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モザンビーク 漁獲物沿岸運搬船建造計画

(1997年3月 在ジンバブエ大使館)


<プロジェクト概要>

援助形態  無償資金協力
協力年度  1989年度
協力金額  7.48億円
相手国実施機関  農業漁業省水産庁、モザンビーク海運公社(EMONAVE)
協力の内容 漁獲物・漁獲用資機材を「モ」国内の6つの主要港に運搬するための運搬船を供与


<評価要旨>

1.案件の維持・管理状況

 EMONAVEは、政府基金により船長・機関長など日本人船員4名、管理・運営指導のためポルトガル人を雇用するなどして経営強化に努めたものの、操業以来、継続した赤字状態であり、運搬船は、義務付けられている定期点検が行われなかったため、1996年8月、海運局より運航停止命令が出され、現在、港に停泊したままの状態である。

(その後、1997年7月にドック修理、11月に船舶検査に合格し航行証明書を取得、12月より運搬船業務を再開している。)

2.案件の選定・形成の適正度

 計画当時、内戦により国内道路網が破壊されていたため、運搬船による輸送需要は高く、また、疲弊した「モ」国民に食糧等の物資を運び漁業を活性化するとの目的も妥当であった。運搬船の運航は、「モ」政府からも高く評価されている。

 しかし、計画の管理・運営面では、内戦中という当時の「モ」の国情を考慮すると、運搬船の管理・運営を行えるだけの余力や能力を「モ」政府が持ち得たかどうかとの日本側の判断に疑問が残る。

3.当初目的の達成度及び効果

 運搬船供与後、1993年までは年間運航可能航海数(13回)を越える定期回航を行っていたが、1994年以降は年7、8回に減少し、集荷量も、旧ソ連からの食糧援助の停止、内戦終了による陸上輸送の増加、民間の運搬会社の設立等により、1992年をピークに減少しており、目標が達成されたとは言い難い。

 しかし、物資が定期的に運搬されることで、沿岸地域だけでなくその周辺地域の住民の生活水準の向上、情報交換、それに伴う経済活動の活性化等、地域社会への貢献は高いものがある。

4.今後必要とされるフォローアップないしアフターケア

 運営改善のため、見返り資金による赤字補填を「モ」政府に提案しつつ、5年間程度のモニタリングを行い、運搬船の効率的運用を検討することも一案である。

 また、運搬船のプロペラシャフトに水漏れが生じているが、「モ」政府では修理費用の捻出は不可能であることから日本側がフォローアップする必要がある。

5.将来他のプロジェクトを実施する場合に教訓として活かされるべき事項

 公共性が高く必要度も高いが被援助国政府の運営管理能力を超えるような機材を、その重要性に鑑みて供与した場合は、機材供与後のフォローを十分に行う必要がある。

 また、供与当時は緊急度や必要性が高かったものの、時代の推移とともに必要性が低くなった計画を、その後どのように取り扱い、活かしていくのか、援助を考える上で大きな課題となる。

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