広報・資料 報告書・資料

1.4 調査実施上の課題

(1)GIIの実施と実績に関する資料

 GIIはその期間が7年間と比較的長期にわたること、また、総額が30億ドルと大規模なことから、GII実績を構成する案件数はかなりの数15に上っている。加えて、GIIはグローバルな取り組みであるため案件が実施された国の数も多く、重点対象国のみでも16か国ある。スキームの数は、主要なものだけでも以下の12種類に上る。
 1)技術協力、2)開発調査、3)援助効率促進事業、4)開発福祉支援事業、5)開発パートナー事業、6)無償資金協力、7)草の根無償資金協力、8)有償資金協力(円借款)、9)NGO事業補助金、10)委託調査、11)評価調査、12)国際機関への拠出 この他にJICAが実施している各種研修事業や専門家派遣事業等を含めるとスキームの数は20以上となる。
 このようにGIIは多くの意味で大規模な取組みであったため、GII開始時の以前から外務省、およびJICAによって継続的に作成されている年次資料の単体では、全データをカバーしきれていない。このため、本評価調査の文献調査においては、まず初めに、GII全体をできるだけ広くカバーする資料をコアの資料と位置づけ、これを複数活用することでGII全体を把握しようと試みた。

コアとして位置づけた資料16

  • 外務省経済協力局調査計画課、「我が国の感染症対策」(国別、地域別)、同じくGII重点国のフォローアップ状況に関する文書、外務省経済協力局の編纂、『我が国の政府開発援助の実施状況に関する年次報告』(書籍)、同じく『我が国の政府開発援助(ODA白書)』(書籍)
  • JICAによる「人口・エイズ分野実績1993~1999」(正式名称ではない)、同じく「財務諸表」(正式名称ではない)、同じく「JICAと他ドナーとの連携に関する資料」(正式名称ではない)
  • ジョイセフによる『GII(地球規模問題イニシアティブ)に関する中間報告書」(1994.4- 1997.3)(報告書)
 上記の資料に加え、国際協力総合研修所に保管されている案件ごとの各種報告書、JICA地域部に存在する現地調査対象国での実施中の案件に関する情報と日米連携に関する情報等も活用した。 しかしながら、最終的にはGIIとしてカウントされているかどうかクロス・チェックが不可能な案件も存在した。
 こういった案件は、分野別では人口間接分野の案件に多い。また、スキーム別では、特に実施決定を主に現地日本大使館が行っている草の根無償資金協力は、クロス・チェックできない案件の割合が高かった。これは、GII案件としての数を明確に示す資料が、本評価調査の現地調査の一部の実施国を除いては入手できなかったためである。
 本調査評価で実施したGIIの重点16か国について草の根無償資金協力案件をGIIとして分類する作業は、現地調査対象国の中でGIIと明確に分類する文書が入手できた国の案件以外は、草の根無償資金協力以外の案件の既存の分類に準拠した。しかしながら、既存の分類において人口間接分野には、「基礎的な保健医療」への協力として、心臓病や新生児集中治療室での臨床的介入への支援案件が含まれることもあり、「女性の職業訓練と女子教育分野」として村落給水支援案件(井戸を掘る、井戸を保護する、井戸設備を改善する等)までが含まれることもあった。このように人口間接分野に含まれる案件の種類がかなりあったため、草の根無償資金協力のどの範囲までGII案件としてカウントするのか判断が難しかった。

(2)現地調査の期間

 現地調査は4か国で実施されたが、1か国についての滞在期間は基本的に1週間(実働5日、もしくは6日間)であったため、訪問先の数と場所、および訪問に使える時間が限定された。このため、現地調査においては、情報収集は関係者からのヒアリングが中心となった。さらに、日本側コンサルタントはあらかじめ依頼してあった質問票の回収と回答に対する追加的質問を行った。
 なお、インドネシアのスラウエシ島のマッカサルで実施中のプロ技案件を訪問したが、現地ではアメリカのアフガニスタン空爆に反対するデモが活発化したため、JICAインドネシア事務所からの指示で半日間ホテル待機を余儀なくされた。

(3)調査主体間でのヒアリングおよび内容への配慮

 上述のように、本評価調査団には、日本側コンサルタントとNGO、アメリカ側コンサルタント(この他にオブザーバーとして外務省職員、USAID職員、JICA職員)という、調査の目的とスコープ(対象や範囲、領域、観点)が異なる複数の調査主体が参加した。現地調査において訪問先1機関もしくは1案件あたりの訪問時間が限られた中で、各調査主体に与えられた質問時間は短時間となってしまった。このため、相手の回答内容についてさらに深い質問をすることは難しかった。
 一方で、このような事態の改善のために、一部の調査団員は現地において日本大使館およびJICA事務所に依頼して、担当者のご厚意により勤務時間後に個別のヒアリング時間を設けて頂いた。結果的に、一部の国において日本側コンサルタントとNGO代表は個別のヒアリングを実施することが可能となった。



15 例えば、1件が500万円規模の草の根無償資金協力もGIIとしてカウントされていることもある。

16 発行年等の詳細については添付資料の参考文献リストを参照されたい。




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