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第7章 在外公館による評価
インド バナラス大学医科学センター教育機材改良計画


(1999年2月、在インド大使館)


〈プロジェクト概要〉

援助形態 無償資金協力
協力年度 1993年度
協力金額 10.58億円
相手国実施機関 バナラス・ヒンドゥー大学医科学センター
協力の内容 バナラス・ヒンドゥー大学医科学センター付属病院は、約1億人を対象とするインド北東部唯一の病院であるが、医療機材の老朽化が著しく、また機材の絶対数が不足している。同病院がインド北東部を対象とした医療サービスの提供と医療従事者の養成及び研修を行う機関としての役割を果たし得ることを目的として約290の医療機材を供与した。


〈評価要旨〉

1.効率性

 中央手術室(15カ所)、中央材料室、臨床検査室及び9学部等広範な部門へ約290の機材が供与され概ね有効に活用されている。

2.目的達成度

 本件により、同病院がインド北東部を対象とした医療サービスを提供できるようになることが最大の目的であったが、それは達成されている。また、同大学医学部の教育機関としての役割も増大しており、当初の目標は達成されている。

3.インパクト

 本件所在地の住民及び近隣の住民に対する貢献度は極めて高く、高度医療サービスを提供できる病院として認知されており、これにより医学研究生等の応募数が急増している。

4.妥当性

 インド中央政府は、保健分野において「2000年までに全ての国民に健康を」のスローガンを掲げ、このための政策を推進してきており、基礎的な保健水準にはめざましい改善が見られたが、未だその水準はアジアの中では低く、慢性的な栄養不足と栄養不良が同国国民の一般的な問題点となっている。本件は、こうした問題を解決する一助になるものでありプロジェクトの選定は適正であった。

5.自立発展性

 技術的な面では、3名の運営委員会が設置され、供与機材の総合的な管理に当たっており、機材の保守管理が適切に実施できる体制がとられている。財務的な面では、回転運営資金制度(同病院の技術スタッフでは維持管理が困難な機材について、患者から診察検査料金を徴収し外部技術者による機材の維持管理費用等に充てる制度)を取り入れ、保守費用、運営費の高額な機材については有料診療としてその費用に充てている。

6.ジェンダーへの配慮・影響

 同医科学センターに併設されている看護学校では、全国から募集した生徒が3年半の看護教育を受けており、女性の社会進出に資するものとなっている。

7.今後必要とされるフォローアップ

 本件供与機材の中には、消耗品・スペアパーツの適切な供給を必要とする機材も多く、適切な段階でスペアパーツ供与等のアフターケアを実施することにより、本件のより効果的な実施が確保されよう。

8.将来他のプロジェクトを実施する際に教訓として活かされるべき事項

 現地代理店が無償で修理をする1年の保証期間から有償による保守契約への移行がスムースに行われるよう、機材調達から1年後、保証期間の終了時に、有償保守契約の有無を日本側で確認の上、必要に応じ助言することも一案である。


(写真)医科学センター外観
医科学センター外観
(写真)コバルト60治療器
コバルト60治療器


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