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7.2 人口間接分野の分析

 本項では、GIIで打ち出された「包括的アプローチ」という新しいコンセプトに基づき設けられた「人口間接分野」において、GII期間中(1994~2000年度)、どのような協力が行われたかについて概観する。

7.2.1 サブ目標別案件分析

 本項では、2章と同様にGIIに関する協力重点国と指定された16ヶ国を5地域に分類し、人口間接分野の協力の分析を行った。分析の対象となる協力は、1994年から1999年の6年間1に日本が実施した人口間接分野の協力のうち、7スキーム(有償資金協力、無償資金協力、プロジェクト方式技術協力、機材供与、第三国研修、第二国研修、開発調査)である。
 図7.1に、人口間接のサブ・プログラム分野(基礎医療、初等教育、女性のエンパワーメント)別に協力案件数の推移を示す。GII実施期間中、いずれの年も、基礎医療の分野が8割近くの件数を占め、しかも1998年度を除き年々増加傾向にある。初等教育、女性のエンパワーメントについては件数の大きな経年変化は見られないが、98、99年と、初等教育分野の案件数が若干増加している。

図7.2 人口間接分野サブ分野別案件数推移(FY94-99)
図7.2 人口間接分野サブ分野別案件数推移(FY94-99)
出所:JICA人口・エイズ分野実績、国際協力事業団年報 2000年度版、我が国の政府開発援助 下巻 2000年度版

図7.3 地域別 人口間接サブ分野別案件数
図7.3 地域別 人口間接サブ分野別案件数
出所:JICA人口・エイズ分野実績、国際協力事業団年報 2000年度版、我が国の政府開発援助 下巻 2000年度版

 図7.2に、人口間接サブ・プログラム分野別案件数を地域別に示す。中南米(メキシコ)を除くいずれの地域も、初等教育、女性のエンパワーメントに比べ、基礎保健医療分野の協力が人口間接協力の7割以上を占める。東南アジア、南アジア、アフリカ地域のうち、初等教育分野への協力が女性のエンパワーメント分野より多いのは南アジア地域となっている。

図7.4 東南アジア5ヶ国
人口間接サブ分野別案件数
図7.4 東南アジア5ヶ国人口間接サブ分野別案件数
出所:JICA人口・エイズ分野実績、国際協力事業団年報 2000年度版、我が国の政府開発援助 下巻 2000年度版

図7.5 南アジア3ヶ国
人口間接サブ分野別案件数
図7.5 南アジア3ヶ国人口間接サブ分野別案件数
出所:JICA人口・エイズ分野実績、国際協力事業団年報 2000年度版、我が国の政府開発援助 下巻 2000年度版

図7.6 アフリカ6ヶ国
人口間接サブ分野別案件数
図7.6 アフリカ6ヶ国人口間接サブ分野別案件数
出所:JICA人口・エイズ分野実績、国際協力事業団年報 2000年度版、我が国の政府開発援助 下巻 2000年度版

図7.7 メキシコ、エジプト
人口間接サブ分野別案件数
図7.7 メキシコ、エジプト人口間接サブ分野別案件数
出所:JICA人口・エイズ分野実績、国際協力事業団年報 2000年度版、我が国の政府開発援助 下巻 2000年度版

7.2.2 人口直接と人口間接の比較

 図7.7に、1994年から1999年までの人口直接、間接分野の累積案件数を示す。人口直接、間接分野の協力案件数の比率は約1対4で、人口間接分野の協力件数が多い。さらに、同じ期間、人口直接、間接分野の協力の累積実績額(図7.8)を比較すると、人口直接、間接の比率は1対9となり、人口間接分野への協力実績額が圧倒的に多いことがわかる。

図7.8 人口直接と人口間接の累積案件数比率
(FY94-99) 総案件数513件
図7.8 人口直接と人口間接の累積案件数比率 (FY94-99) 総案件数513件
出所:JICA人口・エイズ分野実績、国際協力事業団年報 2000年度版、我が国の政府開発援助 下巻 2000年度版

図7.9 人口直接と人口間接の累積実績額比率
 総実績額1,892億24.95万円 (FY94-99)
図7.9 人口直接と人口間接の累積実績額比率
出所:JICA人口・エイズ分野実績、国際協力事業団年報 2000年度版、我が国の政府開発援助 下巻 2000年度版

図7.10 人口直接と人口間接案件数の推移
図7.10 人口直接と人口間接案件数の推移
出所:JICA人口・エイズ分野実績、国際協力事業団年報 2000年度版、我が国の政府開発援助 下巻 2000年度版

 図7.9に、1994年から1999年の人口直接、間接分野の協力案件数の推移を示す。人口直接、間接分野両方とも案件数は増加傾向にある。特に、人口直接分野は、GII開始当初の案件数が10案件であったが、99年には28案件と、約3倍増加している。
 図7.10、7.11は、人口直接、間接分野の案件数をスキーム別に示している。人口直接分野は、技術協力と機材供与による協力が、それぞれ全体の4割ずつを占めており、次いで第三国研修と無償資金協力が多い。一方、人口間接分野は、無償資金協力と機材供与による協力が多く、次いで技術協力、第三国研修の順となっている。

図7.11 人口直接 スキーム別案件構成(件)
図7.11 人口直接 スキーム別案件構成(件)
出所:JICA人口・エイズ分野実績、国際協力事業団年報 2000年度版、我が国の政府開発援助 下巻 2000年度版

図7.12 人口間接 スキーム別案件構成(件)
図7.12 人口間接 スキーム別案件構成(件)
出所:JICA人口・エイズ分野実績、国際協力事業団年報 2000年度版、我が国の政府開発援助 下巻 2000年度版

 続いて図7.12に、人口間接分野のサブ分野の一つである初等教育のスキーム別協力案件数を示す。初等教育分野の協力は、無償資金協力と青年招聘が多く、二つのスキームで全体の85%以上を占めている。教育分野の無償資金協力の内容は、主に学校建設及び修復と教育資材の供与であるが、他分野に比較して1件あたりの平均金額が大きい。また、青年招聘は「交流を通じた人造り」を目的に、開発途上国の将来の国造りを担う青年を日本に招聘し、研修・交流を実施している。
図7.13には、青年招聘を除いた初等教育のスキーム別協力案件数を示す。これによると初等教育分野の協力は、無償資金協力が80%となる。

図7.13 初等教育分野スキーム別(青年招聘含む)
図7.13 初等教育分野スキーム別(青年招聘含む)
出所:JICA人口・エイズ分野実績、国際協力事業団年報 2000年度版、我が国の政府開発援助 下巻 2000年度版

図7.14 初等教育分野スキーム別(青年招聘除く)
図7.14 初等教育分野スキーム別(青年招聘除く)
出所:JICA人口・エイズ分野実績、国際協力事業団年報 2000年度版、我が国の政府開発援助 下巻 2000年度版



1 GIIの実施期間は1994年から2000年までの7年間だが、2000年度のデータについては公表されていないため、今回の分析の対象は1999年までとした。




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