日本の安全保障と国際社会の平和と安定

平成25年11月22日

 11月22日,外務省で開催された女性・平和・安全保障に関する行動計画についての第1回少人数グループ会合の概要は以下のとおりです。
 なお,今回の会合の後半部分には,外務省の招待により訪日中であったバングーラ紛争下の性的暴力担当国連事務総長特別代表が訪れ,日本の行動計画策定作業の現状を視察するとともに,市民社会,有識者の方々と意見交換を行いました。

1.出席者

少人数グループのメンバーが出席し,関心を有する方々20名弱がオブザーバーとして傍聴されました。

【参考】 少人数グループ・メンバー(敬称略)

<学識者>
秋林 こずえ 立命館大学
川眞田 嘉壽子 立正大学
田中 雅子 文京学院大学
福井 美穂 お茶の水女子大学
三輪 敦子 (公財)世界人権問題研究センター
<市民連絡会>
斎藤 文栄 東日本大震災女性支援ネットワーク
武田 万里子 国際女性の地位協会
本山 央子 アジア女性資料センター
与那嶺 涼子 ジェンダーコンサルタント女性・平和・安全保障
渡辺 美奈 アクティブ・ミュージアム「女たちの戦争と平和資料館」
<外務省>
和田 幸浩 外務省総合外交政策局主任外交政策調整官
他4名
<関係府省庁>
内閣府男女共同参画局
内閣府国際平和協力本部事務局
JICA

2.議論の概要

(1)UN Women主催の行動計画グローバル・レビュー会合の結果概要

 外務省から,11月5日から7日にニューヨークで開催されたUN Women主催の行動計画グローバル・レビュー会合の結果取りまとめ(PDF)PDFを配布の上,ポイント以下のとおり概要を報告しました。

  • ア 今回の会合には,行動計画策定済みの主要国が招待されたが,本年策定プロセスを開始した日本も,国連,各国及び市民社会の高い関心を踏まえ,特別に招待された。会合には,各国から政府関係者のみならず市民社会も参加し,(1)計画の策定,(2)実施,(3)モニタリング・見直し・報告,(4)予算措置の4つのテーマについて分科会で議論し,提言をまとめた。
  • イ 各国の参加者から,伝統的な狭義の安全保障ではなく,問題の根本原因に対処するため,人間の安全保障の観点から捉える必要があるとの意見が多く出されたことは印象的であった。
  • ウ 地方が主体となって行動計画を実施する地方化(localization)は,中央政府の実施能力が劣る場合に有効なアプローチになるとともに,行動計画を策定していない国においても,地方が主体的に関連施策を実施することで,実質的に行動計画と同等の効果を持つ点で画期的なアプローチであると言える。

(2)行動計画の策定に向けたスケジュール案

 外務省から,今後のスケジュール案(PDF)PDFを配布の上,ポイント以下のとおり説明しました。

  • ア 少人数グループを月2回開催することは野心的かもしれないが,今後とも効率的に作業を進めたい。
  • イ 案は現時点でのイメージであるが,それでも計画の策定・公表は明年6月又は7月頃となる。具体的な会合の開催日は市民社会にその都度相談するが,できるだけ早く策定・公表できるよう今後とも相談していきたく,協力願いたい。

(3)行動計画の骨子案(第2稿)へのコメント

  • ア 市民社会から,計画の策定に当たり組織した「1325NAP市民連絡会」での検討の結果これまで出た意見として,10月18日の第2回意見交換会で席上配布した行動計画の骨子案(第2稿)(PDF)PDFに対するコメント(「主要なコメント(PDF)PDF」は,「各WGからの意見(PDF)PDF」の主要な要素を取り出してまとめたもの)を配布の上,「主要なコメント」に沿って概要の説明がありました。
  • イ このコメントを踏まえ,次回の少人数グループ会合までに外務省で行動計画案の第一稿を作成することになりました。

(4)バングーラ紛争下の性的暴力担当国連事務総長特別代表との意見交換

 冒頭,バングーラ特別代表から,自身の活動内容の概要について説明があり,その後,参加者の方々との質疑応答が行われました。同特別代表の発言の主なポイントは,取りまとめ以下のとおりです。

  • ア 紛争下の性的暴力の問題に対する日本のこれまでの貢献を評価。紛争下の性的暴力については,G8の宣言を含め,国際社会において,この問題に対処する政治的意思が示されているが,各国政府が示した意思を行動に移すことが必要。日本が今後,本問題を含むグローバルな課題にいかに貢献するか期待。
  • イ 女性・平和・安全保障に関する行動計画は,女性の参画なしに平和はないとの理念に基づく。日本が市民社会の参加を得て行動計画の策定に取り組んでいることは喜ばしい。
  • ウ 安保理決議第1325号の内容は全ての国に当てはまるわけではなく,各国の行動計画で必要とされる内容は,各国自身が決めるべきものであり,国際社会として指図すべきものではない。
  • エ 紛争下の性的暴力への対処において,加害者の不処罰の終焉が重要。国際刑事裁判所(ICC)による訴追に加え,医療や心理的治療といった救済も必要。また,防止に当たっては国内法制度の改革を要する場合もある。さらに,加害者の処罰に当たっては,被害者や目撃者,証人の保護も重要。
  • オ 安倍総理が国連一般討論演説で表明した今後3年間で30億ドルの女性支援策を評価。金額そのものが重要ではなく,この資源をいかに活用し,いかなる成果を出していくかを注視。

3.今後の予定

  • (1)12月16日の週を目途に,少人数グループの第2回会合を開催すべく調整することになりました。
  • (2)少人数グループ会合の開催,また,同会合の結果などの検討状況は,引き続き外務省ホームページなどを通じて幅広く共有させていただき,引き続き随時御意見を頂きながら,作業を進めていく予定です。

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