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第1章 調査の背景・目的、評価対象範囲、評価方法

1-2 調査の対象範囲

1-2-1 評価対象
 ODAを通じた貿易・投資分野協力は、JICAの貿易・投資促進協力で示されているように*2、商事関連法律の制定や経済インフラの整備、貿易・投資促進のためのキャパシティ・ビルディングが挙げられる。これらの中でも、貿易・投資促進のためのキャパシティ・ビルディングは、途上国における貿易・投資促進の人材不足、知識不足という開発上の課題から、近年、注目を集めている協力の一つである。
 貿易・投資促進のためのキャパシティ・ビルディングは、人材育成や技術移転が協力の中心であるが、政府間協力であるODAを通じた直接的な裨益者は、貿易・投資の環境整備やその促進を担う受益国政府職員である場合が多い。一方、受益国の貿易・投資促進のためには、公共部門に裨益した知識や技術が、民間部門にも移転され、受益国の貿易・投資促進に貢献することが期待されている。
 貿易・投資分野協力では、人材育成に係る分野の他、経済インフラ整備等を含め、多様な分野が検討される場合があるが、本調査では、貿易・投資促進のための人材育成・技術移転を中核とした貿易・投資分野協力をその対象とする。具体的には国際協力事業団(以下JICAという)が実施している「研修員受入」と「専門家派遣」をプログラム評価の対象とする。そして、これらの協力を一つの総体とみなして評価を行うこととする。

1-2-2 評価対象期間と評価対象国
 1998年のTICADIIで「貿易・投資の拡大」という開発テーマが提起された経緯を踏まえ、本調査は、1998年以降の貿易・投資分野協力の実績と成果を検証することが重要であるという認識に基づき実施した。そのため、本調査では、我が国がアフリカに対して実施した「研修員受入」と「専門家派遣」の評価対象期間として、1998~2002年度を設定した。現地調査はエジプト、ケニアを対象とした。
 また、評価対象国として、1998~2002年度にかけて我が国の協力実績があるアフリカ諸国の中から、表1-1に示した9カ国を設定した。評価対象国の選定にあたっては、1998年以降に貿易・投資分野協力が行われた実績があることを選定条件とし、あわせて、アフリカの評価対象国の地域的な偏向を避けるため、アフリカの東西南北各地域より1~3カ国を抽出した。地域の偏向を避けることの理由としては、本調査が、アフリカ全体を対象とするプログラム評価を目的としていること、アフリカといった場合でも、地域によって経済的・社会的条件が異なり、評価もそのような既存の条件に照らして行う必要が考えられることが挙げられる。
 一方、アフリカへの貿易・投資分野協力への示唆・教訓を導き出し、さらに「南南協力」としての「アジア・アフリカ協力」の可能性を検討するため、東アジアの一国として、インドネシアを評価対象国として含めた。ちなみに評価対象国の中で、エジプト、ケニア、インドネシアは、現地調査対象国でもあったことを付記する。

表1-1 本調査での評価対象国

東アフリカ地域 ケニア、タンザニア、エチオピア
西アフリカ地域 ガーナ、カメルーン
南アフリカ地域 南アフリカ共和国
北アフリカ地域 エジプト、チュニジア、モロッコ
東アジア地域 インドネシア

 


*2 国際協力事業団「JICAの貿易・投資促進関連協力の取り組み」


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