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技術協力におけるマルチ・バイ協力評価報告書要約

1 マルチ・バイ協力評価の概要

1-1 調査実施の背景・目的

 我が国は「技術協力事業におけるマルチ・バイ協力」として、国連児童基金(以下、UNICEF)および国連人口基金(以下、UNFPA)と連携・協力の上、開発途上国の保健医療および人口・家族計画の状況改善と向上、並びにこれらの分野における自立を目的として、感染症予防ワクチン、コールド・チェーン機材、避妊具・避妊薬、簡易医療機材等の供与を通じ、開発途上国に対する支援を実施してきている。
 これまで、UNICEFとの連携は13年間(1989~2001年)に亘り延べ35ヵ国、UNFPAとの連携は8年間(1994~2001年)に亘り延べ19ヵ国に対し協力を実施してきたが、マルチ・バイ協力に関するプログラムとしての総合的な評価はこれまで行われていない。このため、本スキームが実際にどれだけのインパクトを与え、またどれだけの効果をあげているのか、十分に把握されておらず、またマルチ・バイ協力のメリット・デメリットおよび問題点などが総合的に考察されたことはないのが現状である。
 以上を背景として、本調査評価は、我が国の技術協力事業におけるマルチ・バイ協力に対して総合的かつ包括的な評価を実施することによって、その評価結果から、今後のより効果的かつ効率的な協力を進めていくための提言・教訓を導き出すことを目的としている。

1-2 評価の基本方針

 本調査では、これまでに我が国が実施してきたマルチ・バイ協力をODA政策における「プログラム(施策)」と位置付け、まずプログラムセオリーに基づいて、各裨益国レベルでマルチ・バイ協力が何を目標として、どのようなロジック(因果関係)に基づいて実施されているのかを、既存資料、関係者ヒアリングなどを基に整理した(図 1-1、図 1-2)。次に、その枠組みに基づいて以下の3つの観点から総合的な評価分析を実施した。

(1) プログラムの背景にある“理論”
(2) プログラム実施の“プロセス”
(3) プログラムの“効果”
 評価のための主なデータは、図 1-3に示すとおり国内調査と現地調査(アジア3ヵ国、アフリカ2ヵ国)によって得られた、これまでのマルチ・バイ協力の取組み、成果および現在の実施体制などについて収集・整理した情報である。また、マルチ・バイ協力実績のある全ての国を対象としたアンケート調査を実施し、5ヵ国のケーススタディで明らかにされた傾向を確認することによって、定性的データを補完するとともに評価結果を一般化しようとしている。

図1-1 UNICEF連携マルチ・バイ協力のロジックの流れ
図1-1 UNICEF連携マルチ・バイ協力のロジックの流れ

図1-2 UNFPA連携マルチ・バイ協力のロジックの流れ
図1-2 UNFPA連携マルチ・バイ協力のロジックの流れ

図1-3 マルチ・バイ協力評価の調査フロー
注) 技術協力事業におけるマルチ・バイ協力では、その合意書の中ではプログラム目標が明記されていないため、ここでは上記のようにプログラム目標を仮定した。
図1-3 マルチ・バイ協力評価の調査フロー

1-3 調査団構成

(アジア地域)

有識者  青山 温子  名古屋大学大学院医学系研究科教授
コンサルタント  後藤 有右  (株)アースアンドヒューマンコーポレーション取締役
オブザーバー参加  池﨑 保  外務省経済協力局技術協力課 課長補佐
 吉野 賢哉  国際協力事業団調達部契約第一課

(アフリカ地域)

コンサルタント  十津川 淳  (有)アイエムジー パートナー
 西田 良子  (財)ジョイセフ国際事業部長
オブザーバー参加  山口 典史  外務省経済協力局技術協力課 課長補佐
 岡野 香苗  国際協力事業団計画課 副参事

(国内アドバイザー)

コンサルタント  鈴木 良一  (財)ジョイセフ事務局長補
 石井 澄江  (財)ジョイセフ事務局次長


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