日本の安全保障と国際社会の平和と安定
化学兵器禁止条約(CWC)第4回運用検討会議
平成31年1月25日
1 会議の概要
- (1)2018年11月21日から30日まで,オランダのハーグにて,化学兵器禁止条約(CWC)第4回運用検討会議が開催され,締約国193か国のうち我が国を含む150か国のほか,オブザーバーとしてイスラエル(署名国),南スーダン(未署名国)が参加しました。
- (2)5年に一度開催されるCWC運用検討会議は,過去5年間の条約の運用状況を踏まえ,今後の方向性を定める節目となる会議です。今回の会議は,条約発効以来21年が経過し,ストックパイル(保有)化学兵器の廃棄が進捗する一方で,化学兵器使用事案の頻発により,化学兵器禁止機関(OPCW)の新たな役割が求められる中での開催となり,今後のOPCWの役割に関する議論が注目される会議となりました。
- (3)今回の会議では,国家及びテロリストを含む非国家主体による化学兵器の使用事案の頻発や科学技術の進展等を踏まえ,条約の国内実施強化,効果的な検証制度の運用,国際協力と援助の重要性等について,活発に議論が行われました。
- (4)最終報告書の調整においては,特にシリアの化学兵器問題をめぐり,OPCW-国連共同調査メカニズム(JIM)の調査結果の記述や,第4回特別締約国会議における決定に関する協議が難航し,調整を重ねたものの,関係締約国間の立場の隔たりが埋まらなかったため,報告書はコンセンサス採択されず,議長個人の見解を記した「議長テキスト」という形で発出されることとなりました。
2 我が国の貢献と評価
- (1)我が国は,「化学兵器の再出現防止のために取りうる方策(英語)(PDF)
」及び「中国遺棄化学兵器に関する我が国の取り組み(英語)(PDF)
」に関する作業文書を提出するなどして,報告書作成の準備段階から積極的に議論に貢献してきました。また,今回の会議では,猪俣弘司駐オランダ大使・OPCW常駐代表を団長とする代表団が参加し,最終報告書への合意形成に向けた努力を行いました。
- (2)また,我が国は,今回の会議のサイドイベントとして,中国遺棄化学兵器(ACW)廃棄事業に関するパネル展及びレセプションを主催し,アリアスOPCW事務局長を始めとする多くの関係者が出席しました。
- (3)今回の会議では,化学兵器使用事案をめぐる締約国間での意見の隔たりにより,最終報告書について合意に至りませんでしたが,我が国は,化学兵器の使用は決して受け入れられないという立場から,今後もCWCの主要締約国(日本は米国に次ぎ第二位の分担金拠出国)として,OPCWの諸活動に積極的に参画していく考えです。