4.5 世界の中での日本と米国の関係
4.5.1 リーダーシップ
世界でも最大のドナーとして、日米がパートナーを組むことは、ODAの推進効果や効率性ばかりでなく、リーダーシップの点でも大きな意味がある。しかしながら、両国の代表やドナー関係者の一部からは、二国間関係というのはグローバルレベルの新たな動きの中で適切なものかどうかという懸念が表明されている。また、他ドナーや対象国政府からは、二国間援助には依然として重要な役割があるというコメントがあった。日米両国は自身のODA計画や戦略が、各対象国政府の共通目標や戦略に一致するよう策定されていることを確保しなければならない。両国はまた、ODAにおける合同の、あるいは個々の現地経験を活かし、保健分野の様々な国際的フォーラムへの参加、貢献を通じて集積された知識を維持活用すべきである。これらの会合としては、ワクチン、マラリア、エイズ、結核、栄養、人口、リプロダクティブ・ヘルスなどへの対策を講じる国連主催や他の国際会合などがあると考えられる。
提言:今後はどのような形であれ、2002年現在の日米パートナーシップは、対象国政府の保健医療の国家計画に十分参画し、貢献することを約束した上で、進展し続けるべきである。さらに日米は、保健分野の様々な国際会合でリーダーシップを発揮すべきである。
4.5.2 SWAPとバスケット・ファンド
対象国政府への開発援助は、保健分野ではSWAPやバスケット・ファンドに変わりつつある。これは、バングラデシュ・ザンビア両対象国への援助も同様である。日米両国は対象国の努力に非常に協力的であり、そのプログラムが確実にSWAPと整合性があり、補完的となるよう取り組んでいる。ザンビアでは、USAIDは保健分野のみセクター・プログラム・アグリーメント(1994-2004)を通じてバスケット・ファンドの一つに参加しており、日本は基礎教育サブセクター投資プログラム(Basic Education Sub-Sector Investment Programme: BESSIP)に参加している。USAIDは、今日までに200万ドルを供与しており、今年度更に200万ドルを供与する予定である。資金供与は、対象国政府の成果指標の達成度合に応じて行なわれる。
日米両国には、保健省や他ドナーから、バスケットへの更なる貢献を強く求められている。(現地での資金供与の50-70%をバスケットに割り当てるドナーもいる。)しかしがなら、日米両政府にとってノン・プロジェクト援助は望ましくなく、両ドナーが共同でノン・バスケット援助を支持している状況がなくならない限り、ノン・プロジェクト援助は連携の中心部とはならないであろう。
しかしながら、保健分野の最大のドナーである日米が、バスケット・ファンドに完全に参加できないことは、他ドナー・グループとの妙な距離を生んでいる。一方で、バングラデシュ・ザンビア両政府は米国と日本の保健分野への貢献を称賛しており、バスケット・ファンドに対して両ドナーは政策的な制約をもっているという点にも理解を示している。それにもかかわらず、日米両国はセクター・ワイト・アプローチ会合の参加者として招待され、両対象国政府は、日米の関与により連携がうまくいき、重複が回避されるものと認識している。日本は、このような会合で、米国同様、自国の計画や戦略を共有するよう対象国政府から促されているが、これはSWAPの下で、日本の計画が対象国の国家計画に組み込まれるようにするためである。
提言:各ドナーのバスケット・ファンドへの参加の有無に関わらず、全てのドナーの計画が保健分野における国家計画に確実に反映されるよう、日米はSWAP協議で積極的な役割を果たしていくべきである。これは、将来、日米連携に関する正式合意が生まれるか否かに関わらず、提言されるものである。
4.5.3 民間セクターとの協調およびその関与
民間セクターの利害関係者による日米コモン・アジェンダの円卓会議が、1996年2月に始まった。これは、日本のグループが定期的に会合を開き、民間セクターに影響を及ぼすものとして、グローバル・イシューについて調査を行い、ODAや日米コモン・アジェンダに関し、日米両政府に助言を与えていた。同様に、日米コモン・アジェンダ政府・民間パートナーシップ(P-3)もまた定期的に会合を開き、日米コモン・アジェンダを支援するため、日本のNGOが日米コモン・アジェンダ・イニシアティブに携っていた。日本では、主に国内志向の市民社会組織(civil society organization)と国際志向のGII/NGOグループが、日米コモン・アジェンダ/GIIのイニシアティブの積極的な支援者であった。これらのローカル・レベルの支援活動は、日本国民のGII/日米コモン・アジェンダへの意識を高め、ODA、日米コモン・アジェンダやGIIの課題を形成するにあたって民間商業セクターや、NGOからの参加を促したとして推奨される。東京では、日本のODA活動にNGO団体の参加を促す動きがあり、これはローカル・レベルの支援活動の成果である。米国において同様の効果があるかどうかについては、疑問の余地がある。