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ベトナム チョーライ病院改善計画

(1997年3月、在ベトナム大使館)


<プロジェクト概要>

援助形態  無償資金協力、プロジェクト方式技術協力
協力年度  (無償資金協力)1992年、1993年、1994年
協力金額  (無償のみ)
    8.40億円、8.03億円、8.77億円
協力期間 (プロジェクト方式技術協力)1995年4月1日~1998年3月31日
相手国実施機関  保健省、チョーライ病院
協力の内容 チョーライ病院の病院管理、脳外科疾患、消化器疾患、循環器疾患、透析技術及びICU(集中治療室)の機能強化や、セミナー等を通じ、周辺の医療体制全体の強化を図る。チーフアドヴァイザー、調整員、機械保守管理及び看護婦を長期に、病院管理・内視鏡・透析・脳外科専門家等を短期に派遣し、病院管理、看護婦、消化器、循環器専門家を研修員として受け入れる。さらに病院管理用コンピューター、医療器具等を供与する。


1 案件の維持・管理状況

 本プロジェクトは開始以来2年を経たところであるが、チーフアドヴァイザーたる医師及び調整員等は、病院側と一体となって良くプロジェクトを管理している。無償資金協力による機材供与、セミナーの実施等を組み合わせて、プロジェクトは総じて効果的に維持されている模様である。

2 案件の選定・形成の適性度

 チョーライ病院は規模・質ともに南越最大で、歴史的にもベトナム戦争末期に日本の資金により全面改築し、1992年に援助再開第一号の案件として施設修復を行った。日本の医療協力ひいては対越経済協力の象徴的な存在である。同病院が南越の拠点病院であることから(地域の病院の参加を得た)セミナー等の開催を通じ、同病院の機能強化は越全体の医療水準の向上に直結した効果を持っている。このような観点から、施設ものの供与に続いて、病院管理のソフト面における拠点病院の立ち上げへの支援は極めて効果的であったと評価できる。

3 当初目的の達成度及び目的

(イ) 病床数1,050台に対し1,152人の入院患者を抱え、外来は1日平均500人を越える。30科を擁する総合病院で、年間2,500人の医学生、200人の医師の臨床研修を受け入れる教育機関としての機能も保持。多機能を持つだけに病院管理の重要性は大きく、この面での協力の効果は大いに期待される。

(ロ) 志気は高く衛生面でもまずまずといった印象。ぎりぎりの設備でなんとか切り盛りをしているとの感は否めない。今次協力の対象となっているICUでは人工呼吸器、モニター等、当方より供与された機材が活用されていた。停電になると医長がベッドに駆けつけ、自ら看護婦達に混じって手動の呼吸器を患者に手当するという場面にも遭遇した。また当方より供与されたCTスキャンは1日30人という日本の水準に比べれば驚異的な回転率で使用されている。

(ハ) 総じて病院側は受け身でなく一人立ちしていこうという自助努力の姿勢が伺える。例えば、半年前の火事で焼け落ちていたエレベーターホールの屋上は既に修理され、CTスキャンの機械は一人100ドル診察料が7割方回収できている由。更に透析の短期専門家の来訪を利用して、周辺地域の医師が手弁当で参加する透析についてのセミナーを病院自ら企画した例もある由。

4 環境への影響/WID(途上国の女性支援)への配慮

 特になし。

5 今後必要とされるフォローアップないしアフターケア

 病院側は、現在、病院管理及び臨床分野での協力のためプロジェクトの延長を要請。南越全体の医師の研修カリキュラムの完成や、病院内の情報ネットワークの確立、看護婦管理を含む病院管理のための周辺病院を巻き込んでの研修や会合、ICUの拡充等を内容とする1年間の延長は妥当。

6 将来他のプロジェクトを実施する場合に教訓として活かされるべき事項

 病院側の内情を掌握し、きめ細かい対応を組織できる専門家の派遣がプロジェクトの成功の鍵であろう。

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