経済

OECDにおける中東・北アフリカ(MENA)イニシアティブの概要

平成17年6月

1.目的・経緯

(1)平成15年9月のIMF・世銀年次総会(於:ドバイ)の機会に、ジョンストンOECD事務総長がア首連、サウジ、バーレーンの高官と意見交換した際、中東・北アフリカ(MENA)地域の成長、安定のためのOECDとの協力につき協議したことが発端。その後、平成 16年2月、MENA地域における「開発のための投資」及び「パブリック・ガバナンス」を2本の柱とした協力プログラムを進めていくための予備的会合を開催した(MENA諸国、OECD加盟国、UNDP、世銀等が参加)。

(2)上記会合の成果を踏まえ、MENA諸国による改革を支援するため、MENA諸国とOECD諸国とが共同して実施していくプログラム案が纏められ、平成16年5月の閣僚理事会において議論され、我が国、米国をはじめ各国が右提案に賛意を表明した。

(3)OECD閣僚理事会に前後して行われた平成16年4月のパブリック・ガバナンスに関する専門家会合(於:モロッコ)、投資プログラムに関する6月及び9月の運営グループ会合(於:ヨルダン)における議論を経て、同年11月、OECD理事会にて、投資及びパブリックガバナンスに関するOECD-MENAイニシアティブを3ヵ年プログラムとして実施していくことを決定。

(4)我が国は、当初より積極的に本件イニシアティブを支持し、投資プログラムに関しては、同プログラムの全体的な作業方針作成や管理を行う「運営グループ会合」の第1回及び第2回OECD加盟国側議長を務めるなど、大きく貢献している。またガバナンス・プログラムに関しても、平成17年5月スペインに開催された第1回運営グループ会合にて、わが国の運営グループ会合のOECD加盟国側議長就任が決まった。

2.MENAイニシアティブの意義

(1)MENA地域の成長と安定は、我が国のエネルギーのみならず安全保障の観点からも重要。MENA諸国側としては、同地域がかかえる深刻な人口増加と雇用問題に対処するため、また石油等特定産品に依存した経済構造を有する国が多く、持続的発展のため産業構造の多角化が必要であるとして、投資促進を希求している。

(2)先般のシーアイランド・サミットは、中東問題を中心議題のひとつとし、同サミットの成果として、MENA地域の改革支援を目的とする「拡大中東・北アフリカ・パートナーシップ構想」を政治宣言と改革支援計画という形でとりまとめた。右支援計画の具体的施策のひとつとしてOECDにおける取組が念頭に置かれている。

3.具体的作業内容

 本件プログラムでは、MENA諸国の投資・ガバナンスに関する諸政策、法制度のあり方、投資誘致やガバナンス改善のためにODAを最大限活用するための方法などについて、各作業部会をMENA側調整国とOECD側パートナー国がリードし、現状を把握した上で、あるべき政策オプションや他の諸国の好事例を洗い出し(1年目)、右を踏まえた各国の政策立案・実施を支援し(2年目)、その実施状況をモニターしていく(3年目)こととなっている。

4.作業の現状と今後のスケジュール

(1)「投資プログラム」

(イ)現状

 平成16年6月及び10月の運営グループ会合の結果、5つの作業部会(注1)の設置、MENA各国における関連諸施策の調整を行う国内経済チーム(Country Economic Team)の設置、作業を進めていくことを決定。本年1月末から2月中旬にかけ、各作業部会の第1回会合が行われた(注2)

(注1)5つの作業部会(共同議長国)

 WG1:透明で開放的な投資政策(日本/ヨルダン)

 WG2:改革推進役を担う投資促進機関・産業団体の強化(未定/ドバイ)

 WG3:投資に関連する税制と誘致政策の評価(トルコ/エジプト・バーレーン)

 WG4:経済・投資多様化のための金融部門・企業開発政策の推進(英/サウジ)

 WG5:コーポレート・ガバナンスの改善(未定/レバノン)

(注2)作業部会第1回会合は、WG1は2月1~2日(於:ドバイ)、WG2は2月2~3日(於:ドバイ)、WG3は1月26~27日(於:バーレーン)、WG4は2月7~8日(於:ジェッダ)、WG5は2月14日(於:アンマン)にて開催された。

(ロ)平成17年の今後の日程

(1)作業部会、運営グループ会合
 6月~7月 第2回各作業部会
 9月 第3回各作業部会
 10月 第4回運営グループ会合(於:イスタンブール)

(2)閣僚級会合関連日程
 11月16日 MENA-OECDビジネス・デー(於:アンマン)
 11月17日 MENA投資閣僚会合(於:アンマン)

(2)「パブリック・ガバナンス」

(イ)現状

 平成16年9月、パブリック・ガバナンス活動の推進を確認する閣僚級会合を開催(於ヨルダン)し、6つの作業部会(注3)の設置を決定。平成17年2月6~7日にパブリック・ガバナンス・プログラムを正式に立ち上げるための閣僚級会議を開催(於ヨルダン)。我が国からは、福島外務大臣政務官が出席。

(ロ)平成17年の今後の日程

(注3) 6つの作業部会(共同議長国)

 WG1:市民サービスの強化(モロッコ/西、トルコ)

 WG2:電子政府及び規制改革(ドバイ/伊、韓)

 WG3:公的リソースのガバナンス(エジプト/蘭、米)

 WG4:公共サービスの提供(チュニジア/英、伊、加)

 WG5:司法の役割(ヨルダン/米、仏)

 WG6:市民社会とメディア(レバノン/EC)

※WG1~3はOECD、WG4~6はUNDPが運営を担当。

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