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第3章 グアテマラとホンジュラスの女性の現状

  3-1 グアテマラにおける女性の現状

 グアテマラは中米5ヶ国で最大の人口とGDPを擁している。先住民の人口比率がボリビア、ペルーと共に中南米諸国中もっとも高く約53%、白人と先住民の混血が約45%、白人は約2%とみられる。先住民は、マヤ族、キチェ族に代表される20以上の部族に分かれており、その大部分は中央高地帯で独自の伝統的生活様式を保っている1

 長年に亘り軍事政権が続いていたが、1985年に民主的選挙によりセレソ大統領が選出され、16年振りに民政移管が行われた。また、反政府ゲリラの活動が36年も続く内戦状態にあったが、91年に和平交渉が開始され、96年12月に最終合意が成立し、中米最後の内戦が終結した。

 経済面では、農業が主要産業であるが、輸出用作物は大規模プランテーションで栽培され、先住民を主体とする一般農民は自給自足的な農耕を行っている2

 UNDP人間開発報告書によると、グアテマラは2000年時点の人間開発指数(HDI)が173カ国中120位で、ラテンアメリカではハイチ(146位)に次いで低い3。1995年当時、グアテマラのHDIは111位4であったことから、相対的に後退している。

 GDIは、グアテマラは146カ国中100位5で、中米諸国では最下位となっている。90年代に入ってからは女性支援の法制・制度が整備されつつあり、特に1996年の和平協定の締結後、政策・法制面などで多くの進展が見られた。

(1) 人口動態

 国家統計局(INE)のデータ6によると、1999年のグアテマラの総人口は1055万人で、都市人口39%、村落部人口が61%である。男女別に見ると男性が49%、女性が51%7である。2000年時点での人口増加率は年平均2.6%8と高い。

 人口の内訳を見ると、4歳から15歳までの若年層が最も多いが、この傾向は変化しており、最近では65歳以上の人口増加が顕著である。人口の43%は先住民で、社会の主流から取り残された脆弱な立場にある9

 人口の6割が暮らす農村部では、内戦で夫を殺害された未亡人や未婚の母が女性世帯主となり、女性世帯主は農村部世帯の17.7%を占めるといわれている10。女性世帯主の多くは土地所有権を持たず、また教育、新しい技術・訓練やフォーマルセクターでの雇用機会が男性に比べて少ない。また、男性世帯主の大半が農業に従事しているのに対し、女性世帯主はインフォーマルセクターを含め多様な分野に従事している。グアテマラでは経済的な男女差が著しく、労働市場に参加する男性11は66.8%であるのに対し、女性は35.2%となっている。

 1995年時点の出生時平均余命は男性64歳、女性69歳だったが、2000年には男性62歳、女性68歳となり、出生時平均余命は後退している。この数値はラテンアメリカ・カリブ地域の出生時平均余命(男性67歳、女性74歳)よりも低い12

(2) 教育

 2000年の7歳以上の公用語(スペイン語)の識字率は全体で56%、男性65%、女性48%である13。1995年の識字率は全体で48%、女性が42%14だった。この5年間で多少の伸びは見られるが、女性の識字率は未だに半数を下回っている。非先住民女性の識字率が78%であるのに対し先住民女性は22%で15、コミュニティによっては先住民女性の識字率が20%を下回る。これは、先住民女性の間で主に先住民言語のみが使用されていることや、現状にふさわしい内容の識字プログラムが存在しないことが16、公共教育への入学とその定着を妨げていると考えられている17。なお、識字人口のうち成人女性は26%であり、その58%が都市に、42%が村落部に住む。

 上述の識字率の男女格差は、教育を受ける機会の違いを反映している。成人男性の76%が何らかの教育を受けているのに対し、成人女性は60%にとどまっている。成人女性のうち38%が初等教育までであり、中等教育を受けた女性は17%、高等教育まで進む女性は4%となっている。中・高等教育を受けられる先住民女性や村落部出身者はほとんどいない。大学院に進学するものは、グアテマラの全女性の1%に過ぎない18

 2001年度の7歳から12歳までの初等教育の純就学率は85%(男性87%、女性83%)、中等教育では28%(男性29%、女性28%)、初等教育の中退率は7.0%(男性7.3%、女性6.7%)、中等教育では8.1%(男性9.1%、女性6.9%)だった。初等教育の留年率は全体で14.7%(男性15.2%、女性14.0%)、中等教育では3.7%(男性4.2%、女性3.2%)だった19。15歳から24歳までの女性の中退した理由は、主に「学校が嫌い」、「収入を得るために働く必要があった」、「学費が払えない」であった20

(3) 保健

1) 出生率と家族計画の実施率

 合計特殊出生率は、全国平均で5.0だが、都市部3.8、村落部6.2、非先住民女性4.3、先住民女性6.8(1998/99年)と、地域や民族による格差が大きい。合計特殊出生率は、女性の教育レベルとの間に相関関係が見られ、未就学女性の子どもの数が平均7.0なのに対し、中等教育を受けた女性の平均は3.0となっている21

 青少年は、性教育や家族計画に関する情報へのアクセスが乏しいため22、望まない妊娠をすることが多い。15歳から19歳までの女性のうち17%に出産経験があり、4%は1人目の子どもを妊娠中である(1998/99年)。この数値は村落部や先住民女性についてはさらに高くなる23

 女性が望む子どもの数と実際の子どもの数には開きがある。女性が望む子どもの数は平均4人24だが、実際の子どもの数は平均5人である。その原因として、家族計画の実施率が低いことが考えられる。家族計画の知識を持つ女性は85%に達するが、実施率は38%と低い(1998/99年)。1995年当時は家族計画の知識を持っていた女性は82%、実施率は31%25であったことから、この3、4年間でわずかながら改善されている。家族計画の知識を持つ女性の割合は、都市部95%、村落部が8%、非先住民95%、先住民63%。家族計画の実施率は都市部52%、村落部27%、非先住民50%、先住民13%である。教育を受けていない女性の実施率は19%、中等教育以上を受けている女性では68%だった(1998/99年)26

2) 妊産婦・乳児死亡率

 妊産婦・乳児死亡率は1950年代から減少傾向にあるが、未だ高い水準にある。妊産婦死亡率の数値は高く、2000年時点で10万人あたり153人で、その原因の53%は出産時の出血による。妊娠中、医師や看護師など資格を持った人々の下で診察を受ける女性は60%(うち医師48%、看護師12%)で、13%の女性は一度も検診を受けていない。資格を持つ人々の立会いの下で出産するのは40%にすぎず、うち半数が助産婦の立会いである。また妊産婦死亡の65%は先住民女性である27

 乳児28死亡率は1000出生あたり45人である。中等教育以上を受けた母親を持つ乳児死亡率が41なのに対し、教育を受けていない母親の下では56に上昇し、母親の教育レベルと相関関係がある。先住民女性の乳児の死亡率は56で、非先住民の44より高い29。乳児死亡の危険度が高くなる条件として、次の4点が考えられている。これらのうち2つ以上が重なった場合、危険性はさらに高くなる30

1. 分娩時の母親の年齢が18歳未満
2. 分娩時の母親の年齢が35歳以上
3. 妊娠間隔が24ヶ月以内
4. 3度以上の出産経験がある

 何らかの理由で授乳期が6ヶ月に達しない母親は68%に上り、早くから母乳以外のものを与えることで、乳児の発病率や死亡率が高まっている31。母親の栄養不足は、妊産婦だけでなく乳児にも影響している32

3) 予防接種率

 生後12ヶ月から23ヶ月の乳児を対象にした、BCG、三種混合ワクチン(DPT)、ポリオ、はしかの予防接種の実施率を1995年と1999年で比較すると改善が見られる。予防接種の証明書を持つ乳児の割合が54%から68%に増え、生後23ヶ月間に全ての予防接種を受けた乳児の割合が1995年の43%から1999年の60%に上昇しており、BCGの予防接種は1999年で90%を超えている。

 しかし、男女比を見ると女児が、先住民/非先住民比で見ると先住民が、相対的に予防接種率が低い。また、1人目の子どもの66%は全ての予防接種を受けるが、6人目以降になると5割に落ち込んでいる33

4) 保健医療サービスへのアクセス

 グアテマラでは、公的・私的保健医療サービスの約80%、国立機関の44%が首都に集中している。首都では1万人につき4人の医師がいるが、山岳部では1万人に対し1人以下である。国民の25%は都市部に、75%が村落部に住むが、国全体の医療サービスの20%が村落人口を対象としているに過ぎない。村落部では医療費が支払えない人々がおり、その多くは女性である34

5) HIV/エイズ

 政府の報告によると、1984年から2002年1月までに確認されたグアテマラのHIV/エイズ感染者は4401人で、うち男性が3263人(74%)、女性が1138人(26%)となっている。感染ルートは性交渉によるものが最も多く(4130件、94%)、母子感染(194件、4%)、輸血(77件、2%)と続く35。政府はHIV/エイズの危険性や影響について人々の認知を高めるために、啓発セミナーの実施や、小学校5、6年生に向けたHIV/エイズ教育の実施、先住民言語に翻訳されたHIV/エイズ予防説明書の作成などを計画している36。公共保健社会支援省は、HIV/エイズプログラムを通して、免疫力が落ちている全ての妊婦に無償で抗ウイルス剤治療を施した37

(4) 女性の経済・社会への参加

1) 女性の就業

 1989年時点で10歳以上の労働力人口38は290万人で、総人口に占める割合は50%、労働力人口を100%とした男女比では男性74%、女性26%だった39。しかし、2000年の労働力人口は492万人で、総人口に占める割合は61%であり、男女比では男性63%、女性37%を占め、女性の経済活動への参加の機会は、過去11年間で増えている40

 経済的非活動人口に関する統計では、専業主婦の割合が減り41就学者が増えている42。この傾向は都市の女性に最も顕著に見られ、都市部の専業主婦の割合は1989年の91%から2000年の71%に減少している43。先住民女性の専業主婦の割合は98%(1989年)から85%(2000年)に減少している。これは主に労働力人口にインフォーマルセクター従事者が含まれるようになったことによると見られている44

 しかし、女性の経済、社会への進出が促進されても男女の役割分担に変化は見られず、家事の負担は未だ女性にかかっている。収入のための労働時間に加え、女性は1日平均6-7時間の家事を行っている45

 職業訓練の機会も女性は少なく、2000年に職業訓練を受けた成人女性は、全体の6.3%である。年齢によって差があり、若いほどその機会が増えるが、それでも18歳-36歳の女性の職業訓練受講者は7%だった46

2) 収入

 男女の収入の差を見てみると、その差は広がりつつある。1989年の成人47女性の平均収入は、成人男性の87%だったのに対し、2000年度では59%に下がっている。内訳は、18-36歳の女性で同世代の男性の67%、37-49歳の女性で同世代男性の52%、50-59歳までの女性では同世代男性の49%に過ぎない。中でも都市の非先住民男性と、村落部に住む先住民女性の収入の差は最も大きく、4倍以上になっている48。女性の中でも先住民と非先住民では特に30代から収入に大きな差が見られるようになり、2倍以上に広がっている。

 女性は男性に比べて収入のうち家計に充当する割合が大きい。「女性は基本的に家族のために出費する」傾向は年齢、民族にかかわらず共通している49。健康、教育、住宅費に使う割合は、女性が世帯主を務める世帯で総収入の約24%なのに対し、男性が世帯主を務める世帯では20%である50。貧困率にも男女差が見られ、女性が世帯主を務める世帯の貧困率は37%なのに対し、男性が世帯主を務める世帯では48%に上昇する51。特に女性が世帯主である世帯の最貧困層は、1989年の18%から2000年には10%に減少した52。このように、女性が経済的支柱となっている世帯での貧困率の減少は、ここ10年で見られた大きな変化の1つである。

3) 政治への参加

 女性の政治参加が依然として進まない主な原因は、家事に長時間拘束される上、家事以外の仕事もあり時間が足りないことがあげられる。さらに政治参加に関する情報不足や女性の政治参加を不適切とする概念が男女双方にあることも無視できない53。多数の女性は出生時に出生登録されないため、選挙権を持つ年齢に達しても身分証明書を持てず、選挙権、被選挙権ともに行使できない。このことが女性の政治参加の機会を失わせ、女性の政治的地位が低いという結果につながっていると考えられる。

 1999年3月に国会で承認された「女性の尊厳促進法54」は、女性の政治参加を促す法律である。1999年の総選挙には女性が1409人立候補し、当選した女性は国会議員が13人、中米議会議員に4人、市長が3人、地方自治体の公職140人の計160人で女性立候補者の11%だった55。2001年の女性閣僚は、13省12庁中4人(通信・インフラ・住宅大臣、文化・スポーツ大臣、社会福祉庁長官、女性庁長官)であった。2002年の国会議員は、113人中8人が女性(7%)だった56

 全国22県のうち女性知事は6人57。グアテマラ県では、女性20人が公職に就き、内訳は市長1人、住民代表3人に代理人2人、市議会議員11人に代理人3人となっている。国全体では127人が公職に就き、市長3人、住民代表16人に代理人7人、市議会議員71人に代理人30人となっている58

 外交分野で活躍する女性は、4人の大使(10.8%)、4人の総領事、そして1人の領事、12人の副領事である。外務省の230ポストのうち女性は26人(2.2%)。これらの女性は、外務副大臣、内閣代表、顧問、副局長、部長などのポストについている。一方、経済省では女性は専門性の高いポストについており、職員の男女比はほぼ同じである。

 女性は農民組織へも進出している。2000年の農民団結委員会59で120人、先住民族農民国家調整室60で170人、西部村落開発協力61で155人、南西部統合開発協会調整室62と農民協会63で各145人の女性が活躍している64

(5) 高齢者と貧困

 60歳を超えた高齢者への社会サービスが不足しており、女性は男性よりも平均寿命が長いため影響が大きい。2000年の統計によると、グアテマラでは高齢者が全人口の6%65を占め、そのうち49%が男性で、51%が女性、38%が先住民で62%が非先住民である66。女性高齢者の44%は貧困に苦しんでいて、そのうちの10%は最貧困層に属し、その90%は村落部に住み、80%が先住民である67。女性高齢者の25%は職業に従事している68が、2%が求職中で、72%は就業していない69

3-2 グアテマラにおけるWID/ジェンダー分野の取り組み

 グアテマラでは、政策や法の整備、それらの実施には、政府、ドナー、市民社会が互いにかかわりながら取り組んでいる。

(1) 政策

 グアテマラには、国家開発計画という名の政策は1991年以来存在せず、政権ごとに異なった名称の計画が出されている。1991-1996年の国家政策である「経済社会政策70」には、「女性支援71」という項目がある。1996-2000年時点の国家政策は「政府プログラム72」と呼ばれており、その「人間統合開発社会公約73」の章に「家族と女性への配慮74」の項目があり、女性の人権保護などについて言及されている。経済社会政策の「女性支援」、政府プログラムの「家族と女性への配慮」についての詳細は、「社会開発行動計画(人間・子ども・青年開発)75 1992-1996, 1997-2000」に明記されている。それには「女性支援76」の項目があり、5つの目的とその実現のための「女性の状況と立場に関する政策」と「女性の生活の質に関する政策」の2つがあり、行動と目標が設定されていた(図3-1参照)。


図3-1 現政権以前の国家政策


 現在の国家政策は、1996年に締結した和平協定(Los Acuerdos de Paz)に基づき策定され、以下の3つのマトリクス(2000年-2004年)の形で発表されている。

  1. 社会政策マトリクス(Matriz de Politica Social)
  2. 経済政策マトリクス(Matriz de Politica y Economica)
  3. 安全国防マトリクス(Matriz de Seguridad y Defensa)

 和平協定は、11の和平諸協定77より構成されており、単に紛争当事者の停戦を目的とするのみならず、経済・社会諸問題、軍の役割、先住民の権利確保等のグアテマラが建国以来抱えている根本的問題について改革を図るものとなっている。従って、国家政策の根幹をなしており、ドナー側も対グアテマラ支援の中心に和平プロセス(和平諸協定の履行)の支援を据え、和平プロセスの進捗を対グアテマラ支援決定の指針としている。

 「社会政策マトリクス」には女性支援に関する短い記述があり、男女平等について、(1)女性支援政策の推進、(2)法的差別の解消、(3)女性の参画促進、の3つの目標が設定されている。

 社会政策マトリクスの内容を具体的に示した政策として、女性庁78は、「グアテマラ女性開発推進国家政策機会均等計画2001-200679」を発表した。この機会均等計画には9つの最重要課題(「(1)公正な経済活動」、「(2)公正な土地と住居へのアクセス」、「(3)教育機会均等」、「(4)総合保健」、「(5)女性に対する暴力」、「(6)雇用機会均等」、「(7)司法における公正」、「(8)女性の向上のための組織機構」、「(9)公正な社会政治参画」)と詳細な行動戦略が提示されている。

 「貧困削減戦略文書(PRSP)(2001-2015)」には、(1)女性に対する政府の活動を優先的に行うこと、(2)女性のニーズを公共政策、法、計画、プログラム、プロジェクトに組み込むこと、(3)女性の参画の増強、(4)法と政府における女性支援と開発政策の制度化、の4点の目標が記載されている。

(2) 法律

 女性庁は以下の12法令を女性支援の法律としてリストに挙げている。
(1) グアテマラ共和国政府憲法80第4、18、66、102条81
(2) 独立国の先住民族部族合意16982
(3) 都市村落開発審議会法83
(4) 女性の尊厳促進法84
(5) 省令850747-200286
(6) グアテマラ県庁に女性分野担当組織設立のための内規87
(7) 先住民女性弁護室設立政府令88
(8) 政府令89200-200290
(9) 自治体法91
(10) グアテマラ社会開発法92
(11) 家庭内暴力防止撲滅処罰法93
(12) 全国地方分権法94


(3) 政策策定プロセス

 「グアテマラ女性開発推進国家政策機会均等計画2001-2006」の策定プロセスでは、諮問委員会を設立し市民社会と政府が共同で民主的に策定した。市民社会と政府の協調という点で、この政策はグアテマラにおける政策策定のモデルケースであると言われている95。UNICEF、UNDP、Sida、オランダ大使館、CIDA、UNFPA96、PAHOがその策定に技術・資金協力を行い、企画プログラム庁も政策文書作成に関する協力を行った。

(4) 政策実施

 国家女性フォーラムと女性庁は、和平協定履行のために「グアテマラ女性完全参加のための行動計画2002-201297」を共同で策定し、2002年11月に発表した。国家女性フォーラムは、1997年に和平協定の「和平協定履行のための実施計画98」第29条99実施のために設立された組織で、22県の代表、34言語の代表である計56の市民社会組織が参画し、全国を8地域に分けて活動している。和平庁が資金援助、UNDPが技術・資金協力、GTZが技術協力、EU100などが地域レベルでの活動を支援して、国家女性フォーラムは運営されている。上記の計画は「和平協定履行のための実施計画2000-2004101」第85条102を実行するためのものであり、国家女性フォーラムは他にも第26条103、第84条104にも取り組んでいる。CIDA105は「グアテマラ女性開発推進国家政策機会均等計画2001-2006」実施を支援するために、女性庁への援助を決定した106が、どの分野を支援するかは、未だ決定していない。

 国際機関は国家政策の実施に向けて側面的な支援を行っている。「国連開発支援コモンフレームワーク(United Nations Development Assistance Framework / Marco de Asistencia de las Naciones Unidas para el Desarrollo―以下UNDAF)」は、1997年に国連事務総長のコフィー・アナンの提案によって始まった組織内改革107である。2000年には国連システムの中でコモン・カントリー・アセスメント(Common Country Assessment: グアテマラの現状を分析したもの)を発表し、その後、「UNDAF 2001-2004108」を作成した。グアテマラでは以下に述べる8つのテーマごとに戦略グループがある。

表3-1 グアテマラ国連システムにおけるテーマ別国際機関内グループ連携組織109

戦略グループ 連携組織 調整機関
貧困と村落開発 (GIPDR):
食物の安全作業部会
MINUGUA(国連グアテマラ和平検証ミッション), WB, FAO, UNFPA, ORC, IOM, PAHO/WHO, WFP, UNDP UNDP
先住民と多文化(GRUTIM) MINUGUA, WB, ORC, IOM, PAHO/WHO, UNDP, OHCHRプロジェクト, UNESCO, UNICEF, UNIFEM, UNV OHCHRプロジェクト/ORC
司法(GIJUS) MINUGUA, WB, ORC, ILO, UNDP, UNICEF UNDP
教育(GIE) MINUGUA, UNFPA, ORC, UNDP, UNESCO, UNICEF UNICEF
ジェンダー・女性の前進グループ(GIGAM) MINUGUA, UNFPA, IOM, PAHO/WHO, WFP, UNDP, UNICEF, UNV UNICEF
HIV/エイズ(ONUSIDA) UNFPA, ORC, IOM, PAHO/WHO, UNDP, UNAIDSプログラム, UNICEF UNFPA
追放解体された人口の定着(DESARRAIGO) MINUGUA, IOM, PAHO/WHO, WFP, UNDP, UNICEF, UNV UNDP事務局
情報コミュニケーション(GICI) MINUGUA, WB, FAO, ORC, IOM, PAHO/WHO, UNDP, UNICEF MINUGUA


 ジェンダーに関しては「ジェンダー・女性の前進グループ(Grupo Interagencial de Genero y Avance de la Mujer―以下GIGAM)」が取り組んでいる。GIGAMは調査時(2002年)の7年前に結成され、毎月1回活動を行ってきた。GIGAMは主としてMINUGUA、UNFPA、 IOM、PAHO/WHO、WFP、UNDP、UNICEF、UNVで構成され、UNDAFのフレームワークに基づいて年度別計画を立てている。GIGAMの戦略計画には「UNDAF2001-2004はグアテマラが直面する問題が反映されている文書であり、国連システムで政府や市民社会とともに、2001-2004年に解決すべき問題に対して必要とされる介入を定義する110」としている。GIGAMは2002年に、UNDAFと「女性庁の政策」と「和平協定」の整合性を確認し、それを基に戦略計画を策定している。

 二国間援助機関も「拡大GIGAM」としてGIGAMに参加する場合がある。主な二国間援助機関メンバーは、CIDA、GTZ、NORAD、USAID、EU、AECI、イタリア、オランダ大使館、IDB、WBで、日本は今まで参加したことがない。拡大GIGAMは1年ほど活発に活動したが、現在はあまり活動していない。GIGAM調整担当者は、日本も含め、今後、再度各援助機関に対し活動再開を呼びかけたいと話していた。

(5) 立法プロセス

 グアテマラでは、女子差別撤廃条約(グアテマラは1982年に批准)を受けて「家庭内暴力防止撲滅処罰法(1996年)」が制定された。「女性の尊厳促進法(1999年)」は、女性団体が原案を作成し国会に提出した。CIDAはNGOである「カナダ国際問題協力センター(CECI)」を通して同法律制定に技術協力と資金援助を行った。この法律には、女子差別撤廃条約の法的特徴、北京行動綱領、世界人口会議で採択された人口行動計画の政治的特徴が組み込まれ、和平協定の内容とも一致している111。「グアテマラ社会開発法(2001年)」の策定には、USAIDがリプロダクティブヘルス112に関する条項の取りまとめへの技術協力を行った。市民参画と地方分権に関する「全国地方分権法(2002年)」、「都市村落開発審議会法(2002年)」、「市役所法規(2002年)」は、和平協定施行と女子差別撤廃条約を推進するために策定された。特に「都市村落開発審議会法」は、和平協定と「女性の尊厳統合促進法」の規定が組み込まれたものであり、「グアテマラ女性開発推進国家政策機会均等計画2001-2006」の「司法における公正」と「公正な社会政治参画」の実現を目指すものである。

(6) 法律施行

 「家庭内暴力防止撲滅処罰法」施行のため、大統領夫人社会事業庁が「家庭内暴力防止撲滅プログラム113」を実施している。2001年の情報によると、女性に対する家庭内暴力については、年間1万1598人の被害者が社会事業庁に報告し114、1日に20人の女性が電話相談に連絡している115。1994年からはNGOの「人権法律訴訟センター116」も家庭内暴力防止を含むさまざまな女性の権利保護に取り組んでおり、政府と市民組織は別々にではあるが補完的に活動を行っている。

 「家庭内暴力防止撲滅処罰法」と「女性の尊厳統合促進法」施行のため、政府は2000年に、新たに「大統領府人権委員会先住民女性護民局117」と「女性に対する家庭内暴力防止国家調整室118」を設立した。大統領府人権委員会先住民女性護民局の発足には先住民女性のグループの圧力が大きく貢献した。GTZ、WB、Gestorグループ(MINUGUA、UNICEF、UNDPのグループ)が同局に対し技術・資金援助を行っている。

 女性庁は地域、市レベルへの「グアテマラ社会開発法」についての知識の普及をめざしている。女性庁の目標は、各市独自の女性委員会を設け、各組織が法律について知り、それを権利として自覚することにある。社会開発法の発布から1年を経たが、資金不足により十分な実施には至っていない119。「全国地方分権法」、「都市村落開発審議会法」、「市役所法規」は、ともに2002年に公布され、女性庁はこれらの普及のために小冊子を発行している。

 女性庁は「全国地方分権法」に基づき、全国8地域に代表を置く予定で、すでに4県に地域代表を配置した120。また、同庁は諮問委員として24の政府関係機関に代表を送り、女性支援活動を実施している。

3-3 ホンジュラスにおける女性の現状

 ホンジュラスでは、先住民と白人、先住民とアフリカ系黒人などの混血が90%以上を占めている。中南米諸国の中ではハイチ、ニカラグア等と並んで最も経済開発の遅れている国の一つである。

 82年に軍事政権より民政に移管し、2大政党制度が定着してきている。

 経済面では、農林水産業を中心とするモノカルチャー型経済であり、農業部門がGDPの約1/4、労働人口の半分以上を占める。高い人口増加率(85~97年平均3.0%)もあり、一人当たりGDPは長期にわたり停滞している。累積債務による元利支払いが97年では予算総額の約33%を占め、社会経済政策実施の上の大きな足かせとなっていた。99年12月に重債務貧困国(HPICs)イニシアティヴ適格国の仮承認を世銀・IMFより受け、現在、正式の承認に向け貧困削減戦略文書(PRSP)の実施に取り組んでいる121

 UNDP人間開発報告書によると、ホンジュラスは2000年時点のHDIが173カ国中116位122に位置し、1995年当時の119位123から上昇した。2002年時点のホンジュラスのGDIは146カ国中98位124だが、中米諸国の中では2番目に低い位置にとどまっている。しかし、この10年の間、特に保健や教育分野では、以下の指標が示すように女性の状況は改善されつつある125

(1) 人口動態

 1995年のホンジュラスの総人口は530万人であり、男性50.2%、女性49.8%だった126。2001年には総人口は650万人に増加した(男性49.4%、女性50.6%)127。1975年から2000年までの人口増加率は3.0%と、中米諸国で最も高かった。

 ホンジュラスの人口動態は、出生率と死亡率がともに高いため、若年・壮年者層の厚い構成となっている。1995年には15歳未満が43.6%、15-64歳が53%、65歳以上が3.4%という構成だった128が、2000年には15歳未満41.7%129、15-64歳が54.7%、65歳以上が3.6%となっており、壮年者層が若干増加している。出生率の減少から、この10年間で15歳未満の人口の減少が見込まれている。

 1995年のホンジュラスの出生時平均余命は、男性63歳、女性65歳だったが、2000年には男女ともに1年ずつ出生時平均余命が延びている。これはラテンアメリカ・カリブ地域の出生時平均余命(男性67歳、女性74歳)よりも低い130

 ホンジュラスは現在でも村落部の人口比率が比較的大きい国だが、都市人口は継続的に増え続けており、1995年に43.4%131だった都市人口は2000年には52.7%132に増加した。都市部への移住者は、男性よりも女性の割合が多いが、これは村落部における女性の雇用の少なさを反映している133

 ホンジュラスでは、女性が世帯主である割合は21.7%と高く、とりわけ農村での女性世帯主の割合は3割を超える。女性の土地所有権は法律上認められているが、実際に土地を所有している女性はわずか2%である134。インフォーマルセクターで働く女性の割合は34%で、女性の方が男性より多く、ラテンアメリカ諸国の中で最も高い。

(2) 教育

 1995年時点の初等教育の純就学率は、男子89%、女子91%だった135。これに対し1997年時点の純就学率は男子86%、女子89%に下がった136。中等教育への就学率は1995年の32%137から97年の36%138へと上昇した。

 ホンジュラスの成人識字率は1995年の73%139から2000年には74.6%(うち男性74.5%、女性74.7%140)に増加したが、この数値はラテンアメリカ・カリブ地域の平均値88.3%141を下回っている。

(3) 保健

1) 出生率と家族計画の実施率

 ホンジュラスの人口は、相対的に出生率と死亡率が高い状態が続いている。1995年の合計特殊出生率は女性1人当たり平均4.6142であったが、2000年には4.3にまで減少した143。このようにホンジュラスにおける出生率は減少傾向にはあるが、中米諸国と比較すると、グアテマラに次いで高い出生率となっている144。ラテンアメリカ・カリブ地域全体の同年の出生率は2.6である145。村落地域に住む女性の出生率は平均5.6なのに対し、都市部の女性は3.3である。教育を受けていない女性の場合、平均6.5であるのに対し、7年以上の教育を受けている女性の場合、平均2.7にとどまっている。

 ホンジュラスでは、結婚あるいは同棲している15歳から44歳の女性(出産可能な年齢にある)のほぼ全員が家族計画の方法を知っている。最も知られているものは経口避妊薬、コンドーム、避妊手術146 である。実際に何らかの家族計画を実践している女性は、1996年で38.1%、2000年で50%だった147

2) 妊産婦・乳児死亡率

 ホンジュラスの妊産婦死亡率は、10万人あたり182人(1990年)から108人(1995年)へと著しく減少した。妊産婦の死亡原因は、出血(47.1%)、妊娠中毒(19.4%)、感染(15.2%)であり、予防可能なものである148。1996年から2000年までの期間、検診を少なくとも1回受けた妊産婦は82.6%に上るが、教育レベルの低い女性の検診受診率は低い149。1995年から2000年までの間、専門の施設で分娩した妊産婦の割合は54%だった150

 乳児死亡率は、1994年に1000人当たり40人151、1997年に36人152、2000年に32人153と減少傾向にある。2000年のラテンアメリカ・カリブ地域の乳児死亡率の平均は30人154で、ホンジュラスの数値は平均よりも若干高い。1996年から2001年の間の乳児の主要な死亡原因は、出生時外傷・出産時窒息と早産。乳児期以降の主要死亡原因は、急性呼吸器疾患と下痢症である。

3) 予防接種率

 ツベルクリンの予防接種率は1995年で100%に達した155。はしかの予防接種率は1995年の91%156が1999年には98%まで改善された157。ポリオは1995年に94.5%の児童が予防接種を受けた。

4) HIV/エイズ

 ホンジュラスは中米諸国の中で最もHIV感染者とエイズ発症者の多い国であり、発症者数は中米諸国の発症者総数の半数以上を占める。80年代の男女別感染者の割合が6:1(男性:女性)だったものが、2000年にはほぼ同数の1.2:1になり、女性にHIV/エイズが広がっている。近年では、HIV/エイズは出産可能な年齢にある女性の死亡原因の第1位(17%)にまでなっている158。女性の間に広がるHIV/エイズ感染の背景には、女性に対する暴力や性交渉時における女性側の意思の反映の欠如がある159

 1999年のUNAIDSの数値によると、HIV感染者とエイズ発症者は6万3000人と推定されている160。2001年末までのエイズ発症者の累計は1万3025人、HIV感染者は3767人と報告されている161

 以上のようにホンジュラスのエイズ感染は確実に広がっており、適切な対策を実施しないならば男女ともに平均寿命と労働人口が急激に減少すると考えられている。

(4) 女性の経済・社会への参加

1) 政治への参加

 ホンジュラスの女性は1955年に参政権と選挙権を獲得した。その2年後に初の女性の国会議員が誕生している。それからほぼ半世紀を経た今でも、女性の政治への参加は少なく、2002年現在、女性が国会の議席に占める割合は5%である。2000年には国会で「女性のための機会均等法162 」が可決された。同法では、選挙によって選ばれる公的ポストの少なくとも30%を女性に割り当てることが規定されている。しかしながら、2001年の国会議員選では女性の議員数は前期の9%から5%へと減少した163

 政府の閣僚レベルの女性のポスト数は、前政権で大きな伸びを見せ、1995年には10.5%164にすぎなかったが、2000年には33.3%165 にまで増加した。現政権では再び減少に転じ、2002年時点で女性の閣僚ポストの割合は21%となっている166

2) 女性の就業

 1980年には労働力の25%が女性によって占められていたが、1995年には30%、2000年には32%となり、この10年間の間に、女性の経済活動への参加は実質的に増加している。2000年には、ラテンアメリカ・カリブ地域の平均(35%)に近づいた167。このように統計上の女性の経済活動への参加は進んでいるが、女性労働は単純労働に限られており、貧困層が働く産業部門に集中している。例えば、マキーラ産業168では労働者全体の8割が女性となっている。

3) 収入

 男性と同様の労働をしていても女性が得る収入は男性より低い。この収入格差は、教育を受けた年数の増加と共に縮まる傾向にある。女性の平均収入は、教育を受けた年数が4年以下である男性の53%だが、13年以上になると男性の80%になる169。1990年の女性一人当たりの収入は男性の72.1%だったが、1997年には77.2%にまで増加した170。しかしながら、男女間の収入格差は村落部で大きい傾向があり、村落部の女性は男性の33.5%の収入しか得ていない。

(5) 家庭内暴力の現状

 女性が家庭で受ける身体的、性的、精神的虐待、つまり家庭内暴力は社会問題になっているが、家庭内暴力に関する全国統計調査は行われていない。例えば、1994年に地区検察局に8件被害届けが出されたのに対し、1998年には5960件も出され、この10年間で家庭内暴力が深刻な問題になっている171

 女性研究センターによると、ハリケーン・ミッチの後、女性・少女に対する暴力、性的虐待は増加した172。2000年にUNFPAはホンジュラス女性10人のうち8人が家庭内暴力の被害に遭っていると推定している173

3-4 ホンジュラスにおけるWID/ジェンダー分野の取り組み

(1) 政府のWID/ジェンダー分野の取り組み174

 ホンジュラスではフローレス政権が2000年に貧困削減戦略文書(PRSP)を策定、マドゥロ大統領率いる現政権が2002年にPRSPを基にした「国家計画1752002-2006」を発表した。国家計画には、基本方針として「特に女性、民族グループ、子ども・老人に影響を与える機会の不平等を撲滅するための方策をとる176」と明記されており、女性を含む社会的弱者への配慮は国家計画の基本要素と位置づけられている。特に女性の機会均等を実現するために、国家女性政策を国家政策として実施する、としている。特に「民主主義・統治力の深化」ではジェンダー公正という一項目を立て、国家女性局の設立、関連法制度の整備、国家女性政策をはじめとする一連の政策の策定などを通して、女性の支援にあたると説明している。PRSPでも国家政策と同様、「ジェンダー公正および平等」という一項目を立て、ジェンダー公正が貧困削減のための重要な戦略であり、PRSPにおける課題横断的な要素であると認識されている177

 国家女性政策は、2001年には、98の政府組織・市民/女性団体が参加、スウェーデンとUNDPの資金援助を得て作成された。2002年8月、この法案は国家女性局の理事会を通過し、同11月、大統領によって国家政策として認知された。国家女性政策は「I. 序章」、「II. 政治的フレームワーク」、「III. 実施戦略」、「IV. 第1次国家機会平等政策」、「V. モニタリング・評価」、「VI. プロジェクトリスト」で構成されている。

 「政治的フレームワーク」では、国家女性政策が各省で策定される分野別計画のツールとしての役割を担っていることが説明されている。「実施戦略」としては、(1)国レベルでジェンダーセンシティブ化を進める、(2)女性を開発に統合するための研修と研究の推進、(3)地方分権化(権限の委譲)、(4)公共セクターにおけるジェンダー配慮の制度化、(5)市民社会の参加、(6)セクター政策との連携、(7)女性社会運動との対話、(8)ファイナンス策を挙げている。「第1次国家機会均等政策」は、国家女性政策の中心的政策である。ここでは「保健医療」、「教育・コミュニケーション手段」、「経済と貧困」、「暴力」、「社会・経済参加」をテーマとして取り上げ、それぞれについて「政策方針‐目的‐活動‐担当組織」という一連の体系を構築し、具体的な取り組みを提示している。「モニタリング・評価」では、モニタリング・評価の意義と体制を説明した上で、上述の5つのテーマごとのモニタリング・評価指標を提示している。「プロジェクトリスト」は国家として取り組むべき14プロジェクトがリストアップされており、国際機関の支援を補足的に活用してその実施にあたることが説明されている。

 2001年初頭に策定されたPRSPは国際社会でも承認され、PRSPの確実な実施を条件に、ホンジュラス政府の要望を入れ対外債務の一部返済免除に応じる予定だった。しかしながら2002年末までのPRSP施行期間に予定された成果を上げることができず、債務の一部返済免除は棚上げとなっている。結果、国家女性局も十分な予算が獲得できないため、予定された活動は行われず、職員の人件費を払うのが精一杯という状況にある178

(2) ドナーからの支援

 ホンジュラスにおけるWID/ジェンダー分野の取り組みは、国連グループを中心とした国際機関の支援により、WID/ジェンダーの改善に向けた環境整備、すなわち法制度や政策の整備が優先して行われてきた179。これまでにドナーの支援を受けて策定されたWID/ジェンダー関連の国家政策と法律は以下の通りである。

国家政策
  • 家庭内暴力防止・撲滅におけるジェンダー平等政策(1997年)
  • 性・リプロダクティブヘルス国家政策(1999年)
  • 農業分野ジェンダー平等政策(2000年)
  • 天然資源・環境におけるジェンダー平等政策(2001年)
  • 国家女性政策(2002年)


法律
  • 女性機会均等法(2000年)
  • 家庭内暴力対策法(1997年)
  • 国家女性局法(1999年)


 ジェンダー格差の改善に向けたドナーの動きは、ホンジュラスでは90年代半ばから始まっている。国家政策や法律の策定は、USAID、CIDA、GTZ、Sidaの資金・技術支援をFAO、UNDP、PAHOといった国連機関が調整をする形で行われている。

 「家庭内暴力防止・撲滅におけるジェンダー平等政策」の場合は、PAHOが資金・技術支援を、保健省が受け入れ機関(カウンターパート―以下C/P)となり作成された180。また、「性・リプロダクティブヘルス国家政策」のケースでは、保健省がC/P、UNICEFが調整役、GTZが資金・技術支援を行って作成した。この政策は実施段階に入っており、GTZがプロジェクト181の実施を通して政策実施を引き続き支援している。「農業分野ジェンダー平等政策」はUNDPが実質的な調整役となり、Sidaが資金の支援を行った。政府側C/Pは農牧省の業務企画評価ユニット182が担当した。「天然資源・環境におけるジェンダー平等政策」は、CIDAが資金・技術支援を行い、天然資源環境省がC/Pになり、策定された183。「国家女性政策」は、国家女性局がC/Pとなり、Sidaの資金援助をUNDPが運用する形で策定された。

 このように各政策や法律の分野を担当している政府機関がC/P、国連機関を中心とする国際機関が調整業務、二国間援助機関が技術・資金援助を行うことで、ホンジュラスの政策は策定されている。

 また、国連機関の間では、効率性を高めるためにUNDAFを構築し、国連組織間の連携強化に努めている。ホンジュラスの国連システムにおけるUNDAFの行動分野は5分野で、12の分科会が設定されている。分科会ごとに連携する国連組織を以下に示す。

表3-2 国連システムにおけるUNDAFの行動分野と連携組織184
活動分野(分科会) 連携する組織
教育 FAO, PAHO, WFP, UNDP, ITU, UNESCO, UNFPA, UNICEFF
保健(HIV/エイズ)
 (乳児死亡)
 (妊産婦死亡)
 (リプロダクティブヘルス)
FAO, IOM, PAHO, WFP, UNDP, UNFPA, UNICEF, WB
PAHO, UNICEF
PAHO, UNDP, UNICEF, UNFPA
PAHO, UNDP, UNFPA, UNICEF
食料保障・栄養 FAO, PAHO, WFP, UNICEF, IFAD
経済発展 FAO, PAFO, UNDP, UNICEF, WB, IFAD
持続的開発(民主的統治)
 (ジェンダー平等)
 (環境・自然資源・村落開発)
 (人口動態・住居)
 (予防・リスク管理・災害対策)
FAO, IOM, UNDP, UNICEF, IFAD
FAO, PAHO, WFP, UNDP, UNFPA, UNICEF
FAO, IOM, PAHO, WFP, UNDP, ITU, UNFPA, UNICEF, WB, IFAD
IOM, PAHO, WFP, UNFPA, UNCEF
FAO, IOM, PAHO, WFP, UNDP, UNICEF, ITU, UNFPA, OCHA, WB


 このうち、WID/ジェンダーに直接関連しているものは、保健分野のHIV/エイズとリプロダクティブヘルス、そして持続的開発のジェンダー平等である。上述のWID/ジェンダー関連3分科会で設定されている主要な活動は以下の通り185 である。

HIV/エイズ
  • 関連国連組織の調整
  • エイズ予防・管理の強化
  • NGOとの新たな戦略的連携の構築
  • 活動のインパクト調査の実施、など

リプロダクティブヘルス/ライツ
  • 人権としてのリプロダクティブヘルス/ライツの統合プログラムへの支援
  • 政策分析プロセスについて、政府・NGO・市民団体に支援
  • 人的資源の育成を通しての組織能力の強化
  • ジェンダーの視点からの情報・モニタリング・評価システムの支援など

ジェンダー平等
  • 女性の権利を守るための法的機構の強化
  • 女子差別撤廃条約の基本方針と目的を、法律の適用、政策立案、政府予算の分配に取り込む
  • 家庭内暴力防止法の実施に関して女性局・保健省を支援
  • 国家女性政策の実施支援など

(3) NGOによるWID/ジェンダー分野の取り組み

 ホンジュラスでは1980年に女子差別撤廃条約を批准したにもかかわらず、1980年代半ばまで女性に対する暴力は、社会問題や人権、そして市民の安全にかかわる問題としては認識されていなかった。しかし、1980年代後半になって、さまざまな女性団体・グループが形成され、家庭内暴力などに反対して公に声を上げ始めるようになり、こうした動きを受けて法制度が整備された186

 現在、ホンジュラスでは数多くのNGOがWID/ジェンダー分野で活動しており、そのすべての活動を網羅することはできないが、比較的影響力が強いと言われているNGOには以下のものがある187

  • 女性人権センター(Centro de Derechos de Mujeres)
  • 人権研究・普及センター(Centro de Investigacion y Promocion de Derechos Humanos)
  • 女性研究センター(Centro de Estudios de la Mujer - Honduras)

 これらのNGOは、国際機関や国際NGOの支援を受けて活動を展開しているが、それぞれが独自の組織目的を持ち、活動領域を特定して活動していることが多い。活動資金の調達方法は、NGO側がドナーに対してプロポーザルを提出して活動資金を獲得することが多いが、ドナー側から調査などを委託されることも多い。NGOとドナーはプロジェクトベースで連携することが多い。



1 1994年、国立統計院推定、(社)ラテンアメリカ協会『ラテンアメリカ事典』

2 外務省『政府開発援助国別データブック 2001』

3 PNUD 2002 Informe Sobre Desarrollo Humano 2002 Mundi-Prensa ; p151

4 UNDP 1998 Human Development Report 1998 Oxford University Press ; p129

5 PNUD 2002 Informe Sobre Desarrollo Humano 2002 Mundi-Prensa ; p224

6 Instituto Nacional de Estadistica (INE) 1999 Encuesta Nacional de Ingresos y Gastos Familiares 1998-1999; p21

7 Fondo de Desarrollo de las Naciones Unidas para la Mujer (UNIFEM) 2002 Estudio Situacional de la Aplicacion y Regislacion y Reglamentacion sobre la Violencia contra las Mujeres y Ratificacion del Protocolo Facultativo de la CEDAW en Guatemala, Honduras y Nicaragua ; p40

8 自然人口増加率(出生率-死亡率)は年2.8%であるが、移民数(国外への移住者と他国からの移住者の差)を考慮すると2.6%になる。この推測値はUNFPAの計算によるもの。(Sistema de las Naciones Unidas en Guatemala 2002 Desarrollo humano, mujeres y salud: quinto informe 2002 : SNU ; p282)

9 Sistema de las Naciones Unidas en Guatemala 2002 ; p283

10 Sistema de Naciones Unidas en Guatemala 2000 Guatemala: la fuerza incluyente del desarrollo humano ; p120

11 就業者人口を指す。Instituto Nacional de Estadistica 1999 Encuesta Nacional de Ingresos y Gastos Familiares 1998-1999 ; p38

12 The World bank, 'Gender Stats' http://genderstats.worldbank.org/genderRpt.asp?rpt=profile&cty;=HND

13 Instituto Nacional de Estadistica 2001 La Pobreza en Guatemala Principales Resultados

14 Comite Beijing Guatemala 2001 Guatemala Beijing+5 ; p19

15 非先住民男性の識字率は68%で、先住民男性の識字率は32%である。Sistema de las Naciones Unidas en Guatemala 2002 ; p236

16 "...la falta de programas y contenidos adecuados a la realidad nacional"

17 UNIFEM 2002 Estudio Situacional de la Aplicacion de la Legislacion y Reglamentacion sobre la Violencia contra las Mujeres y Ratificacion del Protocolo Facultativo de la CEDAW en Guatemala, Honduras y Nicaragua ; p40

18 Sistema de las Naciones Unidas en Guatemala 2002 ; XXII

19 Sistema de las Naciones Unidas en Guatemala 2002 ; p381-382

20 Instituto Nacional de Estadistica (INE) et. al. 1999 Guatemala : Encuesta Nacional de Salud Materno Infantil 1998 - 1999: INE ; p17

21 Sistema de las Naciones Unidas en Guatemala 2002 ; p283

22 Sistema de las Naciones Unidas en Guatemala 2002 ; XX

23 それぞれの数値は村落部では20%、6%で、先住民女性では19%、7%になる(Sistema de las Naciones Unidas en Guatemala 2002 ; p283)

24 UNIFEM 2002 ; p42

25 INE et. al. 1999 ; XXIV

26 Sistema de las Naciones Unidas en Guatemala 2002 ; p286

27 Sistema de las Naciones Unidas en Guatemala 2002 ; p284

28 一歳未満の子ども

29 Sistema de las Naciones Unidas en Guatemala 2002 ; p284

30 INE et. al. 1999 ; p93

31 UNIFEM 2002 ; p42

32 UNIFEM 2002 ; p43

33 INE et. al. 1999 ; p104

34 UNIFEM 2002 ; p41

35 Gobierno de la Republica de Guatemala Secretaria Presidencial de la Mujer (SEPREM) 2002 Cuestionario Tercero, Cuarto y Quinto Informes Periodicos CEDAW ; p34

36 SEPREM 2002 ; p35

37 SEPREM 2002 ; p34

38 労働力人口(Economically Active Population/Labour Force):財とサービスを生み出すために労働を供給する人口(http://www.jica.go.jp/global/genwid/report/95camvie/yougo.html)

39 Pamela Escobar 2002 Informacion Relacionada con la Participacion Economica y Social de La Mujer en Guatemala UNDP ; p1

40 Sistema de las Naciones Unidas en Guatemala 2002 ; p213

41 1989年では96%を占めたが、2000年では80%。毎年平均1.6%減少している(Sistema de las Naciones Unidas en Guatemala 2002 ; p214 )

42 就学者の割合は1989年の2%から2000年に5%になった(Sistema de las Naciones Unidas en Guatemala 2002 ; p214)

43 村落部では98%から85%に減少(Sistema de las Naciones Unidas en Guatemala 2002 ; p214)

44 Sistema de las Naciones Unidas en Guatemala 2002 ; p214

45 同上 ; p217

46 同上 ; p 221

47 Sistema de las Naciones Unidas en Guatemala 2002によると、成人とは18歳から60歳までを指す。

48 同上 ; p220

49 同上 ; p216

50 同上 ; p217

51 ここでは、世帯主の性別を唯一の基準として貧困率を比較しているが、実際には世帯主の性別よりもむしろ居住地域やエスニシティの方が貧困との関連性が強いことを十分留意する必要がある。同上;p48-50

52 女性が世帯主である世帯の最貧困層が減少した背景には、農村部インフォーマルセクターにおいて、女性、特に先住民女性の雇用が増加したことがある。しかし、女性が就く職業は賃金が低いケースが多いため、最貧困層からの脱却はできても、貧困層からの脱却は依然難しいのが現状である。同上 ; XIII

53 同上 ; XXII

54 Ley de Dignificacion y Promocion de la Mujer

55 Sistema de las Naciones Unidas en Guatemala 2002 ; XXII

56 Comite Beijin Guatemala - Cladem 2002 Informe Alternativo sobre la CEDAW al Tercero, Cuarto y Quinto Informes del Gobierno de Guatemala: Hivos; p31

57 バハ・ベラパス県、グアテマラ県、イサバル県、ケツアルテナンゴ県、レタルレウ県、サンタ・ロサ県の計6県。Sistema de las Naciones Unidas en Guatemala 2002 ; p242

58 代理人とは'suplemento'を指す。Secretaria Presidencial de la Mujer (SEPREM) 2001 Quinto Informe Periodico "Aplicacion de la Convencion sobre la Eliminacion de Todas las Formas de Discriminacion contra la Mujer ; p.34

59 Comite de Unidad Campesina

60 Coordinadora Nacional de Indigenas Campesinos

61 Cooperacion para el Desarrollo Rural del Occidente

62 Coordinadora de Asociaciones de Desarrollo Integral del Sur Occidente de Guatemala

63 Asociaciones Campesinas

64 Comite para la Eliminacion de la Dicriminacion contra la Mujer (CEDAW) 2002 ; p33-34

65 Sistema de las Naciones Unidas en Guatemala 2002 ; p245

66 同上 ; p246

67 同上 ; p248

68 労働力人口

69 Sistema de las Naciones Unidas en Guatemala 2002 ; p250

70 La Politica Economica y Social (SEGEPLAN 2002 Politica de Desarrollo Social y Poblacion ; p6)

71 Promocion de la Mujer

72 Programa de Gobierno

73 Compromiso Social con el Desarrollo Humano Integral

74 Atencion de la familia y la mujer

75 Plan de Accion de Desarrollo Social : Desarrollo Humano, Infancia y Juventud

76 Promocion de la Mujer

77 11の和平諸協定とは、(1)最終和平協定「確固たる永続的な和平協定」、(2)諸協定の実施と検証のためのクロノロジー協定、(3)URNGの合法性への復帰協定、(4)憲法及び選挙制度の改正協定、(5)最終的停戦協定、(6)市民権強化と民主社会における軍の役割協定、(7)社会・経済的側面と農業問題協定、(8)先住民の地位と権利協定、(9)グアテマラ人権侵害真相究明委員会、(10)武力紛争により影響を受けた住民の再定住協定、(11)包括的人権協定、を指す。

78 女性庁長官リリー・カラバンテス博士は、政治的任命ではなく、政府の女性関連部署とNGO等の市民社会によって共同推薦され、最終的には各県代表による選挙によって選出された。長官は長年女性運動に携わっていたため、市民社会は自分たちの代表であるという意識を持っている。また、長官は過去にPAHOに15年勤務し、同機構の代表として「ジェンダー・女性の前進グループ(GIGAM)」で調整役をつとめていたこともあり、国際機関からの信頼も厚い。

79 Politica Nacional de Promocion y Desarrollo de las Mujeres Guatemaltecas y Plan de Equidad de Oportunidades

80 Constitucion Politica de la Republica de Guatemala

81 自由と平等、機会と責任の平等、男女先住民族文化の尊重、女性労働者の保護、産休などの享受

82 Convenio numero 169, sobre Pueblos Indigenas y Tribales en Paises Independientes: 男女差別のない基本的人権と自由の享受

83 Ley de los Consejos de Desarrollo Urbano y Rural: ジェンダー公正、開発審議会への女性の参加、女性団体の代表が県・市・コミュニティレベルでの行政に携わること、審議会の機能としての子ども、思春期、青少年と女性の保護・支援政策・プロジェクト・プログラムの推進

84 女性の統合開発、尊厳と権利の推進、性別、年齢、宗教などによる差別、女性(ジェンダーによる)への暴力(物理的、道徳的、心理的なものを含む)、女性への暴力・差別の防止撲滅の政策策定、婚姻や母性による差別の禁止、女性への奨学金、教育ローンなどの機会均等の保証、就業の自由、公正で平等な賃金社会保障、労働における身分保障

85 Acuerdo Ministerial

86 ジェンダー公正、村落女性の支援、多様性への配慮

87 Acuerdo Interno, para la Creacion del Area de la Mujer en la Gobernacion del Departamento de Guatemala: 女性配慮と指導の組織整備、経済、社会、文化、政治開発への女性の参加支援

88 Acuerdo Gubernativo que creo la Defensoria de la Mujer Indigena: 先住民女性へのあらゆる差別への対応、技術・資金協力

89 Acuerdo Gubernativo

90 女性庁の設立について言及

91 Codigo Municipal: ジェンダー公正、家族、女性、子どもの委員会の設置

92 Ley de Desarrollo Social y Poblacion: 公正、人権と男女平等、女性の権利の尊重、女性のニーズにあった統合開発、すべての暴力の撲滅処罰のための公正政策推進、差別のないニーズにあったリプロダクティブヘルスのプログラム、女性の公正と参画を含んだ教育、社会コミュニケーション、女性への搾取の防止、自尊心とジェンダー公正への配慮

93 Ley para Prevenir, Sancionar y Erradicar la Violencia Intrafamiliar: 女性、子ども、青少年、高齢者、障害者への家庭内暴力の防止、女性の権利保護を目的としたNGO・社会組織による告訴、男女の社会文化を公教育、インフォーマル教育プログラムに含む

94 Ley General de Decentralizacion: 女性支援に関する記述はないためリストに記載はないが、女性庁は組織の地方分権を推進している(「(4) 政策実施」参照)。

95 Secretaria General de Planificacion: SEGEPLANでのインタビューによる。

96 United Nations Population Fund / Fondo de Poblacion de las Naciones Unidas: FNUAP

97 Plan de Accion para la Plena Participacion de las Mujeres Guatemaltecas y Plan de Equidad de Oportunidades

98 Acuerdo sobre Cronograma para la Implementacion, Cumplimiento y Verificacion de los Acuerdos de Paz

99 文書未入手

100 European Union / Union Europea

101 Cronograma de Implementation, Cumplimiento y Verificacion de los Acuerdos de Paz 2000-2004

102 女性の参画 女性の参画の進展について評価を行い、それに基づいた行動計画を策定する

103 先住民女性の権利 女子差別撤廃条約の普及と忠実な施行の促進

104 経済社会開発への女性の参画 「和平協定履行のための実施計画」第29条に規定された(国家女性)フォーラムの結果を念頭に置き、和平協定の女性に関する責務を持続させる

105 CIDAは、各国が援助金を持ち寄ることによって、より大きな活動支援ができるという考え方に基づいて、Sida、UNFPA、オランダ王国大使館、ソロス基金の4機関と合同の基金設立を呼びかけた。女性庁側の行政負担を軽減するため、各機関に対し個別に報告をするのではなく、共通の報告書を全機関が共有する制度を取る予定である。ドナーは受け入れ先機関の負担を軽減する方法を考えるべきであり、カナダのケースはその例も示唆している。

106 CIDAは最近大きな援助政策転換を行った。以前はジェンダー公正という視点からNGO活動の支援
(パイロットプロジェクト的なもの)を行っていた。しかし、2001年8月に、「中米ジェンダー平等基金」の外部評価が行われ、結果はコミュニティレベルの小規模なプロジェクト自体には効果があっても、それは全国の女性の状況に何の変化ももたらしていないという内容であった。それを受けて、小規模プロジェクトの二つのスキームを終了し、より大きなインパクトを求めて、政策決定機関である女性庁への支援を決定した。

107 国連システム(UN System/Sistema de las Naciones Unidas: SNU)内のさまざまな組織が調整なく同じような業務を実施していることに対し、もっと効果的に連携を行う試みである。グアテマラは先行して国連システム内での協調(グループ化)が進んでいた為に、モデルケースとなった。

108 Sistema de Naciones Unidas Marco Comun de Cooperacion para el Desarrollo Guatemala (UNDAF) 2001-2004

109 国連システム在留調整室

110 GIGAM 2002 Plan Estrategico 2002-2004 y Plan de Trabajo; p1

111 Instancia de la Mujer Ka Wuq y Coordinadora de Acciones Legales de las Mujeres: COALM 1999 Ley de Dignificacion y Promocion Integral de la Mujer

112 USAIDはグアテマラで長年この分野に取り組んできた。

113 Programa de Prevencion y Erradicacion de la Violencia Intrafamiliar PROPEVI

114 Sistema de las Naciones Unidas en Guatemala 2002 ; p283

115 Women's Justice Center 2001 Each Day Twenty Women Report Family Violence http://www.justicewomen.com/tertulia_8_18_01.html

116 Centro para Accion Legal en Derechos Humanos CALDH

117 Defensoria de la Mujer Indigena - Comision Presidencial de Derechos Humanos DEMI - COPREDEH

118 Comision Presidencial de Derechos Humanos: COPREDEH

119 女性庁長官へのインタビュー結果による。

120 女性庁国際協力部による(2003年2月現在)

121 外務省『政府開発援助国別データブック 2001』

122 PNUD 2002 Informe Sobre Desarrollo Humano 2002 Mundi-Prensa ; p151

123 UNDP 1998 Human Development Report 1998 Oxford University Press ; p129

124 PNUD 2002 Informe Sobre Desarrollo Humano 2002 Mundi-Prensa ; p224

125 Organizacion Panamericana de la Salud 2001, Perfil del Sistema de Servicios de Salud de Honduras ; p5 http://www.americas.health-sector-reform.org/spanish/guapres.pdf

126 PNUD 1999, Informe Sobre Desarrollo Humano Honduras 1999 ; p210

127 Instituto Nacional de Estadistica, http://www.ine.gob.hn/

128 PNUD 1999 ; p210

129 ECLAC http://www.eclac.cl/publicaciones/Estadisticas/1/LCG2151PB/c2_I.pdf

130 World Bank, Gender Stats http://genderstats.worldbank.org/genderRpt.asp?rpt=profile&cty;=HND,Honduras&hm;=home

131 Fonseca Discua, Regina 1997 Mujeres en cifras Centro de Derechos de Mujeres ; p8

132 PNUD 2002 ; p164

133 Fonseca Discua, Regina 1997 ; p8

134 Centro de Derechos de Mujeres (CDM) Mujeres en cifras : Honduras; p.70

135 World bank, Gender Stats(中退率・留年率はデータなし)

136 PNUD 2000 ; p257

137 UNDP 1998 ; p163

138 UNDP 2000 ; p196

139 PNUD 1998 ; p149

140 PNUD 2002 ; p151

141 PNUD 2002 ; p152

142 PNUD 1998 ; p177

143 USAID 2002 Honduras: Country Health Statistical Report http://www.usaid.gov/pop_health/home/Countries/lac/honduras.pdf ; p9

144 Instituto Nacional de Estadistica

145 World Bank, Gender Stats

146 Instituto Nacional de Estadistica

147 USAID 2002 ; 10p

148

UNFPA 2002 ; p5
http://www.unfpa.un.hn/Pdfs/documentos_clave/DocumentoSubprogramaSaludReproductiva17dejunio.pdf

149 Instituto Nacional de Estadistica
http://200.30.134.19/ine/sociales%20y%20demograficas/salud%20materna.htm

150 PNUD 2002 ; p168

151 UNDP 1997 ; p174

152 UNDP 1999, グローバリゼションと人間開発 ; p212

153 PNUD 2002 ; p176

154 同上 ; p177

155 Pan American Health Organization 'Honduras Datos Basicos', http://www.paho-who.hn/datobasi.htm

156 PNUD 1998 ; p159

157 PNUD 2002 ; p168

158 UNFPA 2002 ; p5

159 Naciones Unidas 2001 Junta Ejecutiva del Programa de las NacionesUnidas para el Desarorollo y del Fondo de Poblacion de las Naciones Unidas ; p4

160 国連エイズ合同計画 (UNAIDS/ONUSIDA) 2002 Honduras: Epidemiological fact sheets http://www.unaids.org/hivaidsinfo/statistics/fact_sheets/pdfs/Honduras_en.pdf

161 UNFPA 2002 ; p6

162 Ley de Igualdad de Oportunidades para la Mujer

163 Ferrera, Ana Maria et al.'The invisible price women have to pay for privatization' Centro de Estudios de la Mujer http://www.socwatch.org.uy/en/informesNacionales/193.html%

164 PNUD 1996 ; p175

165 PNUD 2002 ; p241

166 現地調査収集情報。添付資料「女性の政治的ポスト数」参照。

167 World Bank, Gender Stats

168 マキーラ産業。経済特区等にある主に北米市場向け製品(衣料品など)の工場で、中米では若い女性が厳しい条件下で労働している。
(反差別国際運動 http://www.imadr.org/japan/project/guate/ppp/decralacion.1.html)

169 Fonseca Discua, Regina 1997 ; p61

170 CEPAL 2001 Statistical yearbook for Latin America and the Caribbean 2001 http://www.eclac.cl/publicaciones/Estadisticas/1/LCG2151PB/cI_1.pdf

171 UNFPA 2002 ; p7

172 CIDA 2002 INC-Gender profile, http://www.acdi-cida.gc.ca/cida_ind.nsf/3f70b80bd2c2e2ff8525664200403dad/b192afe6e510587485256bf80063458e?OpenDocument

173 US Department of State 2001, Honduras, http://www.state.gov/j/drl/rls/hrrpt/2001/wha/8328.htm

174 ホンジュラスは1980年に女子差別撤廃条約を批准

175 Plan de Gobierno, para el periodo 2002-2006 http://www.sdp.gob.hn/Plan%20Gobierno.htm

176 同上 ; p14

177 Government of Republic of Honduras 2001 The Poverty Reduction Strategy Paper (2001-2015) ; p58 and p91

178 国家女性局局長マルセラ・デル・マル・スアソへのインタビュー(2002年11月28日)結果による。

179 UNDPでのインタビューによる情報。

180 UNDP 1999 Informe Nacional sobre la Situacion de la Violencia de Genero contra las Mujeres ; p37

181 Proyecto de Atencion Integral a la Mujer (PRAIM)「女性への統合ケアプロジェクト」

182 Unidad de Planeamiento y Evaluacion de Gestion

183 Mendez, Maria Elena 2001 Percepcion e Interaccion Centro de Estudio de la Mujer - H ; p171. 国連機関が関与した可能性は高いが、この文献には国連機関の関与に関する記述はなかった。

184 Sistema de las Naciones Unidas 2001 UNDAF Honduras

185 同上

186 Mendea, Maria Elena, Montesdeoca, Edison Ariel Percepcion e Interaccion, Centro de Estudio de la Mujer-H; p37

187 ホンジュラスにおけるWID/ジェンダー分野のNGOの調査は、WID/ジェンダー分野で活動の経験のあるローカルコンサルタントに依頼して行った。選択はローカルコンサルタントのこれまでの業務経験に基づいて選択したものである。各NGOの概況は添付資料にまとめた。




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