第5章 他ドナーとの連携
GIIでは、「包括的アプローチ」、「NGOとの連携」と並び、その基本ラインの一つとして「他ドナーとの連携」が強調された。本章では、GIIの実施に際し、人口・エイズ分野での、我が国と他ドナーとの連携について概観し、その傾向について考察する。尚、他ドナーとの連携では、GII期間中、特に日米間のパートナーシップが重視され、GII分野において、日米合同プロジェクト形成調査団の派遣等、さまざまな形態の日米連携が促進されたが、これについては、第4章で詳述する。
5.1 二国間ドナーとの連携
5.1.1 連携案件の実績
表5.1にJICAとUSAIDとの主な連携案件を、表5.2に米国以外の二国間ドナーとの主な連携案件をまとめた1。GIIが対象とする3分野(人口直接、人口間接、エイズ)のうち、二国間ドナーとの連携案件が多いのは人口間接分野(基礎的保健医療、初等教育、女性の職業訓練・女子教育)であった。一方、人口直接分野の連携案件は、ほとんどみられない。
二国間ドナーとの連携の形態は、オーストラリア、フランスとの連携の場合、我が国の無償資金協力と連携相手国の技術協力との組み合わせが多い。米国との連携では、我が国の無償資金協力と米国の技術協力との連携(ザンビア:マラリア対策)、同一分野へのパラレル方式での協調(グアテマラ:女子教育)、NGO活動への支援(ザンビア:HIVハイリスクグループ啓発)等、連携の形態が多様である。
表5.1 JICAとUSAIDとの主な連携案件
対 象 国 |
案件名 |
実施年 |
米国との協力分担 |
我が国の協力分担 |
分 野 |
グ ァ テ マ ラ |
女子教育の分野、パラレル方式で協調を実施 |
|
「女子教育」計画のもと現地NGOを活用した啓発・普及活動等 |
・専門家派遣
・海外青年協力隊派遣
・無償資金協力:校舎建設
・研修員受入:教育行政官の訓練(国別特設「地方行政セミナー」)
・草の根無償資金協力:セミナーの開催(UNDP「WID基金」と共に活用) |
人 口 間 接 |
ザ ン ビ ア |
「マラリア総合対策計画」(日本) 「総合マラリアコントロール活動」(米国) |
1998年
1997~98年 |
実施担当NGOに対する資金・技術援助 |
・子どもの健康無償資金協力
・海外青年協力隊派遣:実施NGOへの派遣 |
人 口 間 接 |
「HIVハイリスク・グループ啓発活動」(日本) |
2000~03年 |
2つの米系NGO:ソサエティ・フォー・ファミリー・ヘルスおよびファミリー・ヘルス・インターナショナルとの連携によるプロジェクト全体評価および避妊具の普及支援活動の実施 |
・開発福祉支援事業により、ワールドビジョン・ザンビアに資金協力を行う。モニタリング・評価のため日本人専門家派遣。 |
エ イ ズ |
フ ィ リ ピ ン |
「エイズ対策プロジェクト」(日本) 「エイズ・サーベイランス及び教育プロジェクト(AIDS Surveillance and Education Project: ASEP)」(米国) |
1996~2001年
1993~97年 |
・エイズ感染状況の把握運営経費、人件費、消耗品等の経費負担
・エイズ対策実施の支援
・感染予防教育 |
プロジェクト方式技術協力 単独機材供与(エイズ対策・血液検査特別機材) |
エ イ ズ |
ケ ニ ア |
「コースト州総合病院改善計画」(日本) |
1998年 |
会計システムの改善を主とした運営改善 |
無償資金協力:施設の建築・改修 |
人 口 間 接 |
|
出所:「JICAとUSAIDとの連携」(平成13年9月改訂、JICA企画・評価部援助協調室)、「国際協力事業団年報2001」(国際協力事業団)、「ザンビアにおけるJICA事業関連資料」(2001年10月3日、JICA・企画部援助協調室)、「我が国の政府開発援助1995年」(外務省経済協力局) |
表5.2 JICAと他ドナーとの主な連携案件
援助国 援助機関名 |
被 援 助 国 |
案件名 |
実施年 |
他ドナーの協力分担 |
日本の協力分担 |
分 野 |
オーストラリア国際開発庁 (AusAID) |
パ プ ア ニ ュ ー ギ ニ ア |
母子保健サービス強化計画(日本) Woman and Child Health Care Project(豪) |
2000年 |
|
子どもの健康福祉無償資金協力:コールド・チェーン供与(AusAIDが実施するプロジェクトの予防接種のコンポーネントへの支援) |
人 口 間 接 |
全国一斉ワクチン接種(NID)に対する支援 |
1997年~毎年 |
予防接種実施の全体ロジスティックス |
感染症対策特別機材供与:ワクチン、注射器、セーフティーボックス等予防接種関連機材供与 |
人 口 間 接 |
フ ィ ジ ー |
フィジー・日豪ヘルス・プロモーション・プロジェクト |
1996年1月~1998年12月 |
・プロジェクトリーダー派遣
・機材供与:車輌および印刷機材
・カウンターパートのフィジーでの研修受入れ
・ワークショップの開催 |
・専門家派遣:疫学調査、視聴覚教材製作、視聴覚機材維持管理
・研修員受入:視聴覚機材維持管理
・機材および車輌供与:視聴覚機材および巡回検診車輌 |
人 口 間 接 |
カナダ国際開発庁 (CIDA) |
イ ン ド ネ シ ア |
女性支援プロジェクト フェーズII(カナダ) |
1995~2001年 (日本側専門家派遣は1996年から) |
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CIDAプロジェクトへの専門家派遣:WIDおよびジェンダー |
人 口 間 接 |
フランス協力省 (1999年より外務省国際開発協力総局の管轄下) |
ウ ガ ン ダ |
エイズ情報センター |
1995年 |
・専門家派遣:センター運営管理、指導、エイズ教育教材作成指導
・研修員受入:教材育成の人材育成 |
医療特別機材供与:スキャナー、コンピュータ等 |
エ イ ズ |
マ ダ ガ ス カ ル |
トリアリ地方病院センター医療機材整備計画 |
1995年 |
技術協力:医師等派遣 |
無償資金協力:X線装置、内視鏡等 |
人 口 間 接 |
コ モ ロ |
エル・マルーフ病院医療機材整備計画 |
1996年 |
技術協力:医師、病院運営専門家等派遣 |
無償資金協力 |
人 口 間 接 |
セ ネ ガ ル |
国立輸血センター血液検査機材供与計画 |
1997年 |
技術協力:医師等派遣 |
草の根無償資金協力 |
人 口 間 接 |
中 央 ア フ リ カ |
医療機材整備計画 |
1999年 |
・技術協力:医師等派遣
・資金援助:病院運営費の一部 |
無償資金協力 |
人 口 間 接 |
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出所:「オーストラリアの援助動向及びJICAとの連携」(平成13年3月、JICA企画・評価部援助協調室)、「Japan - Canada Cooperation in ODA」、(June 12, 2000)、「JICAと仏国との連携」(平成11年12月8日、JICA企画部連携協力推進室) |
5.1.2 人事交流
上述の連携案件の他に、定期、不定期の人事交流を通して、他の二国間ドナーとの連携強化に努めている(表5.3)。特に、USAID、KOICA(Korea International Cooperation Agency、韓国国際協力団)、フランス協力省とは、GII関連分野を含む保健分野の人事交流が行われた。USAIDとの人事交流では、1997年、1999年の二度にわたり、JICA日本人職員をUSAIDのグローバル局人口・保健・栄養センター (G/PHN)に2年間派遣し、2000年よりJICAもG/PHNより2年間、USAID職員を受け入れている。KOICAとの交流においては、1995年、JICA医療協力部が、KOICA職員を研修生として受け入れた。フランスとの保健分野での人事交流では、1998年、国立国際医療センターの医療専門家をフランス協力省へ短期派遣した。また、同年、フランス協力省保健社会開発部部員が訪日し、外務省、JICA、厚生省にて研修を実施した。
表5.3 JICAと他ドナーとの人事交流
機関名 |
年 |
派遣人数 |
受入人数 |
アメリカ国際開発庁 (USAID) |
1994.09 - 1994.11 |
1名 |
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1997.10 - 1999.12 |
1名 |
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1999.08 - 1999.09 |
1名 |
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1999.12 -派遣中 |
1名 |
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1995.10 - 1995.12 |
|
1名 |
1998.03 - 1998.08 |
|
1名 |
2000.09 - 2000.10 |
|
1名 |
2000.10 - 受入中 |
|
1名 |
オーストラリア国際開発庁 (AusAID) |
1999.09 - 1 週間 |
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1名 |
2000.10 - 2000.12 |
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1名 |
ドイツ技術協力公社(GTZ) |
1997.09 - 1998.09 |
1名 |
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カナダ国際開発庁 (CIDA) |
1992 - 1996 |
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1名 |
1996 - 1999 |
|
1名 |
2000.01 - 受入中 |
|
1名 |
1992 - 1995 |
1名 |
|
1995 - 1998 |
1名 |
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1998 - 2000 |
1名 |
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韓国国際協力団 (KOICA) |
1992 -3ヶ月 |
|
1名 |
1993 -6ヶ月 |
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1名 |
1995 - 2ヶ月 |
|
1名 |
1995 -1ヶ月 |
|
1名 |
1995- 2ヶ月 |
|
1名 |
1995- 1ヶ月 |
|
1名 |
1997- 2ヶ月 |
|
1名 |
1999 -5ヶ月 |
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1名 |
フランス協力省 |
1997.09 - 20日間 |
1名 |
|
1998.02 - 23日間 |
1名 |
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1998.06 - 16日間 |
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1名 |
1999.11 -4日間 |
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1名 |
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注:囲み太字で表されている人数は、保健/社会開発分野の人材交流を示している。
出所:「JICAとUSAIDとの 連携」(平成13年9月改訂、JICA企画・評価部援助協調室)、「オーストラリアの援助動向及びJICAとの連携」(リバイス平成13年3月、JICA企画・評価部援助協調室)、「JICAとドイツ技術協力公社(GTZ)との 連携」(リバイス平成12年3月、JICA企画・評価部援助協調室)、「Japan - Canada Cooperation in ODA」(June 12, 2000)、「JICAと韓国国際協力団(KOICA)との連携について」(リバイス2001.2、JICA企画・評価部援助協調室)、「JICAと仏国との連携」(平成11年12月8日JICA企画部連携協力推進室) |
1 他ドナーの重点協力国が我が国のGII重点国と必ずしも合致せず、他ドナーと我が国との連携案件はGII重点国以外の国々でも行われているため、本章での分析の対象は、GII重点16ヶ国以外の国々における連携案件も含むものとする。