経済

投資委員会
CI: Investment Committee

1.概要

 国際投資委員会は、2004年、OECDにおける委員会再編の議論の結果、「国際投資・多国籍企業委員会(CIME: Committee on International Investment and Multinational Enterprises)」と「資本移動・貿易外取引委員会(CMIT: Committee on Capital Movements and Invisible Transactions)」の統合により設立することが合意されました。2004年9月に統合後の第1回会合を開催し、その後、4月、6月、9月、12月の年4回の会合を開催してきています。このうち6月の会合は、例年多国籍企業行動指針に基づく各国連絡窓口の年次総会となっています。

2.主要活動

(1)旧国際投資・多国籍企業委員会関連活動

 1976年の国際投資及び多国籍企業に関する宣言(注1)及び内国民待遇に関する理事会決定等の解釈、実施に関する問題を検討し、結論を理事会に報告することを主要な任務としています。具体的作業は以下(イ)~(ニ)のとおりです。

注1:国際投資環境の改善、多国籍企業の経済・社会発展への寄与及びその行動から生じる困難の解決を目的として加盟国が行った政治的意図表明であり、多国籍企業が自主的に尊重することが期待されている「多国籍企業行動指針」、外国企業に対して加盟国が自国企業に対する措置と同等の待遇を与えるべきことを謳った「内国民待遇」などの項目から構成されている。

(イ)「多国籍企業行動指針」関連活動

 2000年に改訂された「OECD多国籍企業行動指針PDF」(注2)に関し、年に一度各国連絡窓口(NCP:National Contact Point)の年次総会を開催し、各国連絡窓口が行動指針の実施や普及活動で得た経験や問題点等に関し情報を共有し、行動指針のより一層効果的な実施及び広範な普及を促進につなげる活動を実施しています。これに関連し、BIAC(産業界をとりまとめるOECDへのアドバイザー組織)、TUAC(労働組合をとりまとめるOECDへのアドバイザー組織)及びNGOと定期的及び非公式に協議を行い、行動指針に関する問題意識等を共有し、問題点等は投資委員会本会合で議論を行い、解決策を検討しています。

注2:多国籍企業が母国以外の国において、責任ある行動をとるよう基準を定めたガイドライン。強制力はない。各国連絡窓口は、行動指針の普及、個別事案への取組、OECDへの活動報告を行う。

(ロ)「投資動向」「投資法関連イシュー」の研究

 国際直接投資(FDI)の傾向、便益、開発にもたらす影響等に関する研究や分析を包括的に実施しています。また、二国間・地域間の投資協定のあり方や条文解釈、あるいは国対投資家の紛争処理の方法や裁判所の判断の解釈等について「投資関連法律イシュー」として議論・研究を実施しています。

(ハ)「開発と投資戦略プロジェクト」の推進

 民間投資が途上国の成長に不可欠のものであるとの観点より、2003年の閣僚理事会において、我が国より、具体的な行動計画の策定に向けた議論を開始することを提案し、強い支持を得ました。その後、理事会にて正式に承認され、2003年秋より作業が本格化しました。2005年の閣僚理事会へ成果が中間報告され、2006年閣僚理にて最終報告される見通しです。

(ニ)非加盟国との協力

 国際投資グローバル・フォーラムの開催(2003年:南ア、2004年:インド、2005年ブラジル)、中東北アフリカ(MENA)諸国の投資環境整備に向けた協力(OECD/MENAイニシアティブ)の他、各種の対中国プロジェクトや「開発のための投資プロジェクト」と関連して対NEPAD支援事業等が行われています。特に、アフリカ開発に関しては、2005年のOECD閣僚理事会にて、町村大臣より、アフリカの投資環境改善努力への具体的な支援活動を行うことを提案し、各国の支持を得ました。これについては、9月の投資委員会会合にて具体化に向けた検討が行われる予定です。

(2)旧資本移動・貿易外取引委員会関連作業

 資本移動自由化規約(Code of Liberalisation of Capital Movements)及び経常的貿易外取引自由化規約(Code of Liberalisation of Current Invisible Operations)(以下「両規約」)の解釈又は適用に関する問題を検討し、必要に応じてその結論を理事会に報告することを主要任務としています。このような問題の検討は、主に各国の審査及び新たな加盟申請国に対する審査に際して行われています。主要作業は以下(イ)~(ニ)のとおりです。

(イ)両規約への新規加盟国が、当該国の関連する政策・制度について両規約等に適合的であるかにつき審査を行います。(その結果、当該国は、多くの場合は加盟に際して関連する国内措置を改正することとなります。)

(ロ)既加盟各国の政策、措置が両規約等に適合しているかにつき定期的に審査を行います。

(ハ)加盟の際に行った国内措置改正に関するコミットメント(約束)の実施状況等の適正性につき審査します。

(ニ)貿易外取引自由化規約の関連では、保険分野の規約(付属書)見直し作業が行われています。

Adobe Acrobat Readerダウンロード Adobe Systemsのウェブサイトより、Acrobatで作成されたPDFファイルを読むための Acrobat Readerを無料でダウンロードすることができます。左記ボタンをクリックし て、Adobe Systemsのウェブサイトからご使用のコンピュータのOS用のソフトウェア を入手してください。

このページのトップへ戻る
前のページへ戻る | 目次へ戻る