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第8章 今後の取組み方針



8.3 援助計画実施上の留意点

(1)政策内容、制度、ガバナンスの改善強化

我が国が関与しているセクターに対しては、事前に必ずセクター政策内容の方向性とその妥当性を検討する。必要であれば、政策内容の改善と政策内容を実行支援するための関連法制度に係る検討と提言を行うことを目的とした、政策アドバイザーを派遣(チーム派遣も含め)する。

資金協力を実施するさいも、必要であれば、事業実施および運営能力や組織制度の改善強化(ガバナンスの向上)を促す目的で、連携協力専門家派遣による、個別援助ベースの支援効果を一層引出す努力を行い、とりわけ持続的な効果の発現を重視した支援を行う。持続的な効果の発現については、事業運営能力の問題に限らず、政策内容や予算など制度に由来する問題が支障となる例が多いため、技術協力を通じた改善に限らず、可能な限り事前に相手側政府へ申し入れを行うことも必要となろう。

セクター政策内容の方向性とその妥当性、ガバナンス能力の検討については、他主要ドナーのレビューを活用し、認識と見解を共有しておくことも肝要である。

(2)他ドナーと国際機関との連携

まず、20を越える分野毎の援助協調会合(LCG)、保健医療や教育分野で実施されているセクター・プログラム・アプローチへの協力、そして人口・保健分野におけるUSAIDとのコモン・アジェンダ協議などを継続して重視する。

他ドナーや国際機関との連携は、単に援助内容のデマケーションの問題に限らず、支援のタイプによってはタイミングの問題でもある。政策内容の改善やセクター/実施機関全体にわたって組織制度を見直さない限り、支援の効果が充分持続的に発現されないと予見される場合がある。この場合は、世銀や他主要ドナーが行う改革支援の進捗に歩調を合わせたうえでインフラ整備支援を行うなど、支援のタイミングに配慮が求められよう。民営化や民活化の動向に対するドナー間の認識や見解も充分なすり合わせが望まれる。

(3)NGOとの連携

援助依存体質の改善のためには自立を促し得る援助の実施が必要である。またLLDCの抱える諸問題を解決するには、住民の開発事業への参画、コミュニティ開発活動の組織化(Social Capital Mobilization:住民の「つながり」、「慣習・ルール」など無形の住民資産Social Capitalの活用)支援が重要となる。バングラデシュ国の経験から、係る展開を図るうえでは、現地NGOが最も有力かつ効率的な協力者である。従って、バングラデシュ国の社会開発や農村開発に効果的に介入するためには、現地NGOとの積極的な連携強化が望まれる。具体的な連携強化策としては、以下の方策が考えられる。

ドナー機関がNGOの活動全般に賛同し、使途を特定せず資金助成する。

ドナー機関が支援プログラム形成とデザインにイニシャティブを維持し、実施をNGOに委ねる。

NGOの特定プログラムやNGOからの提案に賛同し、使途を特定したうえで資金援助を行う(施設建設型に限定せず、ソフト型のプログラムにも支援を行う)。


現地NGOを活用する場合、コンサルタントなど我が国専門機関を活用し、支援プログラムや活動の実施について受託監理を行わせることも検討に値する。

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