第4章 評価方法
我が国のODA分野は、国際的な事業評価導入の動きに伴い、早くから行政・事業評価の先導的役割を果たしてきた分野である。評価内容とその手法についても、行政監察・会計監査的評価から、モニタリング、経済評価、プロジェクト評価まで、ODAの変遷と社会のニーズに伴って変わってきた経緯がある。昨今では、プログラム評価あるいは政策評価といった、事業サイクルのより上流分野での評価や、アウトカム主義あるいはオブジェクト主義的な社会へのインパクトを評価する方向へと変わってきている。この潮流は、2001年2月に発表された援助評価検討部会ODA評価研究会の報告書「我が国のODA評価体制の拡充に向けて」においても、政策レベルおよびプログラム・レベルの評価の早期導入・拡充の必要性が提言されるなど、より顕著な動きとなってきているといえる。
一方、評価方法、特に評価項目については、経済協力開発機構(OECD)の開発援助委員会(DAC)が1991 年に発表したDAC 評価方針の「DAC評価5項目 (Relevance, Effectiveness, Efficiency, Impact, Sustainability)」を受け、DAC メンバー国である日本においても、評価体制の充実を図ってきた。また、1996 年にはDAC 新開発戦略が採択され、成果重視のマネジメントの方向性が示された
さらに、2001年1月に、総務省が作成した「政策評価に関する標準的ガイドライン」の中では、一般的評価基準として、「必要性、効率性、有効性、公平性、優先性」の5つを挙げている。
これらの動きを受け、外務省では、「21 世紀に向けてのODA 改革懇談会」や「ODA評価研究会」にて、評価制度の改善に関する検討を重ねた。「ODA評価研究会」は、ODA評価制度の改善提案5項目の一つとして、「政策レベル評価導入およびプログラム・レベル評価の拡充」を指摘した。援助実施機関であるJICAにおいてもPCM手法による目標・成果の明確化とともに、DAC評価5項目を基本とする評価を行ってきており、フィリピンの人口・保健セクター協力プログラムにつき、プログラム評価を試行的に実施済である。
本調査では、我が国がISDの下で98年以来実施してきた「京都イニシアティブ」を中心とした温暖化対策ODAについて、地球温暖化対策の視点に重心をおいた政策レベルでの評価を実施し、今後の温暖化対策ODAのあり方を提言する。