(1997年2月、在スリランカ大使館)
援助形態 | 有償資金協力(円借款) |
協力年度 |
(1)1981年度 (2)1987年度 |
協力金額 |
(1)77億円 (2)29.5億円 |
相手国実施期間 | かんがい・電力・エネルギー省マハヴェリ開発庁 |
協力の内容 | 18,500ヘクタールの農地開発により、18,500戸の農家と6,500戸の非農家を入植させ、農業生産の定着・増大を図る。本事業は、世銀、クウェートファンドとの協調融資案件である。 |
〈評価要旨〉
1 プロジェクトの維持・管理状況
水路沿い雑草除去も含め、おおむね施設は良好に維持管理されている。一部モデルファームを選定し、D水路、圃場水路もコンクリートでライニングしている。同モデルファームの施設の破損はほとんどなく、良好にメインテナンスされている。
2 プロジェクトの選定・形成の適正度
単位当たり収量は4.7トン/ヘクタール(全国平均3.5トン/ヘクタール)が見込まれており、計画作物(稲)の選定とともに地区選定は適当である。また、日本のモデルファームの建設については、耐久性に富み、地域農民からモデルファーム並の整備要望が寄せられている。
3 当初目的の達成度及び効果
1995年の入植者数は非農家も含め11.7万人で、1990年に比べ1.3倍に増加している。農業生産は総額15ルピー(約30億円:1995年)で、極めて良好な生産効果が得られている。
4 WID(途上国の女性支援)への配慮
稲作では女性も男性とともに農作業に携わっている(特に稲刈りは女性が中心)ほか、道路利用による生活用水の確保が容易となっている。
5 将来他のプロジェクトを実施する場合に教訓として活かされるべき事項
モデルファームは、完成後に農民組織化や施設管理委譲への多大な効果発現が見られ、他地域も整備を要望するに至った。広大な農地の整備にあたっては、まず様々な整備水準を設定し、長期的にモニタリングしていくことが被援助国側の営農形態に即した支援につながると考察する。
(スリランカ政府は、参加型農業管理の理念に基づき、本地区の末端灌漑施設を徐々に農民組織に移管し、作物多様化、マーケティングの改善、農業融資などにより、農民組織の自立を促進している。これを支援するため、(1)水管理、農業支援活動など農民組織の強化、(2)農業経営訓練の実施、(3)灌漑・水路施設の改修を目的として、1997年第30次円借款(6月13日、E/N締結、8月18日L/A締結)を供与した。)