(1996年11月 在ブラジル大使館)
援助形態 | 開発調査 |
協力年度 |
第一次調査1985年~1987年 第二次調査1988年~1989年 |
相手国実施機関 | 農務省工事保全局 |
協力の内容 | イタジャイ川の洪水防止策及び対応策に関するF/S |
〈評価要旨〉
1. 案件の維持・管理状況
本件開発調査F/Sはよく活用されている。すなわち、本件F/Sを基にして円借款案件(「イタジャイ川流域洪水制御計画」、1996年度)され、また、F/Sの一部は円借款に先立ち、既に地元自治体が独自に工事を行っている。
なお、本件開発調査実施時、実施機関は農務省工事保全局であったが、現在は、事実上地元州政府がその業務を引き継いでいる。
2. 案件の選定・形成の適正度
地元のニーズ、調査結果の活用状況を勘案すると、本案件の選定・形成は適正であったと考えられる。
3. 当初目的の達成度及び効果
本件調査を基にしたプロジェクトが完成した後でないと完全な評価はできないが、現時点では、当初目的の達成を目指し、本件調査結果の活用が順調に行われていると言える。
4. 環境への影響/WID(途上国の女性支援)への配慮
環境への影響は、実際に事業化するに当たって重要な観点であり、本件調査にも関連項目が含まれている。しかし、地元環境保護家(河川改修ではなく、森林回復、小規模な調整池建設等により土地自体の保水能力の向上を図ることにより洪水に対処することを主張)を効果的に説得できるほど具体的に踏み込んだ内容とはなっていない。
5. 今後必要とされるフォローアップないしはアフターケア
今後は、円借款事業を如何に円滑かつ迅速に実施していけるかが課題である。
6.将来他のプロジェクトを実施する場合に教訓として活かされるべき事項
環境への影響については、相手国実施機関側に十分なアセスメント実施能力がない場合には、我が国協力によるF/Sにおいて踏み込んだ分析を行う方が、その後の事業化及びその実施が円滑に進むと考えられる。