外交政策

(2013年9月26日,於:ニューヨーク)

平成25年9月26日

● 日本がシリア情勢を深く憂慮する理由は二つあります。第一に、決して許されてはならない化学兵器が使用され、多くの犠牲者が出たことです。北朝鮮など大量破壊兵器を有している国への波及、また、日本は地下鉄でサリンを使ったテロ事件により多くの犠牲者を出しており、他人事ではありません。化学兵器の使用を強く非難します。

● 同時に忘れてならないことは、現在も、シリアでは、通常兵器を使った紛争が継続しており、尊い人命が日々失われ、また、大量の難民・避難民を生み出していることです。化学兵器の問題のみならず、シリア情勢全体について目を配り、取り組んでいく必要があります。

● このような中、我々には(1)化学兵器廃棄に向けた取組、(2)暴力の停止と政治対話の促進、また、(3)劣悪な人道状況改善のための取組が求められています。国際社会の一致した協力が重要であり、今回の会合開催を高く評価します。各国が各々の強みを発揮し、お互いに補強・補完しあって取り組んでいくことを期待します。

● 化学兵器の廃棄については、現在行われている関係国の努力を歓迎します。一日も早いOPCWでの決定及びこれを補強する強力な安保理決議の採択を望みます。日本としても可能な限りの協力・貢献を行っていく考えです。

● 暴力の停止や政治対話の促進については、日本として、ジャルバー議長の代表するグループとの対話も含め、シリア情勢の改善・正常化に向けた国際社会の取組に積極的に参加・貢献していく考えです。

●人道支援については、日本は、特に過去一年間、国際機関を通じた支援や周辺諸国への支援を大幅に増やしてきました。加えて、国際社会の支援の手が及ばない反体制派支配地域へのクロスボーダーの支援を行うこととし、様々な国や援助団体などと協力して、支援を開始しました。

● 日本は、人間一人ひとりを大切にする人間の安全保障の概念にのっとり、特に、女性や子供といった弱者にも配慮しつつ、シリアに対する人道支援を継続していきます。日本がこれまでにコミットした支援総額は、本日発表した追加の約6,000万ドルを含めれば、約2.8億ドルに上ります。

● これらの支援を,今後,ジュネーブ2を始めとする政治対話のプロセスと並行させ、国際社会の皆様と協力しつつ進めていく決意です。

● 世界の一隅で続いている大量の人命損失に国際社会は非力であり続けられるはずはなく、この挑戦に我々が如何に対処するかを、現代の、そして未来の世代が注目しているといえるでしょう。

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