前項までの評価結果を踏まえ、パプアニューギニアのインフラ整備分野への今後の支援に際し、以下を考慮することが望まれる。
(1) | 援助政策の企画・立案・実施における、より一層のドナー間での案件の調整・連携の強化への配慮 日本はこれまでパプアニューギニアの援助政策を企画・立案・実施するにあたって、案件の効率的実施に資すると考えられる場合に他ドナーと情報交換を行っているに留まっていたが、日本による支援が完了した後も、他ドナーによる整備が完成していないため、十分な機能が発揮されていないケースが見受けられる。 このため、日本大使館、JICA、JBICは、支援の効果を高めるために、関係ドナー間で案件選定の連携・調整(例えば、整備事業とメンテナンス事業による役割分担や援助ツールの組み合わせ等)を強化することが望まれる。 |
(2) | パプアニューギニア政府国家計画・地方開発省(DNPRD)の調整能力向上(キャパシテイ・ビルデイング)のための更なる支援 評価対象案件の中で、一部のパプアニューギニアの実施機関が本来の所管部門を通さずに直接国家計画・地方開発省(DNPRD)や日本大使館に要請するケースが見られ、プロセスの適切性が損なわれる恐れがあることや、昨年まで、評価対象案件を含め国家計画・地方開発省(DNPRD)からの要請案件リストでは優先順位が付けられていない状態で提出されていた。これは、国家計画・地方開発省(DNPRD)によるパプアニューギニア政府内での調整機能が十分に果たし切れていなかったものと判断される。 これらの是正はパプアニューギニアの社会的背景等から容易に達成することは困難なものと予想されるが、案件の要請プロセスを円滑にするためにはパプアニューギニア政府国家計画・地方開発省(DNPRD)による調整能力の一層の向上(キャパシテイ・ビルデイング)が必要である。 このための方法として、パプアニューギニアの人口や経済規模に鑑み、日本の地方自治体(政令指定都市等)での長期研修等、JICAスキームを利用した国家計画・地方開発省(DNPRD)の研修プログラムの強化が望まれる。 |
(3) | 草の根無償案件の実施状況および援助効果に対するわが国による管理体制強化 水供給草の根無償案件6件の内、4件でアウトプットの確認がされていないことから分かるように、案件に関する事情を聞くにしても遠隔地のため交通費上の問題で大使館に呼べない場合が多く、また、現地での確認が十分でない場合もあり、現状では案件の完遂チェックや事業効果については十分な管理が行えない状況にある。 草の根無償案件の実施状況および援助効果に関するわが国の管理体制を強化することが必要である。このために、在パプアニューギニア有識者を活用した体制の形成等、草の根案件に対する在パプアニューギニア日本大使館の体制強化を図ることが望まれる。 |