(1997年3月 在ジンバブエ大使館)
援助形態 | 無償資金協力 |
協力年度 | 1992年度、1993年度 |
協力金額 | (第1期)5.73億円、(第2期)9.07億円 |
相手国実施機関 | 農業漁業省水産庁、キリマネ漁港機関(PPQ) |
協力の内容 | エビトロール漁船のためのドライドックの建設 |
<評価要旨>
1.案件の維持・管理状況
PPQ所長が兼務する修理施設所長の下にエンジニアリング部門20名、生産管理・営業部門5名が配置されている。施設は独立採算性で運営されており、当初予定されていた収入源のうち、ワークショップ賃貸料や食堂利用料は施設があまり利用されていないため収益を挙げていないものの、上架料を含む修理代、クレーンの貸し出し等による収入で、収支は黒字となっている。
2.案件の選定・形成の適正度
エビは「モ」の輸出額の35~40%を占める外貨獲得の最大商品であるが、本件計画当時、「モ」のエビトロール船80隻のうちキリマネ及びキリマネ以北を基地として操業していた30隻は、整備・修理のために南部の都市まで回航する必要があった。しかし、これらの都市への回航は、距離的に遠いため急な故障の際の航行の安全性、主要漁船岸のため入渠船数も多く所要日程内に修理が終わらないなどの問題があり、キリマネにドックを建設する必要性は高く、本プロジェクトの選定・形成は妥当であった。
3.当初目的の達成度及び効果
ドックには、1996年1年間で13隻、1997年1月~2月末までに8隻のエビトロール漁船が入渠し、同年末までにはさらに6~15隻の入渠が見込まれている等、当初目標をほぼ達成しつつあり、漁船の安全運行、時間・経費の節約に貢献している。
エビの禁漁期である1月~2月にはドックはフル稼働状態であり、禁漁期以外でも船底の牡蠣落とし等の予約がなされており、需要は今後も伸びていくと予想される。
一方、船殻工事や漁労機械・機具類の修理等、高度な技術を要する修理については、技術的に行えない状態にある。
4.今後必要とされるフォローアップないしアフターケア
ドックの機能強化のため、派遣専門家による修理・管理技術の指導、ドック作業員の日本研修が必要である。
また、沈下により波打っているドックの表面の再舗装も必要である。
(平成9年4月から2年間、ドックの運営管理やドック作業員の技術向上のための専門家 を派遣した。また、沈下の状況は「モ」側実施機関の協力を得て定期的に把握しており、 現在、舗装面の補修を計画中である。)
5.将来他のプロジェクトを実施する場合に教訓として活かされるべき事項
当初計画の中に専門家による技術指導が提案されている場合は、要請主義とはいえ、専門家の派遣について日本側からも積極的に関与すべきである。
沈下の可能性が考えられる土木工事を行う際には、表面が十分に沈下した後に舗装するなどの方法を採るべきである。