4.2 日米連携の評価
4.2.1 背景
本評価の目的は、保健分野における日米連携、特に日米コモン・アジェンダ1およびGII下におけるUSAIDの連携への取組みに関し、その目標、成果、効果を検討することであった。また、こうした評価結果や提言により両国間の将来の連携努力が有意義なものとなることが期待される。
4.2.2 これまでの評価
日米コモン・アジェンダにおける活動は、両国間の本会議において、合意期間中、定期的に次官レベルでレビューが行われてきた。こうしたレビュー会合は、確かに政治的また外交的に重要な役割を果たし、日米コモン・アジェンダの実施が政治的にも重要であるという認識を生んだが、連携の詳細部分についてのレビューとしては表面的なものにとどまった。日米コモン・アジェンダで計画された様々なセクターの政策の見直し、各イニシアティブの成果やインパクトの綿密なレビューなども行われなかった。
両国の外交官は、日米コモン・アジェンダとGIIの政治的・外交的アジェンダを重要視しすぎたようであり、この結果、これらイニシアティブ合意の初期には開発アジェンダが軽視されていたようである。
1997年 9月には、外務省の委託により、ジョイセフを中心としたNGO関係者によって、「GIIに関する中間報告」(1994.4ー1997.3)がとりまとめられた2。この中間報告は、深い洞察を通じた結論と、更に翌年以降につながる建設的な提言を示し、総じて肯定的なものであった。
この中間報告では、以下のような日米連携に関わる提言もあり、それぞれの進捗状況の報告も行われた。
1) 各国レベルの定期的情報交換会の設定
2) 情報共有のための報告/人事交流
3) 各国レベルの調査の合同実施
4.2.3 手法と重点
日米コモン・アジェンダとGIIの合同評価調査は、2001年10月から2002年2月まで、外務省から委託を受けた日本のコンサルタントである財団法人国際開発センター、NGOであるジョイセフおよび財団法人オイスカ、USAIDの委託を受けた米国NPOであるマネジメント・サイエンス・フォー・ヘルス (MSH)で構成された調査団によって行われた。
日米連携の評価に関しては、2001年10月にバングラデシュ、2002年1月にザンビアで現地調査を行った。同2ヶ国においては、日米のODA受益団体(NGOを含む)、日米のドナー・コミュニティーの代表、他ドナー、現地プロジェクトに関わるスタッフおよびその受益者などを対象に、ヒアリングやサイト訪問により調査を行った。更に、日米の主要な情報提供者との間で、個人面談やインタビュー等が電話や電子メール等を通じて行われた。また、今回の調査では、USAID(本部やフィールド・ミッション)、日本の外務省、JICAや日本大使館からのオブザーバーも調査団に参加した。
本評価調査では、外務省、JICAワシントン支部やUSAID本部の代表者から、多大な協力を得た。 2001年8月には、それら関係者によって、日米コモン・アジェンダの下での過去の連携経験のレビューが行われた。特に同会議では、過去の教訓を見直し、将来改善されるべき分野や将来のパートナーシップにとっての重点分野について提言が行われ、本評価調査の実施を計画するうえでも有益なものであった。
1 これより、日米コモン・アジェンダに関して言及した場合、保健・人口セクターにおける日米の連携活動を意味するものである。
2 「GII中間報告(1997年9月)」は、「GIIに関するNGO懇談会」の主要メンバーであるジョイセフを中心とするNGO関係者によってとりまとめられた。