国連外交
国連水と災害に関する特別会合(概要及び意義)
1 概要
(1)日時及び場所:3月6日,国連本部経済社会理事会議場にて開催
(2)主催:国連事務総長,国連水と衛生に関する諮問委員会(UNSGAB),水と災害に関するハイレベルパネル(HLEP/UNSGAB)
(3)聴衆:約300名(報道機関への公開会合)
(4)会合の構成及び発言・講演者(発言・講演順)
ア 第1部(オープニング・セッション)
- パン・ギムン国連事務総長
- イェレミッチ国連総会議長
- 我が国皇太子殿下(UNSGAB名誉総裁)(基調講演)
- オランダ皇太子殿下(UNSGAB議長)(基調講演)
- ハン・スンスHLEP創設議長
イ 第2部
(ア)ハイレベル専門家によるスピーチ
(近年巨大水災害に見舞われた被災国の取組等のスピーチ)
(南三陸町在住の東日本大震災被災者,ボランティア活動に参加)
- キティラット・タイ副首相兼財務大臣
- エルディーン・アフリカ水大臣会合議長
- ファンハーゲン・オランダ・インフラ環境大臣
- クントロ・インドネシア開発制御監視・大統領執務室長
- イリゴイエン世界銀行副総裁代行
- ヘッペ・ミュンヘン再保険会社地球リスク研究部長
- 三浦ほのか・宮城県立本吉響高等学校3年生
(イ)政府・国際機関専門家による水と災害に関するパネルディスカッション
共同議長:
ジャロー世界気象機関事務局長
パネリスト:
ボコバ・UNESCO事務局長
菊川滋・国土交通省技監
ボスティック米国陸軍工兵隊司令官
タール・アフリカ水大臣会合事務局長
チャン国連アジア太平洋経済社会委員会環境・持続可能な開発部長
フィンクフージャーEC戦略政策国際協力部長。
(ウ)国際機関,民間団体等の防災関係者によるパネルディスカッション
議長:
ワルストロム・国連防災戦略事務総長特別代表
パネリスト:
パヴァネリ・国際公務員労連会長
シェファープレウス・世界水パートナーシップ議長
ブラガ・世界水会議会長
エデルマン・AECOMシニア副会長兼世界水資源部長
カロンジ・UNESCO自然科学担当事務局長補
ウム・アジア開発銀行地域・持続可能な開発部副部長
ウ 閉会 エリアソン国連副事務総長
ハン・スンスHLEP創設議長
2 皇太子殿下の基調講演
(1)表題
「人と水災害の歴史を辿るー災害に強い社会の構築のための手掛かりを求めてー」
(2)概要
- 冒頭,本会合において基調講演をすることは大きな喜びであると発言され,また,ハリケーン・サンディの被災者に対してお見舞いの言葉を表明された。
- 人と自然災害の関係から災害に備えた社会づくりのヒントを探ることが講演のテーマであり,殿下御自身が被災地を訪問された東日本大震災から始まり,869年の貞観地震,1498年の明応地震に言及された後,鴨長明の「方丈記」における1177年安元の大火,1180年の治承の辻風,1181~1182年の養和の飢渇及び1185年の元暦の大地震の描写を紹介され,東日本大震災で起きた事象との類似性を指摘された。
- 続いて,洪水,干ばつが国境を越えて世界各地で頻発しており,これらの水災害に備えることが国際社会に求められている最重要課題であると発言され,そのためには現代に生きる人々自身が災害に強い社会を作ろうという強い意志が何よりも必要であると強く主張された。
3 特別会合開催の意義
(1)我が国皇族が国連において講演されるのは今回が初めて。約30分間に及んだ,水分野に造詣の深い皇太子殿下の講演及び投影資料を参加者が非常に熱心に静聴。皇太子殿下以後の発言者の多くが,殿下の講演内容に言及し,過去に学ぶことの重要性に賛同。
(2)国連において水と災害に関するハイレベル専門家による会合が開催されたのは今回が初めて。国連事務総長を始め多くの関係者が今回の会合の重要性を強調。今後水と災害に関する議論が活発になることが期待。
(3)水と災害というテーマについて議論を重ねることは,我が国が2015年にホストすることが決定している第3回国連防災世界会議に向けて,また,国連の最重要課題の一つである持続可能な開発,2015年より先の開発目標の在り方を考えていく上で重要である。