外交政策
強化された行動のためのダーバン・プラットフォーム特別作業部会(ADP)第2回会合第1セッション 結果概要
平成25年5月3日
4月29日~5月3日,ドイツ・ボンにおいて,国連気候変動枠組条約の下の「強化された行動のためのダーバン・プラットフォーム特別作業部会(ADP)」第2回会合第1セッションが行われたところ,概要は以下のとおり。我が国から,外務・経済産業・環境・農林水産・国土交通各省関係者が出席した。
ADPは,2011年末に南アフリカ・ダーバンで開催された第17回気候変動枠組条約締約国会議(COP17)での合意を受け,昨年5月に設置されたもの。(1)全ての国に適用される2020年以降の新しい法的枠組み(以下「2020年枠組み」という。)の2015年までの採択及び(2)2020年までの排出削減(緩和)の野心の向上について議論を行う。
本会合は,昨年末にカタール・ドーハで開催されたCOP18で決定されたADP作業計画に基づき,今年3回ないし4回開催されるADP第2回会合の最初のセッション。上記2つの議題(ワークストリーム)について,各国参加者による議論の場である「ラウンドテーブル」及び有識者,国際機関等も参加する「ワークショップ」を開催し,各国が自由に意見交換を行った。
我が国は,(1)今回会合を含む本年のADP会合等の機会を最大限活用して,2020年枠組みの構造(architecture)や含まれるべき主要な要素について,より具体的なブレーンストーミングを進めながら,共通認識と論点を洗い出し,徐々に議論を深めていくべきであること,(2)本年後半から11月のCOP19にかけて,より焦点を絞った議論に移行すべきであること等を主張しつつ交渉に参加した。
また,交渉と並行して,二国間・多国間の会談等を行い,本年のADPの議論やCOP19で目指すべき成果等について我が国の考えを各国に伝えるとともに,各国の立場について情報収集を行った。
より詳しい会合の概要は以下のとおり。
1.会合の概要
(1)2020年枠組みのビジョン及び2020年までの緩和の野心向上の2つのワークストリームの下,2020年枠組みについて「スコープ,構造及びデザイン」,野心向上について「低炭素成長の機会」及び「土地利用関連の緩和及び適応の機会」と題する3つのワークショップが開催され,有識者や国際機関からのプレゼンテーション,各国交渉官も加わったパネルディスカッション及びそれを受けた意見交換が行われた。
(2)ワークショップでの議論を受ける形で,2つのワークストリームについて「ラウンドテーブル」の形式で,各国間の自由かつ率直な意見交換が行われた。
2020枠組みのビジョンのワークストリームでは,2020年枠組みのイメージや,全ての国への適用(applicable to all),各国の事情(national circumstances),柔軟性(flexibility)といった概念をどのように2020年枠組みに反映させていくかについて意見交換が行われた。その結果,全ての国が参加するとともに,共通だが差異ある責任(CBDR)や衡平性といった条約の原則に基づく枠組みを構築するためには,各国の事情に応じた各国の努力を基本としていく必要があること,共通のルールの下で各国の行動の透明性と環境十全性を確保する必要があることについて概ね認識の共有が見られた。一方で,その詳細については先進国,新興国,開発途上国などのグループごとに考えに違いがあり,とりわけ途上国の側に先進国が率先して緩和を行うべしとの主張が強く,今後さらに論点を絞って意見交換を進める必要があることが確認された。
2020年までの緩和の野心向上のワークストリームでは,各国の野心向上や低炭素成長に向けた取組の紹介や,国連内外の取組や国際協力イニシアティブの活用により,排出削減を促進させるための方策について意見交換が行われた。議論の中で,これまでのCOP決定で設置された様々なメカニズムの完全な実施,技術的な議論の継続及び野心向上に対する政治的なシグナルの重要性,様々な国際協力イニシアティブの推進と情報共有のためのプラットフォームとしてのADPの有用性,各国の開発政策における気候変動の主流化といった点について認識の共有が見られた。また,AOSISからはCOP19に向けて,エネルギー効率向上と再生可能エネルギーに焦点を絞った作業に関する提案が出された。
(3)我が国は,2020年枠組みを公平で実効性があり,長続きするものとするために全ての国の参加の確保が重要であり,そのためには,各国が国内事情を踏まえて自ら決定した削減目標や政策措置を提示・登録し,共通の測定・報告・検証(MRV)制度によって事前・事後に相互にチェックし合うことで,各国の行動の透明性を高め,緩和野心の向上につなげることが重要との考えを主張した。また,適応,実施の手段(資金,技術移転,キャパシティビルディング)の重要性については認識しつつも,既存の組織・仕組みとの関係を指摘し,それらとの重複を避けるべき旨主張した。
(4)今回の会合は閉会手続きを取らずに中断され,次回6月にボンで開催される補助機関会合(SB)の機会に再開されることとなった。今回のラウンドテーブル及びワークショップの結果は共同議長の責任で取りまとめられ,後日公表される予定。
(5)なお,共同議長から,6月の会合後に共同議長の交代が予定されていることを踏まえ,何らかの中間成果をとりまとめるための場(コンタクトグループ)を設置してはどうかとの提案があり,設置の是非や数を含めて,6月の会合で引き続き議論されることとなった。また,条約事務局より,次回以降のセッションについては,開催費用の関係から,現時点では9月の開催は困難であり,その場合には6月のSB及び11月にポーランド・ワルシャワで開催されるCOP19の機会の2回となることが発表された。
2.我が国の立場に関する説明等
(1)二国間・多国間の会談
会合期間中,EU,米国,英国,インド,中国,小島嶼国との二国間会談等を行い,今後のADPプロセスの進め方や我が国が進める二国間オフセット・クレジット制度等について意見交換を行った。
(2)ステークホルダーとの対話
会合期間中,日本のNGO及び国際NGOと意見交換を行った。
(3)プレスへの説明
会合期間中,邦人記者に対するブリーフを行い,交渉の状況や我が国の立場について説明した。
ADPは,2011年末に南アフリカ・ダーバンで開催された第17回気候変動枠組条約締約国会議(COP17)での合意を受け,昨年5月に設置されたもの。(1)全ての国に適用される2020年以降の新しい法的枠組み(以下「2020年枠組み」という。)の2015年までの採択及び(2)2020年までの排出削減(緩和)の野心の向上について議論を行う。
本会合は,昨年末にカタール・ドーハで開催されたCOP18で決定されたADP作業計画に基づき,今年3回ないし4回開催されるADP第2回会合の最初のセッション。上記2つの議題(ワークストリーム)について,各国参加者による議論の場である「ラウンドテーブル」及び有識者,国際機関等も参加する「ワークショップ」を開催し,各国が自由に意見交換を行った。
我が国は,(1)今回会合を含む本年のADP会合等の機会を最大限活用して,2020年枠組みの構造(architecture)や含まれるべき主要な要素について,より具体的なブレーンストーミングを進めながら,共通認識と論点を洗い出し,徐々に議論を深めていくべきであること,(2)本年後半から11月のCOP19にかけて,より焦点を絞った議論に移行すべきであること等を主張しつつ交渉に参加した。
また,交渉と並行して,二国間・多国間の会談等を行い,本年のADPの議論やCOP19で目指すべき成果等について我が国の考えを各国に伝えるとともに,各国の立場について情報収集を行った。
より詳しい会合の概要は以下のとおり。
1.会合の概要
(1)2020年枠組みのビジョン及び2020年までの緩和の野心向上の2つのワークストリームの下,2020年枠組みについて「スコープ,構造及びデザイン」,野心向上について「低炭素成長の機会」及び「土地利用関連の緩和及び適応の機会」と題する3つのワークショップが開催され,有識者や国際機関からのプレゼンテーション,各国交渉官も加わったパネルディスカッション及びそれを受けた意見交換が行われた。
(2)ワークショップでの議論を受ける形で,2つのワークストリームについて「ラウンドテーブル」の形式で,各国間の自由かつ率直な意見交換が行われた。
2020枠組みのビジョンのワークストリームでは,2020年枠組みのイメージや,全ての国への適用(applicable to all),各国の事情(national circumstances),柔軟性(flexibility)といった概念をどのように2020年枠組みに反映させていくかについて意見交換が行われた。その結果,全ての国が参加するとともに,共通だが差異ある責任(CBDR)や衡平性といった条約の原則に基づく枠組みを構築するためには,各国の事情に応じた各国の努力を基本としていく必要があること,共通のルールの下で各国の行動の透明性と環境十全性を確保する必要があることについて概ね認識の共有が見られた。一方で,その詳細については先進国,新興国,開発途上国などのグループごとに考えに違いがあり,とりわけ途上国の側に先進国が率先して緩和を行うべしとの主張が強く,今後さらに論点を絞って意見交換を進める必要があることが確認された。
2020年までの緩和の野心向上のワークストリームでは,各国の野心向上や低炭素成長に向けた取組の紹介や,国連内外の取組や国際協力イニシアティブの活用により,排出削減を促進させるための方策について意見交換が行われた。議論の中で,これまでのCOP決定で設置された様々なメカニズムの完全な実施,技術的な議論の継続及び野心向上に対する政治的なシグナルの重要性,様々な国際協力イニシアティブの推進と情報共有のためのプラットフォームとしてのADPの有用性,各国の開発政策における気候変動の主流化といった点について認識の共有が見られた。また,AOSISからはCOP19に向けて,エネルギー効率向上と再生可能エネルギーに焦点を絞った作業に関する提案が出された。
(3)我が国は,2020年枠組みを公平で実効性があり,長続きするものとするために全ての国の参加の確保が重要であり,そのためには,各国が国内事情を踏まえて自ら決定した削減目標や政策措置を提示・登録し,共通の測定・報告・検証(MRV)制度によって事前・事後に相互にチェックし合うことで,各国の行動の透明性を高め,緩和野心の向上につなげることが重要との考えを主張した。また,適応,実施の手段(資金,技術移転,キャパシティビルディング)の重要性については認識しつつも,既存の組織・仕組みとの関係を指摘し,それらとの重複を避けるべき旨主張した。
(4)今回の会合は閉会手続きを取らずに中断され,次回6月にボンで開催される補助機関会合(SB)の機会に再開されることとなった。今回のラウンドテーブル及びワークショップの結果は共同議長の責任で取りまとめられ,後日公表される予定。
(5)なお,共同議長から,6月の会合後に共同議長の交代が予定されていることを踏まえ,何らかの中間成果をとりまとめるための場(コンタクトグループ)を設置してはどうかとの提案があり,設置の是非や数を含めて,6月の会合で引き続き議論されることとなった。また,条約事務局より,次回以降のセッションについては,開催費用の関係から,現時点では9月の開催は困難であり,その場合には6月のSB及び11月にポーランド・ワルシャワで開催されるCOP19の機会の2回となることが発表された。
2.我が国の立場に関する説明等
(1)二国間・多国間の会談
会合期間中,EU,米国,英国,インド,中国,小島嶼国との二国間会談等を行い,今後のADPプロセスの進め方や我が国が進める二国間オフセット・クレジット制度等について意見交換を行った。
(2)ステークホルダーとの対話
会合期間中,日本のNGO及び国際NGOと意見交換を行った。
(3)プレスへの説明
会合期間中,邦人記者に対するブリーフを行い,交渉の状況や我が国の立場について説明した。