経済

第47回OECD閣僚理事会(概要と評価)

平成20年6月5日

1.6月4日から5日、第47回OECD閣僚理事会が開催され、我が国を代表して、甘利経産大臣、若林農水大臣、木村内閣府副大臣、及び木村外務副大臣が出席した。

2.今回の閣僚理事会では、「世界経済」、「OECDの活動及び戦略的方向付け」、「気候変動の経済」、「改革の政治経済」、「OECD運営事項」、「多角的貿易体制」、「ソブリン・ウェルス・ファンド(SWF)」「成長と繁栄のための挑戦」等の議題の下で議論が行われた。会議終了後に、議長総括(仮訳英文 他のサイトヘ)が発表された。

3.閣僚理事会の各議題における議論の概要は、次のとおり。

<6月4日>

(1)世界経済

(2)OECDの活動及び戦略的方向付け(事務総長報告)

(3)気候変動の経済

(4)改革の政治経済

<6月5日>

(5)OECDの内部管理事項(新規加盟、関与強化、財政改革)

(6)多角的貿易体制

(7)ソブリン・ウェルス・ファンド(SWF)

(8)成長と繁栄のための主要な試練

4.評価

 国際社会において食料価格高騰を含む世界経済の問題及び気候変動への対応に関心が高まるなか、7月の北海道洞爺湖サミットを控えるこのタイミングで、世界の主要国の間で率直かつ建設的な意見交換が行われたことの意義は大きい。また、前年来の懸案であったOECDの財政改革についても、漸く合意に至ったことの意義は非常に大きい。論点ごとの成果は概ね以下のとおり。

(1)世界経済:OECD加盟国及び新興経済諸国の間で、金融市場の混乱、原油や食料の価格高騰を背景とするインフレの進行が世界経済の主要リスクであるとの認識が共有され、各国がこうした問題に対処していくことの重要性について認識の一致をみたことは大きな成果。我が国は、食料価格高騰問題への対処の重要性を訴えるとともに、我が国が実施している途上国支援の活動を各国に紹介した。

(2)気候変動:気候変動の問題に取り組むに当たっては、政策(ポリシー・ミックス)、技術(セクター別アプローチ)、開発の三つが重要であるとの我が国の主張に多くの国の賛同を得ることができた。また、セクター別アプローチについて、グリア事務総長、アイルランド等より支持があり、議長サマリーにおいて気候変動対策の一つとして認められた。

(3)OECDの運営事項:OECD分担金の分担方式は、従来経済規模に応じた「支払能力」原則に基づいていた。今回の財政改革は、新たに分担金の一部について、各国共通に支払う「基礎料」を導入し、これによってまかないきれない部分を「支払能力」原則により分担する方式に修正された。これにより、我が国が主張してきた「受益者負担」の原則が導入され、大国の過重負担が軽減されることとなった。

(4)貿易:ドーハラウンドの早期妥結の重要性が改めて確認され、政治決断が必要との声が相次いだ。我が国からは、食料価格高騰問題に対応すべく、輸出規制に対する規律の必要性を訴えた。

(5)ソブリン・ウェルス・ファンド(SWF):OECDは、従来より自由な投資環境を推進してきた。投資をめぐる保護主義的な傾向が懸念されるこの時期に、SWFに関する閣僚宣言を採択したことは、投資受入国として、OECDが投資の自由へのコミットメントを再確認する意義がある。

(6)今回の閣僚理事会には、加盟候補国(ロシア、チリ、イスラエル、エストニア、スロベニア)及び関与強化対象国(ブラジル、インド、インドネシア、中国、南アフリカ)が初めて、ほぼ全てのセッションについて、まとまった形で招待された。そのことは、新興経済をはじめ途上国の影響力の高まりを改めて示すこととなり、またOECD諸国として、これら非加盟国が世界経済の諸問題解決のために、より大きな責任を果たすよう奨励していくことの重要性も確認されることとなった。

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