスベスト及びパラコートジクロライド含有駆除剤については,次回締約国会議で議論を続けることになりました。
 
(4)第6回ストックホルム条約締約国会議
 新たに1種類の物質(ヘキサブロモシクロドデカン:HBCD)が同条約の附属書A(廃絶)に追加されることが決定されました。この物質については,今後,各国が国際的に協調して製造・使用等の廃絶に向けた取組を行うこととなります。
また,過去に附属書に追加された化学物質の代替物質の評価,個別の適用除外に関する今後の作業計画,条約の有効性の評価などについての議論が行われました。
 
(5) 今後のスケジュール
 2015年5月に,ジュネーブで3条約の締約国会議を連続で開催し,各条約の実施に関連する事項とともに,3条約共通の議題について議論される予定です。
 
3. 評価
 環境分野では多数国間環境条約や関係機関が多く存在し,活動の重複や運営の非効率が問題となっていることから,異なる枠組の間で協力及び連携を促進し,環境に関するガバナンスを強化していくことが重要です。
化学物質及び廃棄物関連3条約では,他の分野に先駆けてシナジーの取組が進められ,条約事務局の合理的な運営などの成果が上がりつつあります。今後,引き続き3条約の間で協力及び連携を図り,化学物質及び廃棄物管理の重要性に対する認識の向上,各条約の実施の強化などが更に進むことが期待されます。

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