(1997年3月 在エチオピア大使館)
援助形態 | 無償資金協力 |
協力年度 | 1992年12月3日 |
協力金額 | 12.00億円 |
相手国実施機関 | 水井戸掘削公社 |
協力の内容 | 地下水開発推進のため、井戸掘削用機材(井戸掘削機2台、資機材運搬車輌11台等)を供与 |
<評価要旨>
1.案件の維持・管理状況
2台の掘削機にはそれぞれ5名の専属技術者が充当されていること、機材を地方で使用中に問題が発生しても本部事務所より援助班(技術者10名程度)が即座に派遣されるシステムが確立していること等、維持管理体制も良好であり、供与された資機材は現在も全て稼働している。
2.案件の選定・形成の適正度
「エ」は、降水が雨期(3~4ヶ月間)に集中すること、地表水を確保するためのインフラの極端な欠如等、水資源確保に困窮している。しかし、「エ」では人口の85%が地方に在住しており、集約的な水供給システムを採用することが極めて困難な状況であるため、安定的な水供給を実現するには地下水利用が最も効果的であり、本プロジェクトの選定・形成は適正であった。
3.当初目的の達成度及び効果
「エ」が当初目標としていた1993~97年の5年間で270ヶ所の井戸を建設するという計画は、1年を残して238ヶ所を建設しており、計画達成は間近な状況である。
また、本件協力により掘削された井戸は30万人以上に裨益すると推定され、極めて高い効果が期待できる。
4.WID(途上国の女性支援)への配慮
女性の水汲み労働の軽減・解放に大きく貢献し、一部の地域では水汲みから解放された女性集団が手工芸等の副職を得るに至っているケースも見られる。
5.今後必要とされるフォローアップないしアフターケア
輸入に頼らざるを得ない部品等については、フォローアップで重点的に支援していくことが必要である。
6.将来他のプロジェクトを実施する場合に教訓として活かされるべき事項
「エ」の様な最貧国にあっては、簡単な部品でも輸入に頼らざるを得ないのが現状であり、スペア・パーツ供与の比率について、中進国と後発開発途上国で一律の考え方を適用するのではなく、特に最貧国に対しては特別措置等を講じていくことが肝要である。
また、本件が成功した要因として、専門家及び協力隊員による機材管理や部品の在庫管理に係る技術指導が挙げられる。後発開発途上国に対しては、側面的な技術協力がプロジェクトの成功に大きく貢献する。