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第6章 1997年度における事後評価概要
3.OECFによる事後評価


(1)詳細評価

  • (写真)ジュバン取水槽 (イ)インドネシア:「ランケメ灌漑事業」

     本事業は、インドネシア共和国スラウェシ島南スラウェシ州中部の農業地帯約7300ヘクタールを対象に、取水堰、水路などの灌漑施設を新設・改良することにより、安定的な用水供給を実現し、米の増産を図るものである。借款対象は、事業費の外貨分全額と内貨分の一部である。

     また、本事業はJICA開発調査から円借款による実施につながった事例であり、今回はOECFとJICAが合同で評価を行った。

     本事業では、入札などの遅延により完成が5年近く遅れたが、事業内容はほぼ計画どおりに実施された。完成後は、コンピュータによる水配分管理や、農民の水利組合による末端水路の維持管理体制が整ったことにより、灌漑施設は効率的に運営・維持管理されている。

     本事業の結果、事業実施前と比較して、単収が雨期で22%、乾期で26%、また、米の生産は雨期で55%、乾期で122%、それぞれ増加するなど、顕著な事業効果が確認された。

  • (ロ)コスタリカ:「ミラバジェス地熱発電所建設事業」

    (写真)スティーム供給配管中継基地  本事業は、首都サンホセの北約220キロメートルミラバジェス火山山麓に、コスタリカ初の地熱発電所(ミラバジェス地熱発電所1号機55メガワット1基)を建設し、ベースロードとして同発電所を運転することにより、年間を通じて電力の安定供給を行うとともに、国内資源である地熱を利用することにより外貨節約効果を図ろうとするものである。輸入石油の代替が重要課題に上がった背景には、1980年代に入ってコスタリカの経済成長が鈍る中、対外債務が増えていったことがあげられる。

     本事業は米州開発銀行(IDB)との協調融資案件であり、OECFの融資対象部分は、本事業全体からIDB融資部分(蒸気井戸の掘削)を除いた部分にかかる外貨分全額と、内貨の一部である。

     本事業では、円高に対するコスタリカ国内の懸念により、事業実施は計画より遅れたが、完成後は順調に稼動を続けている。本事業により、コスタリカでは安定的な電力供給が実現されたほか、国内エネルギー資源の活用により、年間25百万ドル(1996年)の外貨(輸入石油)の節約ができていることになる。

  • (ハ)シリア:「バニアス火力発電所増設事業」

     本事業は、1984年に完成したバニアス火力発電所(1号機・2号機計340メガワット設置済み)の能力を倍増(3号機・4号機計340メガワットを追加)することにより、シリアにおける電力供給量の絶対量を増大させ、需給ギャップを縮小させることを目的とするものである。本事業はまた、シリアに対する初の円借款事業でもある。なお、借款対象は、事業費外貨分のうち、コンサルティング費用を除いた部分である。

     本事業では工期の延長や事業費の増加はなく、ほぼ予定どおりに完成、直ちにフル稼動に入った。これにより、同発電所のシリア全体に占める電力供給率は25%から30%に増大し、シリアの電力逼迫状況の緩和に貢献した。

  • (ニ)タイ:「鉄道車両購入事業」、「国鉄長距離輸送力増強・指令電話改良事業」、「国鉄長距離輸送力増強事業(2)」、「国鉄輸送力増強事業」

     今回の評価では、タイ国鉄の4件の車輌調達事業を対象とした。各事業は、いずれもタイ国鉄の輸送力増強を目的とし、そのために必要とされる車輌調達を行ったものである。鉄道車輌購入事業では、更新用気動車と新線用の各種貨車を、国鉄長距離輸送力増強事業の2事業では長距離旅客輸送用車輌(二等寝台車)を、そして国鉄輸送力増強事業ではディーゼル機関車と新規需要に対応する貨車をそれぞれ調達しており、借款対象は事業費の外貨分(車輌調達費用)全額である。

     これら4事業において調達された車輌は、いずれもタイ国鉄の平均を上回る稼働率と輸送実績を示しており、タイ国鉄の旅客・貨物輸送力増強に大きく貢献したことが確認された。

  • (ホ)タイ:「地方配電網増強事業(IV-2)、(IV-3)」、「一般地方電化事業(II)」、「農村電化事業(III)」

    高圧配電線の工事訓練  今回の評価では、「地方配電網増強事業(IV-2)」、「同(IV-3)」、「一般地方電化事業(II)」、「農村電化事業(III)」の4件の事業を対象とした。これら4事業は、タイの第6次国家経済社会開発計画期間(1987~91年)の同国の急速な経済発展による地方の電力需要の急増に対応し、地方における電化率向上、および電力供給の安定性向上を目的として、配電設備を建設したものである。借款対象は、事業に必要な外貨資金全額である。

     どの事業も、対象地域の電力需要の変化に柔軟に対応しながら実施された。他方、既設配電線を増強する工事で必要となる工事停電が計画どおりに実施できなかったため、工期は予定に比べ遅延している。

     これら4事業により建設された配電システムは、同時期に建設された全ての地方配電システムの90%以上を占めている。すなわち、4事業によって3,677村が新たに電化され、4万9,904村で配電設備が増強された。また、配電設備の拡充は、地方への電力供給量の増加を可能とし、1985から95年にかけて、地方での電力消費量は約3.9倍に増加した。

  • (ヘ)タイ:「バンコク上水道整備事業(第II期1次B)」、「バンコク上水道リハビリテーション事業」

     バンコク上水道整備事業(第II期1次B)は、バンケン浄水場の能力拡張(40万立方メートル/日)および送水管網の拡張を、また、バンコク上水道リハビリテーション事業は、既設送水トンネルの修復を行い、増加を続けるバンコク首都圏の水需要にを対応しようというものである。借款対象は、いずれも事業費のうち外貨分全額である。

     両事業は、調達の遅れにより完成はやや遅れたものの、完成後は順調な稼動を続け、バンコク首都圏での機計340メガワットを追加)することにより、シリアにおける電力供給量の絶対量を増大させ、需給ギャップを縮小させることを目的とするものである。本事業はまた、シリアに対する初の円借款事業でもある。なお、借款対象は、事業費外貨分のうち、コンサルティング費用を除いた部分である。

     本事業では工期の延長や事業費の増加はなく、ほぼ予定どおりに完成、直ちにフル稼動に入った。これにより、同発電所のシリア全体に占める電力供給率は25%から30%に増大し、シリアの電力逼迫状況の緩和に貢献した。

  • (ニ)タイ:「鉄道車両購入事業」、「国鉄長距離輸送力増強・指令電話改良事業」、「国鉄長距離輸送力増強事業(2)」、「国鉄輸送力増強事業」

     今回の評価では、タイ国鉄の4件の車輌調達事業を対象とした。各事業は、いずれもタイ国鉄の輸送力増強を目的とし、そのために必要とされる車輌調達を行ったものである。鉄道車輌購入事業では、更新用気動車と新線用の各種貨車を、国鉄長距離輸送力増強事業の2事業では長距離旅客輸送用車輌(二等寝台車)を、そして国鉄輸送力増強事業ではディーゼル機関車と新規需要に対応する貨車をそれぞれ調達しており、借款対象は事業費の外貨分(車輌調達費用)全額である。

     これら4事業において調達された車輌は、いずれもタイ国鉄の平均を上回る稼働率と輸送実績を示しており、タイ国鉄の旅客・貨物輸送力増強に大きく貢献したことが確認された。

  • (ホ)タイ:「地方配電網増強事業(IV-2)、(IV-3)」、「一般地方電化事業(II)」、「農村電化事業(III)」

     今回の評価では、「地方配電網増強事業(IV-2)」、「同(IV-3)」、「一般地方電化事業(II)」、「農村電化事業(III)」の4件の事業を対象とした。これら4事業は、タイの第6次国家経済社会開発計画期間(1987~91年)の同国の急速な経済発展による地方の電力需要の急増に対応し、地方における電化率向上、および電力供給の安定性向上を目的として、配電設備を建設したものである。借款対象は、事業に必要な外貨資金全額である。

     どの事業も、対象地域の電力需要の変化に柔軟に対応しながら実施された。他方、既設配電線を増強する工事で必要となる工事停電が計画どおりに実施できなかったため、工期は予定に比べ遅延している。

     これら4事業により建設された配電システムは、同時期に建設された全ての地方配電システムの90%以上を占めている。すなわち、4事業によって3,677村が新たに電化され、4万9,904村で配電設備が増強された。また、配電設備の拡充は、地方への電力供給量の増加を可能とし、1985から95年にかけて、地方での電力消費量は約3.9倍に増加した。

  • (ヘ)タイ:「バンコク上水道整備事業(第II期1次B)」、「バンコク上水道リハビリテーション事業」

     バンコク上水道整備事業(第II期1次B)は、バンケン浄水場の能力拡張(40万立方メートル/日)および送水管網の拡張を、また、バンコク上水道リハビリテーション事業は、既設送水トンネルの修復を行い、増加を続けるバンコク首都圏の水需要にを対応しようというものである。借款対象は、いずれも事業費のうち外貨分全額である。

     両事業は、調達の遅れにより完成はやや遅れたものの、完成後は順調な稼動を続け、バンコク首都圏での急激な水需要の増大に対応することが可能となった。また、これによりバンコク首都圏での地下水汲み上げ禁止措置が可能となり、地盤沈下速度の低下にも貢献した。

  • (ト)中国:「連雲港拡充事業(1)~(6)」、「鄭州・宝鶏間鉄道電化事業(1)~(5)」、「宝鶏・中衛鉄道建設事業 (1)~(4)」

     今回の評価の対象は、中国中部における輸送力増強関連の3事業、すなわち、連雲港拡充事業、鄭州・宝鶏間鉄道電化事業、および宝鶏・中衛鉄道建設事業である。

     連雲港拡充事業は、江蘇省連雲港の廟嶺地区に木材用、穀物用、コンテナ用など計5バース、および防波堤などの施設を建設し、同港の貨物輸送需要の増大に対応しようとするものである。鄭州・宝鶏間鉄道電化事業は、河南省鄭州・陜西省宝鶏間684キロメートルの鉄道を電化し、輸送力の拡充を図るものである。また、宝鶏・中衛鉄道建設事業は、陜西省宝鶏・寧夏回族自治区中衛間に500キロメートルの電化単線鉄道を建設し、中国西北部の輸送力の拡充を図るものである。なお、借款対象は、いずれも事業に必要な外貨資金全額である。

     3事業のうち、連雲港拡充事業では防波堤の基礎工事に時間を要したため、完成は計画に比べ2年遅れた。また、建設された5つのバースのうち、木材用バースは現在は貨物用バースとして使用されている。他方、鉄道2事業は、ほぼ計画どおり実施された。

     事業完成後は、連雲港では1995年の年間貨物取扱量1,700万トンのうち、借款で建設されたバースでは20%を取り扱っている。取扱貨物の中心は、コンテナ貨物、穀物、非金属鉱石などで、中でもコンテナ貨物の伸びが顕著である。

     鄭州-宝鶏間鉄道電化事業で電化された区間では、すでに1996年に能力の限界に近い5,500万トンの輸送を行っている。また、電気機関車の利用により、計算上、蒸気機関車で輸送した場合に比べ、年間34万トンの石炭使用の節約が図られたことになる。他方、宝鶏-中衛鉄道は開通後間もないため、輸送量は能力の半分程度(96年で800万トン)だが、本路線沿いに大規模の火力発電所建設計画があり、今後石炭輸送量の増加が見込まれる。また、本鉄道は、既設の隴海線:宝鶏-蘭州-武威区間のバイパスとして建設されたが、その役割は十分に果たしている。

  • (チ)中国「武漢天河空港建設事業」

    (写真)旅客ターミナル  本事業は、増大する中国湖北省(武漢市)の航空需要に対応し、かつ同地域の経済発展に寄与すべく、武漢市の北西約40キロメートルの天河地区に3,400メートルの滑走路を持つ新空港(離着陸施設、ターミナル施設、航空保安施設等)を建設するものである。借款対象は、事業に必要な外貨資金全額である。

     建設に関しては、主に技術的な要因(滑走路の地盤改良、延長など)から、完成が計画より2年ほど遅れた。また、これに伴う工事量の追加や中国国内の生産材価格の上昇により、内貨分の事業費が計画を大きく上回った。

     武漢周辺における航空需要は順調に増加を続けており、武漢天河空港の95年度の乗降客数は、約200万人に達している。武漢市は、中国国内の主要都市(北京、広州、上海)から1,200キロメートル前後圏(飛行時間で1.5~2時間)に入り、急増を続ける中国の航空輸送において、華中地域の拠点として、本事業は重要な役割を果たすものと期待される。

  • (リ)フィリピン:「パリンピノン地熱発電所建設事業(II)、(II-2)」

     本事業は、ネグロス島南部の既設のパリンピノン地熱発電所に、新たに22本の蒸気井(生産井・還元井)を掘削・開発し、80メガワット(20メガワット×4基)の発電能力拡張を行うものである。あわせて、ネグロス島からセブ島への送電線(架空送電線および海底ケーブル約18キロメートル)の建設も行う。なお、本事業は世界銀行とOECFとの協調融資案件である。OECFの融資対象は蒸気井および送電線であり、発電プラントの建設は世界銀行の融資で行われた。

     事業実施に当たっては、世界銀行の融資対象である発電プラントの位置の変更などのため、完成が遅れ、費用も増加した。しかし、事業完成により、計画どおり80メガワットの新たな電力が供給され、電力供給の安定化および産業振興と民生の向上に寄与している。また、地熱という国産エネルギーを使用した発電のため、輸入石油による火力発電に比べ、96年度で16.6百万ドル相当の原油輸入の節減に貢献したことになる。


(2)第三者評価

  • (イ)フィリピン:「地方都市水道整備事業(1)・(2)」

     今回の評価では、水道区という制度の下、円借款による支援で80年代後半より本格的に推進されているフィリピン地方都市水道整備事業のうち、完成済みの2事業(Phase 1およびPhase 2)を対象として、「第三者評価」(評価依頼先は㈱国際開発ジャーナル社)を実施した。現地調査では、受益者の視点からの評価を行うべく、3都市で計14件の住民インタビューを行った。

     今回の評価を通じ、いずれの都市でも、以前は自家所有の手押しポンプによる給水、あるいは古い水道からの低水圧の時間給水であったものが、本事業により、蛇口からの24時間給水に改善されたことが確認された。このため、インタビューを受けた受益者も、例外なく利便性と衛生面の向上を高く評価しており、本事業が民生の安定に大きく貢献していることが明らかとなった。


(3)机上評価

  • (イ)インド:「タミールナド州小型水力発電所建設事業」

     本事業は、インド・タミールナド州の3か所の既設ダムの下流に小型発電機を設置し、各ダムの遊休落差を利用して、年間70ギガワット/アワーの発電を行うもので、これにより同州の電力事情の改善を図るものである。借款対象は、機器調達に必要な外貸資金全額である。

     本事業により、計画どおり遊休資源の有効活用が図られ、発電電力量増加がもたらされた。ちなみに、本事業による発電実績は、1995年で69ギガワット/アワーとなっている。

  • (ロ)インドネシア:「建設機械活用事業」

     本事業は、インドネシア公共事業省保有の建設機械(231台)をAMKA(国営会社アマルタ・カリヤ:土木工事、鉄材工作、建設機械の修理・リースを行う国営企業)へ移管し、効率的に修理を行い、建設機械の有効活用を図るものである。

     本事業により修理を行った建設機械の平均寿命は、6,000時間から8,000時間に増加し、遊休建設機械が有効活用された。また、修理工場の改修、修理機械の改善およびコンサルタントによる技術移転によって、建設機械の修理体制が確立された。

  • (ハ)インドネシア:「僻地ディーゼルおよび配電網事業」

     本事業は、インドネシア共和国内のスマトラ島27か所、カリマンタン島7か所、計34か所に総出力3万1,500キロワットのディーゼル発電機と関連配電設備を供給するものである。

     本事業により、電化村の増加や電力供給量の拡大が実現し、対象地域における生活水準の向上および経済活動の活性化、引いては地場産業の発展に寄与したものと思われる。

  • (ニ)タイ:「国鉄信号改良近代化事業」・「国鉄長距離輸送力増強・指令電話改良事業」

     国鉄信号改良近代化事業は、タイ国鉄の老朽化した信号・通信システムを近代化し、列車運行効率と安全性の向上を図るものである。また、国鉄長距離輸送力増強・指令電話改良事業の一部である指令電話改良事業は、タイ国鉄の指令電話設備の更新および指令親装置、指令台の新設により、効率的な列車の運行管理、列車遅延の減少、安全性の向上を図るものである。

     両事業の実施により、タイ国鉄の路線容量の増加、運行効率の向上、安全性の向上などがもたらされた。

  • (ホ)タイ:「首都高速道路建設事業(III-2)」

     首都高速道路建設事業は、タイ王国の首都バンコクの交通混雑緩和を目的として、タイ初の有料高速道路を建設するものである。本事業は、首都高速道路建設事業の第3期にあたるダオ・カノン~クロントイ港間約10キロメートルのうち、チャオピア川架橋部分を除く高速道路部分6.6キロメートルの建設を行うものである。

     本事業は大きな遅れもなく実施され、現在では当初の需要予測を2倍近く上回る利用台数(1997年実績1億9,200万台)があり、交通渋滞に悩むバンコクになくてはならない道路となっている。

  • (ヘ)タイ:「シラチャ・レムチャバン鉄道建設事業」

     本事業は、タイ東部臨海開発の一部であるレムチャバン港の建設に合わせて計画・実施された、レムチャバン港からシラチャ駅までの9.3キロメートルの単線および操車場建設である。

     本事業は、レムチャバン港を経由する貨物の輸送に着実に貢献しており、レムチャバン港取扱いのコンテナの陸上輸送における鉄道のシェアは、1994年の9%から96年には16%にまで拡大している。レムチャバン港自体が、96年にはタイ国内のコンテナの30%以上を取扱うまでに成長したが、本事業はその成長に大きく貢献しているといえよう。

  • (ト)ネパール:「ウダイプールセメント工場建設事業」

     本事業は、ネパールの東部ウダイプール郡ジャルジャレに800トン/日(クリンカーベース)のセメント工場および関連施設を建設し、同国の急増するセメント需要に応えるとともに、ネパールにおけるセメントの自給率の向上を図るものである。

     本事業により、同国のセメント自給率が向上すると同時に、セメント輸入が減少することで外貨が節約され、地域の雇用が創出された(1995/96年度のセメント生産量は約13万トン)。他方で、本事業では工場の維持管理が十分ではないことなどから、設備の稼働率が伸び悩んでいた。このためOECFでは、稼働率向上を目的としたSAPSによるサポートを97年度に実施し、3段階に分けた改善策の提言を行った。

  • (チ)パキスタン:「500キロボルトムルタン・グドゥ両変電所増設事業」

     本事業は、パキスタンを南北に縦断する500キロボルト第2送電線事業の一部として、ムルタン変電所およびグドゥ変電所の増設を実施するものである。500キロボルト第2送電線事業全体は世銀、ADB、ドイツ、フランス、およびOECF(本事業)の協調融資により実施された。

     本事業を含む500キロボルト第2送電線の完成に伴い、パキスタンの南北間の送電能力は大きく拡大した。また、回線が複数化したことにより送電の信頼性の向上、ロス率の削減が実現している。

  • (リ)パプアニューギニア:「ヨンキー水力発電事業」

     本事業は、ニューギニア島中部高原地域にある既設ラムI発電所(15メガワット×3基)のラム川上流に、ヨンキーダムを建設するものである。これにより、ラム川の乾期・雨期の流量のアンバランスが改善され、ラムI発電所内に15メガワット×2基の水車発電機増設が可能となり、安定かつ低廉な電力の供給を図られる計画であった。

     実際、本事業により、ラム川系統の電源構成の改善が行われ、パプアニューギニア国内の電力供給能力の向上・安定が実現された。

  • (ヌ)メキシコ:「機関車修復事業」

     1989年当時、メキシコ国有鉄道は自身が保有するディーゼル機関車1,747台のうち、使用休止中ではあるが、適切な資機材の据付けによって修復可能な231台を対象に、機関車修復事業を策定した。本事業はこの機関車修復事業のPhase 1にあたるもので、60台の機関車の修復を行うものである。

     本事業対象60台は、メキシコ鉄道セクターにおける長距離輸送への一定の貢献となった。


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