(1997年2月、在ボリビア大使館、大蔵省チュキサカ県支部エドゥアルド・アルセ・スコット公共投資対外資金調整官)
援助形態 | プロジェクト方式技術協力、無償資金協力 |
協力年度 | (無償資金協力)1978年度 |
協力金額 | (無償資金協力)8億円 |
協力期間 | (プロジェクト方式技術協力)1977年4月1日~1983年3月31日、1992年10月1日~1995年9月30日 |
相手国実施機関 | 厚生省/スクレ市/スクレ消化器疾患研究センター |
協力の内容 | 消化器系疾患の発生率の高いボリビアにおいて、無償資金協力により消化器疾患研究センターを建設し、消化器疾患対策の研究と効率的早期診断を行うための技術協力を実施。 |
〈評価要旨〉
1. 案件の維持・管理状況
1994年7月、地方分権化によりセンターはスクレ市に移管された。第1フェーズの実施から20年近く経つが、当時からの機材を含め、供与機材の稼働率は9割程度と高い。病院は独立採算制により運営され、収支は黒字であるが、スペアパーツを購入することはできても、機材更新できるほどの余裕は無い。
2. 案件の選定・形成の適正度
本件プロジェクトはボリビアが国家5カ年計画において医療分野に重点を置き、医療技術レベルの向上を図っていたときに開始されたものであり、同国家計画に合致したものであった。プロジェクト実施前に十分な協議が行われたため、実施後、特に問題は見られない。また供与機材はボリヴィアのニーズ、技術水準に合致していた。
3. 当初目的の達成度及び効果
内科、外科、病理学、看護学、その他関連分野における高度かつ応用的技術の移転が順調に行われた。第2フェーズのCTスキャンの導入等により、医療技術は一層向上した。また、センターでは大学医学部学生の実習、医師や看護婦に対するセミナー等により、国内への技術移転が行われている。さらに、コレラ、下痢症等に関するプロジェクトの実施により地域医療の向上にも役立っている。本件プロジェクトのこのような実績は、ボリビア側がその後の我が国に対する協力要請において保健医療分野を重視するようになる契機となった。
4. 環境への影響/WID(途上国の女性支援)への配慮
スクレ市の環境への悪影響は生じていない。但し、現在、固形廃棄物はセンター内の焼却炉で手作業で処理されているが、センター側は、近い将来、廃棄物処理施設の建設を検討することが必要であると考えている。
5. 今後必要とされるフォローアップないしはアフターケア
既に耐用年数を超えた機材も多く、また旧式であるためにスペアパーツ入手が困難な機材もあることから、これら機材の多くが故障してしまう前にフォローアップを行い自助努力を支援することが、本件プロジェクトの発展のためには必要と考えられる。
6.将来他のプロジェクトを実施する場合に教訓として活かされるべき事項
地方分権化の進展に伴い多くのプロジェクトが地方自治体の管轄となることをから、プロジェクトの自立発展性について一層の考慮が必要であると考えられる(例えば、機材更新のための減価償却基金の設立等)。