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2.5 開発調査フォローアップ評価


開発調査のフォローアップ評価(タイ、インドネシア、ボリヴィア、パラグァイ)(1999年度)

調査団構成:
 山本愛一郎 JICA企画・評価部評価監理室(総括)
 藍澤 淑男 財団法人国際開発センター
 武藤 亜子 JICA社会開発調査部計画課
 奥田 浩大 財団法人国際開発センター

評価目的

 JICAでは、年間300件以上の開発調査が実施されているが、評価の対象となったのはここ数年であり、今後、開発調査に対する評価は、さらに推進されることが望まれている。このような背景のもと、本評価では、今後の開発調査事業や評価自体の質的向上を目的とし、アジア地域(タイ、インドネシア)と南米地域(パラグァイ、ボリヴィア)における運輸・交通及び水資源開発分野を中心とした開発調査実施済案件22件を取り上げた。


評価結果

 タイについては、東部臨海開発に関係して1980年代に集中的に実施された13件の開発調査を一群としてとらえ、総合的に評価を行った。その結果、実施段階では開発調査活用に向けた体制が整備されており、実施後段階では提案された計画が事業化または事業化の方針への反映がなされ当部臨海地域における経済活動が活発化していることが確認された。これらの成功の要因としては、タイ政府による東部臨海開発計画がタイ政府のオーナーシップのもと推進されてきたことが挙げられる。

 インドネシアでは、調査実施段階で提案された計画はジェネベラン下流域における洪水調整と水源開発及びマカッサル市場水道整備の開発方針において十分に活用されていることが確認された。

 パラグァイにおいて評価対象とした交通計画関連の開発調査4案件のうち、3案件は次段階調査に発展し、その後計画の一部は事業化されている。「アスンシオン首都圏都市交通施設整備計画(F/S)」については、環状道路の拡幅、主要交通点の改良、バスターミナルの新設、交通管制センターによる信号の集中管理などの事業が、アスンシオン市の独自財源、世界銀行の融資などによってすでに着手されたと報告されている。

 ボリヴィアの空港に関する対象2案件については、計画の一部は事業化に至っている。「ビルビル国際空港計画(F/S)」はOECF(現JBIC)により1979年/1983年に円借款が供与され、1984年に事業が完工した。「エル・アルト空港近代化計画(M/P+F/S)」は、1994年、1995年、1996年の3回にわたり我が国の無償資金が供与されている。これらの事業化により、運輸サービスの向上、航空旅客需要の増加等の効果が確認された。

 今回の評価調査の結果にもとづき、開発調査の質的向上に必要なこととしては、規模を縮小した場合の計画、又は最小規模の計画から段階的に規模を拡張していく計画を検討することが挙げられる。また、計画の作成を支援するという目的を果たしている一方で、技術移転については達成度が低い。今後、技術移転にも重点を置くのであれば、協力相手国政府による要請の中にすでに技術移転に関するものが含まれるように、日本の開発調査に対する理解を深めてもらうことや、技術移転を専門にする我が国の専門家の派遣等の対応が必要である。他方、開発調査の評価方法の改善については、1)実施経過年、開発調査の形態及び開発調査の目的による活用目標を設定すること、2)終了時評価を導入することが挙げられる。


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