(1997年3月 在トリニダード・トバゴ大使館、セントビンセント農業省 Kerwyn L. Morris水産局長)
援助形態 | 無償資金協力 |
協力年度 | 1987年度、1988年度 |
協力金額 | 6.43億円 |
相手国実施機関 | 大蔵計画開発省 |
協力の内容 | セントビンセントの水産流通及び市場システム改善のための漁港及び新キングスタウン魚市場の建設、消費者のための食堂小店舗、バスターミナル、駐車上等の併設 |
〈評価要旨〉
1. 案件の維持・管理状況
市場は、フィッシュ・マーケット・コーポ(政府出資)により、国家の水産政策を踏まえた長期的展望に基づき維持・運営され、自立発展性が見受けられる。フィッシュ・マーケット・コーポは近年欠損が続き(欠損分は同コーポの上部機関であるマーケティング・コーポレーションが補填)、人員削減も含め、経営の適正化に努めている。市場以外の施設もそれぞれの管理機関により良好に維持管理されている。
2. 案件の選定・形成の適正度
本件プロジェクトは、政府がFAO及びカナダの援助機関(CIDA)の協力により策定した水産開発計画に基づくものであり、事前調査段階から実施競技段階まで十分な検討が行われている。本件プロジェクト実施による安定した魚供給ルートの確保、地域住民の生活水準の向上等を勘案すると、プロジェクトの選定・形成は妥当であったと認められる。
3. 当初目的の達成度及び効果
漁獲物の市場取扱量は増大し、その品質も、氷の使用や冷蔵庫での保管等により大きく改善された。この結果、漁民及び仲買人は収入が増加し、消費者は品質管理された魚を安心して購入できるようになった等、首都キングスタウンを中心として本島の多くの国民が裨益している。
4. 環境への影響/WID(途上国の女性支援)への配慮
多くの女性が、魚市場内の小売業者や併設食堂小店舗に雇用されている。
5. 今後必要とされるフォローアップないしはアフターケア
1995年のハリケーン被害により段差が生じ運搬に支障があること、1991年の我が国無償資金協力により供与されたマグロ船による水揚げが順調に伸びておりマグロ船係留スペースが必要であることを勘案すると、フォローアップとして桟橋の修復・拡張について検討することが必要である。
6.将来他のプロジェクトを実施する場合に教訓として活かされるべき事項
ODAプロジェクトの実施にあたっては、本件のように、しっかりとした調査結果に基づき策定された計画を支援することが重要である。また、本件魚市場が消費者に非常によく利用されているのは、消費者と魚市場を結ぶ施設(バスターミナル、食堂小店舗等)についても十分考慮されていることによると考えられる。