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地球温暖化対策関連ODA評価
調査報告書



第2章 国際的な地球温暖化対策に関する途上国支援の現状と傾向

2-1 地球温暖化に関する途上国の現状

 地球温暖化に関する途上国の現状を、人口・GDP等の基礎データ、GHG排出量の現況と将来の排出可能性、削減ポテンシャル、温暖化対策プロジェクトの必要性等の視点から地理的に分析する。

 人口やGDPは、GHGの排出ポテンシャルを予測する際に、最も基礎となるデータである。以下は、(1)1999年時点の各国の人口、(2)2015年の人口予測値、(3)1999~2015年の予想人口変化率、(4)1999年人口密度、(5)1990~1999年GDP平均変化率、(6)1998~1999年GDP平均変化率、(7)1998~1999年人口当たりGDP変化率を国別に示したものである。主要なGHGである二酸化炭素(CO2)の排出については、(8)1997年CO2排出量、(9)1997年人口当たりCO2排出量 を示している。
 また、以下の(10)1980~1998年産業用エネルギー消費変化率と、(11)1998年エネルギー消費量当たりGDPは、寒冷地における暖房エネルギー消費、当該国の産業構造とその使用エネルギー等のさまざまな要素を勘案して読み解くべきデータではあるものの、CO2の排出/削減ポテンシャルを分析する上で、重要なエネルギー効率に関わるデータである。
 吸収減に関するデータとしては、各国の(12)国土に占める森林面積の割合(2000年)、(13)1990~2000年森林面積減少率を分析した。

 以上のデータから、被援助国の地球温暖化の観点から見た状況を分析すると、大まか傾向としては、1)排出ポテンシャルが高い地域としては、東・東南・南アジア(特に中国、インド、東南アジア)、中央アジア、東欧、南米;2)削減ポテンシャルが高い地域としては、ロシア、中央アジア、アフリカ;3)吸収減事業のポテンシャルの高い地域としては、アフリカおよび中央アジアの砂漠地帯、ブラジル、インドネシアとなっている。


人口、人口密度、人口予測は、東アジア、東南アジア、ロシア、アフリカ、南米諸国が際だって多い
2015年までの人口変化率の予測では、アフリカの増加が際だって高い
GDP年平均変化率は、直近10年では中国、インド、東南アジア諸国が著しく高い。近年は東南アジア諸国の成長が鈍くなっているが、中国、インドは依然高い成長率を示している。人口当たりでみると、ロシアや東欧の1人当たりGDP増加率が高い
CO2排出量は、米国、日本、中国、インド以外では南米、中央アジア、東欧等の排出量が多く、人口当たりの排出量はロシア、中央アジア、東欧が比較的高い
産業用エネルギー消費は、80年代以降アメリカ大陸、東アジア、東南アジア、インド、中東で大きく増加している
単位エネルギー消費量当たりのGDPは、ロシア、中央アジア、アフリカで低い値となっている
国土に占める森林面積の割合は、アフリカおよび中央アジアの砂漠地帯が少なく、国土に占める森林面積の多いブラジル、インドネシア、また、南米諸国、アフリカ諸国の森林面積は直近10年で著しく減少している


(1) 人口(1999年)
 国別人口は、東アジア、東南アジア、ロシア、アフリカ、南米諸国が際だって多い。現在の温暖化現象は人間活動によるものとされており、人口の多い国や地域は経済・産業活動も活発で、GHGの排出ポテンシャルは高い。((9)CO2排出量参照)

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 (出所)World Development Indicators 2001(世界銀行)より野村総合研究所作成 (以下同様)

(2) 人口予測(2015年)
 2015年予測値においても、国別人口は、東アジア、東南アジア、ロシア、アフリカ、南米諸国が際だって多い。今後人口が増加する発展途上国のGHG排出量は先進国のそれを大きく上回ることが予想されている。((3)予想人口変化率参照)

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(3) 予想人口変化率(1999~2015年)
 人口変化率の予測では、アフリカの増加が際だって高く、15年で2%程度の人口増加と予測されている。東南アジア諸国、中南米諸国も比較的高い。これらの国では、今後GHGの排出増加率も高くなることが予想される。

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(4) 人口密度(1999年)
 東アジア、東南アジア、中南米諸国の人口密度が高い。人口密度の高い国や地域では産業集積、物品需要の集中、交通の混乱等が予想され、急激なGHG排出増加の可能性がある。

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(5) GDP平均変化率(1990~1999年)
 直近10年のGDP年平均変化率は、中国、インド、東南アジア諸国が、特に著しく高い値を示している。中国は90年代で平均10%程度の増加、インドは6%程度の増加となっている。GHGは社会・産業活動の結果として排出されることから、これらの国々ではGDPの成長に伴ってGHG排出量も増加していると予想される。

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(6) GDP変化率(1998~1999年)
 近年の状況を見ると、東南アジア諸国は成長が鈍くなっているが、中国、インドは依然高い成長率を示している。アフリカではエジプト、スーダン、エティオピア、ウガンダ、モザンビーク等が90年代通して高い成長を続けている。

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(7) 人口当たりGDP変化率(1998~1999年)
 人口当たりで見ると、ロシアや東欧の1人当たりGDP増加率は高く、一人当たりのGHG排出の増加も高いことが予想される。

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(8) CO2排出量(1997年)
 1997年間でのCO2排出量が1国で10億トンを超えるのは米国、日本、中国、インドとなっている。これ以外では、南米、中央アジア、東欧等の排出量が多い。

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(9) 人口当たりCO2排出量(1997年)
 排出量の多い中国、インドは人口当たりで見ると少ないのに対して、ロシア、中央アジア、東欧は比較的高い値を示している。

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(10) 産業用エネルギー消費変化率(1980~1998年)
 産業用エネルギー消費は、80年代以降アメリカ大陸、東アジア、東南アジア、インド、中東で大きく増加している。エネルギー消費はGHGの排出に直結するものであり、これらの地域では排出量が80年代以降比較的大きく増加したと考えられる。

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(11) エネルギー消費量当たりGDP(1998年)
 単位エネルギー消費量当たりのGDPは、ロシア、中央アジア、アフリカにおいて低い値となっている。GDP産出に必要なエネルギー消費量の高い国(エネルギー消費当たりGDPの低い国)では、コスト面および技術面でも削減が比較的容易と考えられ、排出削減のポテンシャルが高いと考えられる。

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(12) 国土に占める森林面積の割合(2000年)
 気候、地理的原因によりアフリカ北部諸国、中央アジア諸国の森林面積が国土に占める割合が少ない。温暖化対策としての吸収プロジェクトに限らず、植林プロジェクトは樹種に適した土地で植林を行うのを前提として、これら森林面積の少ない地域での植林は生態、水土保持の面でも意味がある。

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(13) 森林面積減少率(1990~2000年、マイナスは面積増加)
 国土に占める森林面積の多いブラジル、インドネシア、また、南米諸国、アフリカ諸国の森林面積は直近10年で著しく減少している。森林面積減少率の高い国では、水土保持、生態保護案件による吸収対策が比較的容易に実施できると考えられる。

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