2.3 国際緊急援助隊の派遣実績
(1) チーム別派遣実績の概要
国際緊急援助隊法が施行された1987年9月から、2004年1月末までの日本政府の国際緊急援助隊の派遣実績は、この間にチームの編成や派遣方法が変更されており、これらの数字は絶対的なものではないが、表 2-3 と 図 2-3に示す通り。「救助チーム」は合計9チーム、「医療チーム」は合計32チーム、「専門家チーム」は合計25チーム派遣された。
過去の個別派遣実績をチーム別に、「派遣期間」「被援助国および地域」「災害の種類」「災害の規模」「派遣チームの人数」「チームの構成」「成果(「救助チーム」の場合は、救助者の数、「医療チーム」の場合は患者数、「専門家チーム」の場合は活動詳細)」および「経費概算」を明らかにしたものを、添付資料3に付した。本項では、チーム別および地域別派遣実績の概要を述べる。
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*2004年1月30日現在
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(注) | 1) 2) 物資購入費、輸送費を合計したもの。(財務省協議額) 3)輸送業務は()表示。 |
4) この間に、チームの編成や派遣方法が変更されており、これらの数字は絶対的なものではない。 |
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(出所)「国際緊急援助事業概要(2003年9月)」 JICA国際緊急援助隊事務局 より作成 |
1)「救助チーム」 1990年に、はじめて「救助チーム」が派遣されて以降、2004年1月末までに、過去に9件派遣され、6件が地震災害、2件がビル倒壊、1件がサイクロンに際してであった。近年では、1999年のトルコ地震、台湾地震、2003年のアルジェリア地震に際し派遣された。 |
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2)「医療チーム」 国際緊急援助隊「医療チーム」としての派遣は、1988年以降、2004年1月末までに合計27件(ひとつの災害への数次派遣も個別に計算に入れると32件)派遣されている。近年では1999年のトルコ西部及び北部地震と台湾地震、2003年5月のアルジェリア地震、2003年12月のイラン地震に際し、派遣されている。派遣実績全体の中でも地震災害に対する派遣は14件と多数に及ぶ。その他には、4件が洪水(スーダン、中国、ネパール、モザンビーク)に対して、3件がハリケーン(ジャマイカ、ドミニカ共和国、ニカラグア)に対して、1件が台風(フィリピン)、旱魃(エチオピア)、竜巻(バングラディシュ)、津波(パプアニューギニア)に対して、7件が難民流入に対して派遣されている。 |
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3)「専門家チーム」 従来、自然災害に際し、防災等のための将来的な技術的提言を行うことを目的に派遣されてきた。1987年より2004年1月末までに合計21件(ひとつの災害への数次派遣も個別に計算に入れると25件)派遣された。内11件が地震関連であった。近年では、1999年のトルコ、台湾の地震、2003年のアルジェリア地震に際して派遣されている。 |
「専門家チーム」派遣実績(件数)(災害別)
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その他には、豪雨・洪水に対して3件(ベネズエラ、ネパール、バングラディシュ)、原油流出2件(サウジアラビア)、サイクロン1件(バヌアツ)、火山噴火2件(インドネシア、パプアニューギニア)、大気汚染1件(マレーシア)および森林火災2件(インドネシア)、石油流出1件(シンガポール)、SARS 2件(中国1件、ベトナム1件)に対して派遣されている。このSARSに対する派遣は、緊急感染症対策専門家を派遣するものであり、従来型の自然災害や洪水に伴う感染症対策に対応する専門家の活動とは性格を異にしている。 |
地域別の派遣実績をチーム別と、チーム全体で示したものは表 2-4、図 2-7、図 2-8のとおり。派遣数全体では、アジア地域が25件と最も多く(全体の約38%)、次いで中東18件(全体の約27%)となっている。チーム別の地域別派遣実績の特徴は、「専門家チーム」は、アジア地域が13件であり、全派遣に占める割合が52%とかなり高い。また、「救助チーム」も、アジア地域に対しては4件と全体に占める割合は44%と高い。「医療チーム」は、中東地域への派遣が11件(34%)とアジア地域への派遣8件(25%)に比べ高くなっている。
図 2-7 チーム全体としての地域別派遣実績(件数) |
図 2-8 チーム別地域別派遣実績(件数) |
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(出所)「国際緊急援助事業概要(2003年9月)」JICA国際緊急援助隊事務局 より作成 | (出所)「国際緊急援助事業概要(2003年9月)」JICA国際緊急援助隊事務局 より作成 |