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第8章 今後の取組み方針



8.4 援助の実施体制やスキームついての提言

(1)スキーム適用の基本と連携協力

依然としてバングラデシュ国はLLDCであり、無償資金協力と技術協力を基本とすることが肝要である。有償資金協力については、債務負担能力、経済効果、援助の規模を配慮するに限らず、上述のとおり対象セクターの政策内容、制度、ガバナンス能力にも充分事前検討を加えたうえ、支援実施を決定することが望ましい。そして、資金協力による一層の支援効果を引出すために、資金協力と技術協力の連携を強化する。係る連携強化の対し、今後バングラデシュ国向けの技術協力が踏まえるべき方策として以下が考えられる。

セクターの政策内容や制度の改善を図り、資金協力による介入の妥当性と有用性を担保する環境を事前に創出する。

事業運営能力の向上や組織制度の改善を図り、資金協力の成果達成と、支援効果の持続的発現をもたらす支援を行う。この場合、技術協力はソフト・コンポーネントとして資金協力スコープに組込む形態で提供され、かつ成果指向型の支援(資金協力の投入と連動した具体成果を設定して)として実施されることが望ましい。

我が国の公共サービス供給・管理のノウハウが先例として活かされる分野で、紹介されるスキルと技術内容は明瞭で、かつ協議のうえバングラデシュ側の受入れ合意を得ることできるものであること。同時に協力要員の投入とリクルートは柔軟に行えるよう制度が整備されることが望ましい。


(2)我が国の援助実施体制の改善

成果指向型の資金/技術協力を実現するためにも、各援助の実施過程に一層の柔軟性を持たせる必要がある。例えば技術協力における実施過程の柔軟性は、協力要員の投入(時期と量)やスコープ、追加経費充当のための予算配分などの変更を行うさいに求められる。柔軟な対応を可能とするためにも、我が国援助実施機関の在外事務所への権限移譲の強化が望まれる。

迅速な支援の実施決定は、相手国の開発プログラムの円滑な実施に貢献するとの指摘がなされている。援助機関の実施決定が迅速な分、相手国の開発プログラムの予算措置に余分な調整コストや時間をかける必要がなく、効率的な開発計画の実行が可能となるという指摘がある。この点からも、出来る限り在外事務所への権限移譲の強化が望まれる。

より効率的な援助の実施には、他ドナー機関の例にもあるとおり約3年間程度を対象期間とする援助プログラムの策定が有効である。政策対話機会を通じ、我が国が取組むべき課題を検討・見直しを行い、これら課題に対応する援助取組み方策と実施プログラムや活動計画などの詳細を民間の機関も含め検討する。また、この中期援助プログラムは定期的に見直しするものとし、次に提案するような成果と進捗に係るモニタリング機能を備えさせ、援助資源(予算と人員)に関する配分計画もこの援助プログラムに盛り込むものとする。

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