(1997年3月 在マレーシア大使館)
援助形態 | プロジェクト方式技術協力 |
協力年度 | 1989年7月~1994年7月 |
相手国実施機関 | マレーシア原子力庁 |
協力の内容 | マレーシアにおける放射線利用研究を促進するため、我が国のプロジェクト方式技術協力により、マレーシア原子力庁に対し、電子加速器を用いた放射線利用に関する技術移転を行う。 |
〈評価要旨〉
1. 案件の維持・管理状況
現在、電子加速器を用いた放射線の利用は、(1) 天然ゴムに対する放射線殺菌、(2) 重合体結合に対する放射線利用、(3) 表面塗装の硬化、(4) 農業廃棄物に対する放射線利用、の4グループを中心として、研究員、技術要員ほか38名の体制で行われている。供与した電子加速器については、現在でも順調に稼働しており、独自で運転・保守作業ができるようになっている。
2. 案件の選定・形成の適正度
「放射線利用技術」は、マレーシアの工業化のための研究・開発分野の中で、応用可能な汎用性がある研究であり、マレーシア政府も重点項目に位置付けているものである。このことから、我が国の技術協力は、援助受け入れ国の政策に合致したものであると言える。また、案件形成の段階で、技術移転の成果が上がりやすいよう、研究テーマを絞って具体的にしており、選ばれたテーマも内容がよく練られている。
3. 当初目的の達成度及び効果
技術協力の具体的な成果として、電子線による医療用具の殺菌、電子線による表面塗装の硬化については、基礎的な知識・技術をマレーシア側が十分習得しており、今後、産業界へ普及させることも可能と思われる。さらに、我が国の技術協力の結果、放射線技術を応用する試みが、すでに他の大学や研究所でも進んできいる。